無料のサッカースクールに全国各地でサッカー教室も! 元サッカー日本代表・太田宏介「ひとりでも多くの子どもを幸せに」
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太田宏介 (c)ジョガスポーツカレッジ
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すべて見る現役時代、豊富な運動量で左サイドを走り回っていた太田宏介が今、社会貢献活動やサッカーの普及活動、ビジネスにタレント活動と全国を忙しく飛び回っている。中でも注力しているのが、すべての子どもたちに平等にスポーツを楽しんでもらうことをコンセプトにするジョガスポーツカレッジである。ジョガスポでは全国各地で参加費無料のスポーツイベントやサッカー教室を開催するとともに常設のサッカースクールも無料で開設。太田はどんな思いでジョガスポを立ち上げ、なぜ無料にこだわっているのか、話を聞いて来た。

──太田さんがジョガスポをスタートされたのは引退されてからではなく、現役時代にすでにはじめられていますよね?
「そうですね。本格的には2023年8月に寒川でスタートしました。2022年の年末がプレイベントとしてスポルティーヴォ横浜元町というところで開始しました。僕の高校の同級生である小林悠(川崎フロンターレ)が来てくれて、地元や学生時代に切磋琢磨してくれた仲間が賛同してくれてはじまりました」
──ご自身で企画・運営をしようと思ったきっかけは何ですか?
「引退後に一番やりたかったことが子どもたちへのスポーツを通しての支援です。僕は母子家庭で育ち、幼い頃から苦しいことや辛いこともたくさん経験してきたので、一番の思いは経済的に恵まれない子どもや、障害を持っていたり、さまざまなハンデを持っている子どもたちの支援をしたいと思ったのが一番のきっかけですね」
──寒川でのイベントは大盛況でスタートしました。
「おかげさまで280人もの子どもたちが来てくれました。子どもたちはもちろん、親御さんからも非常に感謝の言葉をいただきました。準備も大変でしたし、至らない点もたくさんあったのですが、子どもたちがいろんなゲストに触れ合うことで夢を持つきっかけを作りたいという思いで、まずスタートしました」
──イベントはサッカー一色というわけではないですよね。
「自分の経験なのですが、オーストラリアのクラブ(パースグローリーFC)に在籍した時、オーストラリアの子どもたちは地域のスポーツクラブに入って、シーズンごとに夏はサッカー、冬はバスケ、春は陸上、水泳というようにいろんなスポーツに触れていしました。だからジョガスポーツカレッジという名前にしたのも、いろんなスポーツ、いろんな経験を楽しんでもらいたいと思いが強いので、今はまだサッカー色が強いですが、今後はいろんなスポーツを絡めていきたいですね」
──だからジョガサッカーではなく、ジョガスポなのですね。
「はい、ラグビーや野球、バスケなど横のつながりがあるアスリートと話していると、『育った地域への恩返ししたい』『選手だった経験を子どもたちに伝えたい』という思いを持っているアスリートがたくさんいるので、僕たち元アスリート、現役アスリートたちが団結していろんなスポーツを交えていろんな地域でこういった活動を広げていきたいと思います」

──サッカー教室の一日のスケジュールはどういうものでしょうか?
「参加者はサッカーをやっている子も多いですが、初心者や未就学児も多いので、まず誰でもやれるようなウォーミングアップやレクリエーションをやります。僕が吉本興業に所属している関係でお笑い芸人を呼んで、笑いとスポーツの掛け算で見せることも子どもたちに評判がいいです。
サッカー教室は午前中だけで、昼からはキッチンカーや縁日の業者を呼び、お祭りに遊びに来た感じで過ごしてもらっています。
イベントの最後にゲストのサインが入った修了証を子どもたち全員に無料でプレゼントします。子どもたちが修了証を部屋に飾ってくれたり、大人になった時に『このイベントに参加したことでサッカー選手になりたいと思った』という夢や目標のきっかけづくりの一端を担えればとてもうれしいですね」
──エキシビションでは太田さん自身、プロのすごさを見せていますよね。
「僕自身、子どもたちに知っていてもらわないとならない立場なので、メディアに出続けることを意識していますし、引退してもプロ選手だった動きを少しでも見せ続けることが大事だと思っているので、動ける身体をキープしています」
──ジョガスポでは、サッカー教室だけではなく、協賛企業の職業体験もされていますよね。
「はい。スポーツを体験するだけではなくて、子どもたちにいろんな気付きや体験をしてほしいので、スポンサー企業の小児科に子どもを連れて行って、『病院がどういう形で成り立っているのか』『先生は何をするのか』『看護師は何をするのか』『受付は何をするのか』ということを体験してもらいました。
子ども向けの職業体験施設の『キッザニア』という施設があるのですが、まさにああいうことをやりたいですね。これからもっともっと協賛企業を集めて、それぞれの企業へ子どもたちを連れて行っていろんな経験をしてもらう。子どもたちにいろんな企業を知ってもらい、小学生の時に『将来ここで働きたいな』と思うきっかけを持ってもらえたらうれしいじゃないですか。キッザニアを目指して、がんばっていきたいです」
──子どもたちにサッカー、スポーツを好きになってほしいのではなく、何でもいいので楽しいことを見つけてほしいんですね。
「小学校の時の社会見学って楽しかったじゃないですか。そういう体験を学校以外で体験してほしい。子どもたちは楽しんでくれるし、親たちも喜んでくれます。そういう体験はお金を払わないとできないですから、みんなに無料で参加してほしいという気持ちです。
4月末に食育とスポーツを掛け合わせたイベントを長崎大学に場所を提供していただき、学生や地域のお弁当屋さんにもご協力いただいて開催しました。サッカー教室をやって、そのあと収穫した野菜を実際に食べてというイベントです。これからは農業をからめて、自分たちで野菜を収穫して、出荷できるものと出荷できないものを判別し、できる範囲内での調理をして食べたり、食育として栄養について学んだり、プロのアスリートは普段どういうものを食べているか、栄養士も招いてやったりしていきます」
──引退された後のインタビューで「豊かな生活を送りたい」とおっしゃっている記事を拝見しました。太田さんの考える豊かさとは何ですか?
「ひとりでも多くの子どもたち、サポートしてくださった方々、応援してくれたファン・サポーターの方に直接、間接的に携わってもらって、いろんなものを還元していきたい。よりハッピーに、幸せになってもらいたい。一生与え続ける人になりたいですね」
──立ち上げから2年、ジョガスポではこれまで何回イベントを開催してきましたか。
「大きいイベント、小さいイベント合わせて42・43回。おかげさまで北は秋田県大館市、南は沖縄県で開催しました。今年に入って認知度が高まり、ありがたいことに呼んでいただく形でのイベントも増えてきました。8月10日(日)にはいわきFCの創立10周年記念試合の前座として、ピッチを使ってのサッカー教室の運営のお話をいただいたり、アリーナ立川立飛での共同イベントのお話をいただいたり、自分たちでゼロからイベントを企画していたのが、チームとの掛け算が増えてきました」
──ジョガスポの理想形をどのようにイメージしていますか?
「いろんなアスリートの地元で常設校を増やすことと、こちらがサポートして居場所をたくさんつくること。たくさんの支援者、思いに共感していただいた企業を巻き込んで、やれることの幅を広げていきたいですね。行政ともしっかり関係をつくり、子どもから高齢者までの健康促進、運動促進をジョガスポを支えていきたいです」
──そのようなプランに思い至った経緯は何ですか?
「去年の今頃、京都府福知山市へ視察へ行きまして、僕と同じ年齢の福知山ユナイテッドの代表理事をされている片野翔大さんという方にお会いして、高齢者が施設に集まって外との接点を作ったり、子どもたちがそこでサッカーやスポーツをやっていたりというスポーツを利用しながらコミュニティーをつくっている姿を見て、僕もまさにこういうことをやりたいと思いました」

──8月3日(日)には寒川で夏まつりを行いますよね。
「はい。寒川でのイベントは3回目ですが、今回はサッカー教室をやるリスクを考えて、寒川市内の倉庫でやることにしました。常設校でやっている場所を利用させてもらって、いろんなスポーツ体験ブースを作って、こどもたちに楽しんでもらうと思っています。外では縁日の業者を呼んで、キッチンカーやプールを用意します。最後には豪華賞品が当たるビンゴ大会をやるので、スポーツ教室というより地域のお祭りですね。参加費無料、申込不要になりますので、ひとりでも多く来てほしいですね。楽しいですよ」
『ジョガスポ夏祭り2025』は8月3日(日)11:00~15:00・マサインドア テニス&ビーチリゾートにて開催。サッカー体験やビーチサッカー体験をはじめ、ストラックアウト、ミニフットゴルフなどのスポーツアトラクションとともにヨーヨー釣り、スーパーボールすくい、千本釣りなどが楽しめる。入場無料、出入り自由、申込不要で誰でも参加できる。プロフリースタイラー・Yu-toが来場し、パフォーマンスを披露する。もろちん当日はジョガスポ共同代表の太田宏介と原口翔太郎もイベントを盛り上げる。
取材・構成:碧山緒里摩(ぴあ)
写真提供:ジョガスポーツカレッジ
取材日:7月4日
ジョガスポーツカレッジ公式Instagram
https://www.instagram.com/jogaspo/
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