尾上松也の新たな挑戦。歌舞伎『刀剣乱舞』第2弾、この夏見参
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すべて見る人気ゲーム『刀剣乱舞ONLINE』を原案とした新作歌舞伎『刀剣乱舞』。歌舞伎ならではの様式や趣向を凝らした演出がゲームの世界観と融合し、歌舞伎ファンからも刀剣乱舞ファンからも高い評価を得た2023年の初演から2年。この夏、第2弾が東京・福岡・京都の三都市で上演される。
企画段階から本作に携わり、日本舞踊家・尾上菊之丞とともに共同演出、主演として二役を勤める尾上松也。公演を前に、演出家・演者としての抱負と見どころを語った。
「『東鑑雪魔縁(あずまかがみゆきのみだれ)』は、鎌倉時代の史実『源実朝暗殺』を題材にしたストーリー。私は前作に続き三日月宗近と、今回初登場となる歌舞伎オリジナルのキャラクターで、歴史をかき回す存在・羅刹微塵(らせつみじん)の二役を勤めます。実朝の暗殺をめぐり様々な人物の思惑が交錯する中、源氏一族にゆかりのある髭切と膝丸を始めとする刀剣男士たちが、歴史をどう守っていくかが鍵ですね。私以外に、中村歌昇さんが陸奥守吉行と源実朝、尾上左近さんが加州清光と倩子姫(せんしひめ)、河合雪之丞さんが小烏丸と北條政子、中村鷹之資さんが同田貫正国と公暁をそれぞれ二役を勤めるのも、歌舞伎ならではの見どころ。伝統的な歌舞伎らしさはしっかりと残しつつ、イヤホンガイドがなくても楽しめるような構成で、歌舞伎初心者の方にも、肩肘張らず楽しんでいただける内容にしたいと思っています」
今回は第1弾にはなかった舞踊の大喜利所作事『舞競花刀剣男士(まいきそうはなのつわもの)』との2部構成で上演されることも話題。前回は舞踊が少なかったのが心残りだったそうで、今回は独立した約45分の演目になったとか。
「鎌倉時代に出陣して無事に帰ってきた刀剣男士たちが、本丸に帰って宴を催しているという設定です。刀剣男士たちが何組かに分かれ、もともと舞踊にあるような振りや音楽、設定を模した季節ごとの踊りを披露します。舞踊でしか見られない衣裳もあるのでお楽しみに!」
前回に引き続き、今回も演出にも携わることについては「これまで多くの新作歌舞伎で諸先輩方から学ばせて頂き、歌舞伎以外でも蜷川幸雄さんなど、たくさんの演出家の方から刺激を受けてきました。それぞれに個性があり、やり方が違うので、何が正解ということはないんですが、先人たちから感じたものを噛み砕きながら、自分なりの方向性、演出の仕方、現場の作り方ができればと思っています。共同演出の菊之丞さんとは20代前半に始めた自主公演以来の付き合いで、演出家としても大きな影響を受けています。菊之丞さんとはやりたいことがほぼ同じで、同じ方向を見て作品づくりができるのでありがたいですね」と目を輝かせた。

そして注目したいのが、今回松也が二役を演じるうちのひとつ、羅刹微塵。「第2弾だけにとどまらないキャラクターにしたいですね。作っている私たちにもまだ謎が多いキャラクターですが、悪なのか、あるいは善なのか、生きているのか死んでいるのか…作品が進むごとに想像もしない展開をしながら、成長を遂げていく広がりのある登場人物になれば」と意欲を見せた。
また、松也が「恩人でアニキ」と呼ぶ中村獅童が鬼丸国綱(おにまるくにつな)役で出演することにも注目したい。
「以前、獅童さんに声をかけて頂き、『あらしのよるに』(同名絵本をもとにした新作歌舞伎)でご一緒させて頂きました。その時、獅童さんからもらった“いつか自分の企画を作りなさい”というアドバイスがずっと頭にあり、この企画を進める際に背中を押してくれたんですよね。その感謝も込めて出演をお願いしました。快諾してくださってありがたかったし、本当に頼もしい限りです」と笑顔を見せた。
「今ある古典作品も元々は新作。この作品だけでなく、私たち世代が創る新作歌舞伎の中から400年後も残るような作品が生まれればという思いで新作に臨んでいます。ぜひ歌舞伎の新しい1ページを見届けに来てください」と最後に力強くメッセージ。
古典歌舞伎の演出を踏襲しながらもゲームの世界観を舞台に映し出す斬新な手法、そして歌舞伎の花形たちが扮する華麗な刀剣男士の活躍から目が離せない歌舞伎『刀剣乱舞』の世界を、ぜひその目で確かめたい。
歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』
<東京公演>
公演日程:7月5日(土)~27日(日)
会場:東京・新橋演舞場
<福岡公演>
公演日程:8月5日(火)~11日(月祝)
会場:福岡・博多座
<京都公演>
公演日程:8月15日(金)~26日(火)
会場:京都・南座
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559244
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