山形国際ドキュメンタリー映画祭2025のコンペ作品発表、日本から清原惟・板倉善之の監督作
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「山形国際ドキュメンタリー映画祭2025」ポスタービジュアル
山形国際ドキュメンタリー映画祭2025(YIDFF2025)のインターナショナル・コンペティション部門で上映される作品ラインナップが、7月8日実施の記者会見で発表された。
1989年から30年以上にわたって隔年で開催されているYIDFFは、ドキュメンタリー映画に焦点を当てた国際映画祭だ。今回は、129の国と地域から寄せられた1318作品より15本を選出。監督の出身国や地域が多様であることが特徴となり、カリブ諸島、アフリカ、東西ヨーロッパ、中東、南北アメリカ、アジアでの製作作品が並ぶ。
東アジアからは日本、台湾、香港出身監督の作品が入選し、そのうち日本人監督の作品が2017年以来8年ぶりに2本入選。劇映画の監督として知られる清原惟が個人的記憶の普遍的な継承を試みた実験的作品「A Window of Memories」、板倉善之が再開発によって変貌する大阪市西成区の路上で撮影した「Ich war, ich bin, ich werde sein!(イッヒ・ヴァール、イッヒ・ビン、イッヒ・ヴェーデ・ザイン)」が選ばれている。
さらに、前回の本コンペティションにも入選したウクライナ出身のヴィタリー・マンスキーが、戦時下の故郷リヴィウの日常を描いた「標的までの時間」、映像作家・美術家のアンマール・アルベイクがドイツの難民キャンプの記憶を紐解く「トレパネーション」も。入選作品のうち14本は後述の通り。残りの1作品は後日発表される。同コンペのプログラムコーディネーター・加藤初代は「今年も映画祭には監督が大勢参加なさることと思います。これまで以上に多様な作品・作家の声に出会える機会となると思いますので、多くの方にご来場いただければありがたいです」とコメントした。なおもう1つのコンペ部門である「アジア千波万波」のラインナップは8月上旬頃に発表予定だ。
あわせて本映画祭のポスタービジュアルも解禁。東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科の3年生66名が制作し、そのうちの7作品を審査した結果、戸島楓子さんの作品が採用された。戸島はデザインで表現した“積み石”が「わずかな傾きや重なり方で形を変える、一瞬の形」だと語り、「ドキュメンタリー映画は、偶然と必然が交差する中で立ち上がる記録であり、常に崩れる可能性をはらみながらも、今しか残せない強い意志を映し出す。積み石の儚さや瞬間に宿る力がドキュメンタリー映画と重なったので、モチーフに選んだ」と明かしている。
YIDFF2025は、10月9日から16日にかけて山形県山形市内の各所で開催される。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2025 開催概要
2025年10月9日(木)~16日(木)山形県 山形市内各所(山形市中央公民館、山形市民会館、フォーラム山形、やまがたクリエイティブシティセンターQ1ほか)
インターナショナル・コンペティション部門 上映作品
- 日泰食堂(監督:フランキー・シン / 製作:台湾、香港、フランス)
- ダイレクト・アクション(監督:ギヨーム・カイヨー、ベン・ラッセル / 製作:ドイツ、フランス)
- 彷徨う者たち(監督:マロリー・エロワ・ペイズリー / 製作:フランス、グアドループ)
- Ich war, ich bin, ich werde sein!(監督:板倉善之 / 製作:日本)
- 亡き両親への手紙(監督:イグナシオ・アグエロ / 製作:チリ)
- 愛しき人々(監督:タナ・ヒルベルト / 製作:チリ、ドイツ)
- 公園(監督:蘇育賢 / 製作:台湾)
- 終わりなき夜(監督:ネルソン・マケンゴ / 製作:コンゴ民主共和国、ベルギー、ドイツ、ブルキナファソ、カタール)
- 季節(監督:モーレン・ファゼンデイロ / 製作:ポルトガル、フランス、オーストリア、スペイン)
- 標的までの時間(監督:ヴィタリー・マンスキー / 製作:ラトビア、チェコ、ウクライナ)
- トレパネーション(監督:アンマール・アルベイク / 製作:シリア、フランス、ドイツ)
- ずっと一緒に(監督:アナスタシア・ミロシュニチェンコ / 製作:フランス、ベルギー、オランダ)
- A Window of Memories(監督:清原惟 / 製作:日本)
- ガザにてハサンと(監督:カマール・アルジャアファリー / 製作:パレスティナ、ドイツ、フランス、カタール)
画像提供:山形国際ドキュメンタリー映画祭