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山下美月×萩原利久が感じるお互いへのリスペクト「萩原さんは冷静で周りのことがちゃんと見えている人」

映画

インタビュー

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左から)萩原利久、山下美月 (撮影 稲澤朝博)

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芝居が上手い役者は、どんな相手とも呼吸を合わせ、会話のテンポ感を操れる力を持っている。芝居はもちろん、インタビューの会話でさえ、相性の良さを感じるのが山下美月と萩原利久だ。ふたりは、連続ドラマW-30「殺した夫が帰ってきました」(WOWOW)で壮絶な過去に隠された罪と愛を追うサスペンスミステリーで共演。山下演じるヒロインの前に、かつて殺したはずの夫(萩原)が記憶をなくした状態で現れ、共同生活を送ることになるストーリーだ。過去にも共演経験のあるふたりが阿吽の呼吸で語る本作の魅力とは――?

お互いの活躍から刺激をもらっています

――2019年にW主演された『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』でも共演されているお二人ですが、初共演から6年、役者として引っ張りだこで大活躍されています。今のお互いの活躍ぶりをどう見ていますか。

萩原 今は乃木坂46から卒業されていますが、初共演した時は、まだ乃木坂で活躍されてたんですよね。年月が経ったなと感じます。当時は多分、まだ先輩もたくさんいらっしゃった時代でしたけど、『電影少女』での共演以降、音楽番組などでも、どんどん真ん中でパフォーマンスをする機会が増えていって。この6年ぐらいの間で本当に活躍の幅がどんどん広がっていく姿を見て、すごく刺激をもらっていました。

山下 萩原さんは当時からお芝居がとても素敵で力のある役者さんでした。当時19歳でこれからたくさんの方にお芝居を評価されるべき方だと思っていたのですが、早くも爆売れされたのでビックリしましたね(笑)。新境地開拓じゃないですけど、本当にいろんな役に挑戦されている姿を見て、同世代としてすごく刺激をもらっています。

――今回の現場では、お互いの変化を感じることはありましたか。

萩原 僕は本当にいい意味で変わってなかったので、ホッとしました。やっぱり6年もあると正直、人って全然変わっていてもおかしくないじゃないですか。いろんなものを吸収して、いろんな意味で削がれていく部分もあるでしょうし。正直、どんな感じなのかなって未知ではありました。お互い年齢を重ねているので、シンプルに大人になっている部分はあると思いますけど、変わってないのが良かった。元々、しっかり地に足ついている方なので。山下さん、いかがですか?(笑)。

山下 私こそ萩原さんは爆売れされたので、テーブルを蹴っ飛ばしていたら、どうしようと思いましたよ(笑)。

萩原 そんなわけないでしょ!?

山下 冗談です。全然、変わってなかったです。19歳でご一緒した時に、初日ぐらいに駄菓子をいっぱい買って現場に差し入れして下さったんです。今回の作品のクランクインの日も駄菓子をたくさん買ってきて下さって。それも全く変わってない。今流行りのドーナツじゃないところがいいなって(笑)。

萩原 それやっていたら、イメージダウンだったっていうこと?

山下 そんなことないですけど(笑)。萩原さんって趣味とかは、結構子供っぽくて無邪気なところがあるのですが、いつも冷静で、周りのことをちゃんと見ている人。スタッフさんやキャストさん皆を見ていて、空気感をちゃんと把握して、現場をすごく回せる方。今回は順撮りではなくクランクイン初日から大変なシーンの撮影でしたが、いろいろお話をして、撮影することができて本当に安心感がありました。

山下さんは絶対セリフを噛まない、プロフェッショナルな人

――今回は、萩原さんが殺したはずの夫、山下さんが殺したはずの夫に翻弄される役を演じますが、台本を読んでどんな感想を持ちましたか。

萩原 どんな結末を迎えるのか考察しながら観ていただくのが面白い作品だと思いました。演じる僕らは可能な限り、「マジかよ」っていう裏切る展開を見せたいですし、予想通りじゃない結末を迎えられるのがベストですから。脚本の段階で、どう見せていこうか考えながら読み進めました。テクニカルにやる必要がある部分がたくさんあったので、頭を抱えました。

山下 確かに毎話、登場人物たちの印象が変わっていきますからね。私が演じた茉菜は、台本を読んで、自分自身がよく分からずに大人になってしまった少女という印象を受けました。物語は、茉菜が大人になったところから始まるのですが、序盤では自分の過去の親友の女の子、母親、自分が初めて好きになった相手だったりと、周りの人間模様が描かれます。監督からは「喜怒哀楽を出さずに演じて欲しい」というご指導があって、分かりやすいリアクションができない状態でのお芝居になるからこそ、わずかな心情の変化みをちゃんと丁寧に演じないといけないなと台本を読んで思いました。

――久しぶりに一緒にお芝居をしてみていかがでしたか?

萩原 僕は、結構台詞を噛むんです。だんだん頭が働かなくなってくると、「あれ? なんだっけ」って意図しないところでミスをしがちですけど、山下さんはそういうことが全くない。本当にプロフェッショナルな方だな、と。リスペクトしています。

山下 確かにこのシーンは監督も一発で撮りたかっただろうなと思う、大事なところですごく噛んでましたよね(笑)。でも、噛んでも噛んでない素振りでお芝居を続けるんですよ。それもすごい集中力で素敵だなと思いましたけど。萩原さんは明るい役もやってらっしゃいますが、結構、闇を抱えた役が多い印象があって。実際の本人のキャラクターは、誰とでもコミュニケーションが取れて明るく現場でもムードメーカー的存在なので、毎回共演するたびに、役と本人の性格の差があるなと。作品ごとに全然違う姿を見せているので、本当はどうなんだろう、めちゃくちゃサイコパスなのかなって思いますね(笑)。

二人で笑いがとまらなくなってしまったシーンも

――ストーリーは衝撃的なサスペンスですが、撮影現場で笑顔になったエピソードはありますか。

山下 餃子屋さんで、ふたりで餃子を食べるシーンでは、そのセリフの最中に「だね」って同意するセリフがあるんです。「だね」っていうセリフだけ言われると、私はポケモンがすごく好きなので、「フシギダネ」としか聞こえなくて。段取りが終わった後に私が萩原さんにそれを言ったら、二人で笑いが止まらなくなっちゃって……。

萩原 1回気になっちゃうと、笑えますよね。お互いに「来るぞ、来るぞ」ってなってしまって。山下さんは、めっちゃゲラ?

山下 めっちゃゲラです!

萩原 笑いの地雷がどこに埋まってるから分からない。僕もわりと人が笑ってるとどうしても伝染しちゃうので、笑いが止まらなかったです。

山下 あと、眠ったふりをするシーンで本当に眠っていて。6年前のドラマでご一緒した時も眠るシーンで本当に寝ていたんですよ。シーンなのに絶対に寝ちゃう役者さんです(笑)。

萩原 成長してないってことですかね(笑)。前回、寝ちゃった時は本当に意図せず寝ちゃって。言い訳をするならば、本当に佳境で1日撮影した最後のシーンだったので、体力が残ってなかった。今回は絶対に寝ないと思っていたのに結局、寝てしまいました。

山下 本番中に身体がビクッってなっていましたよ(笑)。

萩原 その節は、本当に申し訳なかったです(笑)。

――お二人で乗り越えたような大変なシーンはありますか。

萩原 物語の後半のシーンは、限りなく連続してる大事なシーンがあったので、基本的にある1日でガッツリ撮影したんです。いかんせん風がものすごく強くて。結構、声が聞こえないレベル。

山下 自分の声すら聞こえないくらいでしたからね。

萩原 そのシーンでは前回の共演が1番生きた瞬間かもしれないです。セリフが聴こえなくても互いになんか動揺してる感じがなかったんです。

山下 ある意味、勘?

萩原 はたから見たら、おそらくおかしな点もないし、セリフが食い違うこともなく。

山下 私が撮っている時って、映らないように萩原さん側にスタッフさんがいらっしゃるじゃないですか。最終話の6話の大切なシーンは、ほぼワンシチュエーションで。私は泣きそうになりながら、自分の過去を吐露するシーンなのに、萩原さんの後ろでスタッフさんが強風で飛ばされていて。それを見ながら陽が落ちる前に撮りきらなきゃいけないので、もう必死でした。でも、逆にそれが良かったというか。必死な感じが出ていい味になったなって。

萩原 ホントに気合いで乗り切ったと思います!

山下さんはシーンごとに瞬間的に切り替えられるタイプ

――過酷なシーンもある中、これがあったおかげで撮影を乗り切れたアイテムは?

山下 萩原さんはいない日ですが……。私のクランクアップは、12月頭のめちゃくちゃ寒い日で、夕方から入って深夜2時ぐらいまで雨を降らして、泥の上で這いつくばるシーンがあったんです。寒いから現場にカフェカーを差し入れして下さったのですが、私は崖の上で撮っていたので、カフェを堪能するタイミングがなく。「私も飲みたいな」って思いつつ、その反骨精神を糧に頑張りました(笑)。

萩原 僕はカップ麺かもしれないです。山の中で雨に濡れるシーンがあった時はカップ麺を2つ食べて温まりました。味は変わらないはずなのに、すごく美味かったですもん(笑)。

――茉菜と和希の関係性はいろいろ変化があると思いますが、切り替えは上手くできましたか。

萩原 山下さんは、いろんなタイプの役者さんがいる中で、割とオフは切り替えられるタイプなのかなと思っていて。別の作品を同時にやってても、頭がゴチャゴチャになることもなく。割とシーンごとに瞬間的に切り替えができるタイプに見えるんです。だから、順撮りじゃなくて、そのシーンごとの役の設定が変わることもありましたけど、一緒にやっていてとくに難しさは感じなかったです。

山下 私の役は引き算で演じる役で。普段は本を読んで感じたことを現場に持って行ったり、難しいシーンはどう演じるか想定して現場に行くのですが、今作においては感情を出さず、何も考えないことが求められたので、準備したものをやることはなかったです。茉菜と和希が一緒にラーメンを食べに行って、ちょっと頬が緩むシーンがあるのですが、そこも完全に萩原さんとのお芝居と監督の演出の中でやるみたいな感じで、自分で調節しなかったです。

――タイトルがとにかく衝撃的ですが、みどころを教えてください。

山下 あまりタイトルに引っ張られすぎないで欲しいです。この作品は殺人とかミステリー要素もありますが、主人公の社会的背景がメインの物語。1話から6話まで全部最後まで通して観ると、人によってそれぞれ感じるものが全然違うと思うので、やるせなさや悲しさ、虚しさの中にある光みたいなものを見つけ出してもらえたら嬉しいです。

萩原 おっしゃる通り。観る人によって、楽しみ方は違う気がしますし、単純にどう結末を迎えるのかっていうのを想像しながら観る方もいると思いますし。どちらでも、それぞれの側面で楽しめる作品になっています。

ふたりのリフレッシュ方法は?

――お二人とも撮影の毎日でお忙しいからこそ、大切にされている時間はありますか。

山下 最近、定額制のシェアラウンジでお仕事をする方って多いですよね。ああいうところへ行って、ただただiPadで絵を描くとか、世に公開するわけではない文章を書くとか。ひたすら何か描いて楽しんでいます。家で映画を観るのもいいですが、どうしてもお仕事の延長線上になってしまいますからね。仕事をしている人たちがいる空間の中で、のんびり好きなことをする時間が息抜きになります。

――素敵なリフレッシュ方法ですね。

山下 コーヒー飲み放題でお菓子とかアイスクリームもあるんですよ。チョコレート菓子をついつい無限に食べちゃう(笑)。

萩原 そっちがメインじゃないですか?(笑)。僕はバスケの試合をずっと観てます。いろんなものから切り離して没頭できるし、心が解放されるのでいいですね。半永久的になくならないコンテンツなんで、これで永遠リフレッシュできるぜって思ってます。

――次にまた共演できるとしたら、どんな作品がいいですか?

萩原 次こそ普通の作品がいいですよね?

山下 えー、でも、私は仕返ししたい! 前回は役の上で、結構ひどいことされてるからなぁ。殴る蹴るされているので……今度は私がプロボクサーで殴っちゃおうかな(笑)。

萩原 自覚ないところですごく恨みをかってたんだな。ごめんなさい!

――次回はプロボクサー同士っていう設定ですか?

萩原 それはちょっと嫌だな(笑)。今回もしかり、すごく特殊な共演があるあるになっているじゃないですか? 前作はそもそも人間じゃなかったし、極端なシチュエーション多いんで、割とシンプルな感じの設定がいいです。

――普通の穏やかな恋愛物語?

萩原 いや、それはちょっと耐えられないかもしれない…。相当、覚悟を持って挑まないと多分、笑っちゃいます。

山下 そこは、ちゃんと覚悟を持ってやって下さい!

連続ドラマW-30『殺した夫が帰ってきました』


放送・配信:2025年7月11日(金) 午後11時 放送・配信スタート(全6話)
第1話無料放送【WOWOWプライム】 第1話無料配信【WOWOWオンデマンド】

■【第1話まるごと無料配信】連続ドラマW-30「殺した夫が帰ってきました」山下美月・萩原利久出演


撮影 稲澤朝博
取材・文 福田恵子