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実力派俳優・中村蒼が語る夫婦の在り方「相手をリスペクトする気持ちが大切」

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舞台、ドラマ、映画と様々な作品に出演され、実力派俳優と名高い中村蒼さん。

そんな中村さんに、3月23日(土)放送の主演を務めるNHKスペシャル『詐欺の子』のお話はもちろん、現在FOD・Netflixにて配信中の実話を元にしたドラマ『夫のちんぽが入らない』についても伺ってきました。

「平凡な人生がどれだけ幸せなことなのか感じてほしい」

─── まずは主演を務めるNHKスペシャル『詐欺の子』についてお伺いしたいと思います。中村さんが演じられているのはオレオレ詐欺の犯人という役どころですが、最初に脚本を読んだ印象はいかがでしたか?

中村蒼さん(以下・中村) 僕は身近にオレオレ詐欺にあった人が幸いにもいなくて、この事件のことをそこまで深く知っているわけではなかったので、脚本を読むまではあまり現実味がない事件でした。でも、脚本や資料を読んで、被害総額について知っていき、大人だけではなく中学生のような子供達も事件に関わっているということを知って、事件の大きさに驚きました。作品の中にも、実際に事件に携わっていた方の証言があったり、その方々がご出演されていたりするので、リアルな作品だなと思いました。

─── 犯人という難しい役どころですが、役作りで意識したことはありますか?

中村 事件について調べはしましたが、あまり犯人役だからと構えることはしませんでしたね。僕が今回演じた役は、家庭環境や友人関係があまり良いものではなくて、そういう環境の原因もあって犯罪に手を染めてしまったんですが、実際に演じてみて、本当にこういうことをしてはダメだなと思いました。

─── どういう部分でそう感じられましたか?

中村 自分はこれまで平凡な人生を過ごしているなって思っていましたが、それがどれだけ幸せなことなのかと改めて思えることができたというか。過ごしている環境によって、人の人生は良い方向にも悪い方向にも行ってしまうんだなとこの作品を通して考えさせられました。

─── 撮影現場で印象に残っているエピソードはありますか?

中村 本作には、『カメラを止めるな!』の濱津(隆之)さんも出ているんですが、詐欺グループが詐欺を行うシーンの部屋の中に「電話を止めるな!」って書かれたスローガンが貼ってあったんです。最初、僕は不謹慎なんじゃないかなって思ったんですけど、実際の詐欺グループの部屋にもそういったスローガンが貼ってあったそうで。

─── 細部までこだわって再現されているんですね。

中村 そうなんです。監督はオレオレ詐欺のことをすごく調べていて、実際に詐欺をして刑を受けて更生された方に話を聞いていて、実際の部屋の雰囲気まで調べていたみたいです。だから本当にドラマというかドキュメンタリーのような作品になっています。

─── 撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

中村 現場の雰囲気はすごく良かったです。僕の意見も取り入れていただけて、好きにやらせていただける環境でした。撮影方法も手持ちのカメラで撮影していたりと、より人物や背景が自然体に映るように撮っていたのも印象的でした。

─── 共演者の方々とのエピソードがあれば教えてください。

中村 今回初めて、桃井かおりさんとご一緒させていただいたのですが、「桃井さんと共演させていただけるんだ!」という驚きがありましたね。そもそも日本の作品にあまり出られない方ですし、不思議な感覚というか。あとはお肌がとても綺麗でした(笑) 

─── とてもお美しい方ですよね。

中村 本当に美しいですし、カッコいい方で、共演させていただけたことが僕の財産になりました。2人だけのシーンは1シーンしかなかったんですが、それだけでもとても幸せでした。

─── 改めて本作の見どころをお願いいたします。

中村 オレオレ詐欺は、事故、事件という言葉で混乱させて冷静な判断をできなくさせてしまう本当にひどい犯罪です。被害にあわれた方々のほとんどが、あのとき本人に連絡をしていればよかったと後悔している方々ばかりです。僕みたいに被害にあったことがない人でも、どういう事件なのかと改めて知るということで今後の行動、判断が変わってくると思いますし、そして今ある幸せがどんなに素敵なことなのかと感じることができる作品になっていると思います。こういう事件は他人事ではなくて、こんなにも近くにあることなんだって感じていただきたいですし、もし最近、自分の両親に連絡を取っていないという方がいたら、連絡をしてみるキッカケにもなってくれたら嬉しいです。

「夫婦は相手をリスペクトする気持ちが大切」

─── 3月20日(水)からFOD・Netflixにて一挙配信されているドラマ『夫のちんぽが入らない』についてもお話を伺っていければと思います。原作もすごく話題になっている作品ですが、脚本を読んでみていかがでしたか?

中村 素敵な話だなと思いました。世間の普通というものに苦しめられて、傷つけられて、何度も挫折を繰り返していく夫婦の姿を描いているんですが、最終的に最短距離ではないけど、回り道しながら自分たちなりの答えを見つけ出して前に進んでいく2人は、本当に素敵だなと思いましたね。

─── 原作は著者であるこだまさんの実話を描いた作品です。

中村 ドラマでは、10話ある内の1話が旦那さん目線のものになっていて、それは完全オリジナルになっています。内容は違えど、誰しも悩みはあると思うんです。異性同士の悩みや自分の内面の悩みとか、人に言いづらい悩みって持っていると思うんですけど、周りにこう思われるからこうしなきゃではなくて、自分がこう思うからこうするんだって思うことが一番正解というか。信じて進んでいくことの大切さ、そしてそれがどれだけ勇気のいることかを教えてくれる作品になっています。

─── 石橋菜津美さん演じる久美子は、自分のことを“欠陥品”だと感じている女性ですが、同じ女性からしてもそう感じてしまうことの辛さは想像ができないほどです。

中村 久美子の母親は、結婚して数年すれば子供ができるのが当たり前と思っている人で、それを悪気なく口にしてしまい、それが本人にとって負担になってしまうんですが…。自分の知らないところで、自分の発言によって誰かを傷つけていることがあるのかもしれないと考えさせられましたね。自分にとっての普通、当たり前を他の人に押し付けてしまっていることもあるかもしれないですし。

─── 改めて、本作の見どころをお願いいたします。

中村 どうしても多くの人と違うことをしたり、多くの人ができていることができなかったりすると批判をされてしまいがちな世の中ですけど、一番大切なのは当人の気持ちだと思うんです。最近の世の中は第三者がいろんなことを言い過ぎているなと感じていて。批判されるべき人達はたくさんいますけど、最近はあまりにも批判を言い過ぎている人達もいるなと。一番大切なのは自分たちがどう思ってどう行動するかだと思うので、あまり流されすぎずに、その分ちゃんと自分の考えを見つけ出す努力は必要ですが、こうするって決めたことを信じて進んでいけばいいと思います。このドラマを見て、あまり周りを気にしすぎずに自分の人生を過ごしていくキッカケになってくれたらいいなと思います。

─── 2019年7月からは、シェイクスピアの名作喜劇『お気に召すまま As You Like It』へのご出演も決まっています。

中村 役者をやっていたらいつかはシェイクスピアの作品に出るかもしれないと思っていたんですけど、今年本当に挑戦できることとなりました。不安はありますが、演出の熊林(弘高)さんとは一昨年もご一緒させていただき、とても頼りになる演出家さんなので、またご一緒できて嬉しいです。

─── 共演者の方々も豪華な俳優さん達ばかりですね。

中村 そうなんです。素敵な役者さん達と毎日お芝居できるということも楽しみですね。皆さん才能溢れる方々なので、そういう方たちを間近で見て、負けそうになることもあるとは思うんですが、なんとか踏ん張って頑張りたいですね。

中村さんが新しく始めようとしていることとは?

─── ここからは少し中村さんのパーソナル面に寄ったお話も伺えればと思います。最近ハマっていることはありますか?

中村 最近は本を読み出していますね。ブログで「読了シリーズ」というのをやっているんですけど、去年、地方での撮影があったときに空き時間があって、本屋に行って小説を買ったのがキッカケで本は読み続けています。

─── 読む本はどうやって選ばれているんですか?

中村 僕はもともとは全然本が読めない人だったんです。だからまだ初心者なので書店さんが勧められているものを選んだり、「本屋大賞」になっているものはわりと読みやすいものが多いので、そういうところから読んだりしていますね。まだたくさん読んでいるわけではないんですが、ジャンルとしてはミステリーが好きだなって思ってきているところです。

─── これから新しく始めてみたい趣味などはありますか?

中村 日記ですね。ちょうど今日、10年日記をネットで注文したんです。だから届いたら10年間書き続けようと思っています。

─── 日記を始めようと思ったキッカケはなんですか?

中村 僕の祖父はもう亡くなっているんですが、亡くなったあとに祖父がつけていた日記が出てきたんです。すごく分厚くて毎日書いていたんだなっていうような日記でした。だけど僕の父が、人の日記は勝手に読んでいいものなのかって言って、とりあえず読まないでおこうってなったんです。でも、僕はチラッと読んじゃって…(笑)そうしたら日記には祖母のことが書かれていたんです。「今日もまた貴方のことを思っている」というような内容で。

─── それはすごく素敵ですね。

中村 祖父がそんな人だったって知らなかったので驚きました。おじいちゃんおばあちゃん世代になるとラブラブというイメージってあまりないじゃないですか。でもあとから聞いた話によると、当時はお見合い結婚が普通だった中で、祖父と祖母は恋愛結婚だったみたいで。勝手に読んでしまったという罪悪感にもかられましたけど、たまたま見たページのたまたま見た内容が祖母への愛を綴っている内容だったってことが、見て良かったなって気持ちにもなって、だから、いつか僕も日記を書きたいなって思っていたんです。10年日記は、毎年同じ日が同じページになっていて、去年の今日は何を書いていたのかっていうのがすぐ見比べられるらしいので、それも面白いかなって思いました。

─── そうなんですね。確かにそれは面白そうですね。

中村 ただ10年は大分長いスパンですよね。ちゃんと10年書けるように健康でいないとな(笑)

─── ぜひ10年続けていただきたいです。

中村 じゃあ10年後に続けていられたかどうか、ぜひインタビューしてください。

─── もちろんです!楽しみにしています。

中村 もう書いていませんってならないように頑張ります(笑)

「恥をかくことを恐れないでいたい」

─── 今後、俳優として目指していることはありますか?

中村 これまでもそうだったんですが、なるべくいろんなことに挑戦していこうと思っています。年齢を重ねると保守的になる気がするので、そうならないように、いくつになっても初めての世界に飛び込めるような姿勢でいたいと思っています。恥をかくことを恐れないでいたいので、そういう気持ちで仕事に向き合っていきたいです。

─── 中村さんは現在28才ですが、あと2年で30代になるということで心境の変化って感じていますか?

中村 僕の実家は誕生日のときに大きくお祝いごとをするような家庭じゃなかったので、あんまり年齢に対してどうっていう感情がないんですよね。この仕事をしていると作品中に祝っていただくことがあるんですが、祝われ慣れていないのでそれがすごく恥ずかしくて…。リアクションも下手なのでお祝い損になっちゃいそうで、なるべく誕生日の日は仕事が入っていないといいなって思っちゃうんです(笑)だからあまり年齢で心境が変わるということはないのですが、ただ、お芝居じゃない事も知っている人間にはなりたいです。あとは余裕がある人でいたいですね。せかせかしていないというか、ゆったりとした穏やかな人でありたいです。

─── 今の中村さんも穏やかな方だなという印象を受けています。

中村 そうですか?じゃあこのままの僕で行きたいと思います(笑)

本日はありがとうございました。

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(撮影/杉映貴子、取材・文/榎本麻紀恵)

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