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真言密教の至宝が一堂に集結!『国宝 東寺』展、開幕

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第四章展示風景

唐で新しい仏教である密教を学んで帰国した弘法大使空海。その空海が真言密教の根本道場とした京都・東寺に伝わる優れた仏教美術を紹介する『国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅』展が、東京国立博物館で6月2日(日)まで開催されている。

右から、重要文化財《弘法大使像(談義本尊) 賛 伝後宇多天皇筆》一幅 鎌倉時代・14 世紀 東寺(展示期間:4/21(日)まで)、《弘法大師坐像》一体 江戸時代・18 世紀 東寺(通期展示)、空海撰・最澄筆 国宝《御請来目録》一巻 平安時代・9 世紀 東寺(展示期間:4/21(日)まで)、空海筆 国宝《風信帖》一巻 平安時代・9 世紀 東寺(展示期間:5/19(日)まで)

794年、平安遷都にともない、平安京羅城門の東西に王城鎮護の官寺として西寺とともに作られた東寺。そんな東寺が真言密教の根本道場になったのは823年のこと。唐で密教を学んできた空海に、嵯峨天皇が東寺を下賜したことから始まる。

804年、31歳で密教を極めるために命がけで唐に渡った空海は、そこで師と仰ぐ恵果と出会い、わずか2年で密教を修めて帰国するが、その際に唐から数々の優れた密教美術の造形物をもたらした。本来20年の留学期間を短縮して帰ってきたことから、空海は一時期みやこに戻ることを許されないなど不遇な時期を送るが、嵯峨天皇に目をかけられ、みやこで活躍する場を与えられることとなる。

李真等筆 国宝《真言七祖像(金剛智、善無畏、不空、恵果、一行、龍猛、龍智)》 七幅 [金剛智、善無畏、不空、 恵果、一行]中国 唐時代・永貞元年(805)、[龍猛、龍智]平安時代・ 弘仁 12 年(821)
(展示期間:不空・恵果・一行は4/21(日)まで、善無畏・龍猛は4/16(火)〜5/12(日)、金剛智・龍智は4/16(火)〜21(日)、5/14(火)〜6/2(日))

空海が《御請来目録》で「密教は奥深く、文章で表すことは困難である。かわりに図画をかりて悟らないものに開き示す」と語るように、密教の世界では、絵画や彫刻などの造形作品などイメージの力が重視され、東寺には密教美術の優れた作品が多く残されてきた。

同展は「第一章 空海と御七日御修法」「第二章 密教美術の至宝」「第三章 東寺の信仰と歴史」「第四章 曼荼羅の世界」の四章構成。

第一章では、空海の肖像や書、空海が中国から持ち帰った密教法具を展示。また空海は亡くなる年に、真言宗で最も重要で、かたく秘された儀式「御七日御修法」を始める。これは真言宗の僧でも知らない人がいるという修法だが、今回、堂内の様子を再現している。

重要文化財《両界曼荼羅 胎蔵界(甲本)》二幅 平安時代・建久 2 年(1191) 東寺(展示期間:4/7(日)まで)

第二章では、東寺に伝わる絵画、彫刻、工芸を展示。東寺は「曼荼羅のお寺」とも言われるが、同寺に伝来する、現存最古の彩色両界曼荼羅図である国宝《両界曼荼羅図 西院曼荼羅(伝真言院曼荼羅)》(展示期間:4/23(火)〜5/6(月))を含む4件を公開。

国宝《女神坐像》一体 平安時代・9 世紀 東寺(※通期展示)

第三章では、空海が東寺を任される以前の遺品などを紹介。真言僧として修法の伝授を受けた後宇多天皇の書や、鎮守八幡宮に祀られている女神坐像、あるいは平安京の羅城門に安置された仏像など、東寺の信仰と歴史を今日に伝える宝物の数々を紹介する。

第四章 展示風景

第四章では、空海が作り上げた曼荼羅の世界を体感できる講堂安置の21体の仏像からなる立体曼荼羅のうち、史上最多となる国宝11体、重文4体、合計15体が出品。しかも今回は、密教彫刻の最高傑作とも言われる仏像たちが、360度どの角度からも見られるように展示されており、その姿は圧巻だ。そのほか本章では、密教の仏様と縁を結ぶ儀式の際に、壇の上に敷いて用いられる《両界曼荼羅図(敷曼荼羅)》や、一文字で仏を象徴的にあらわす種字で描かれた種字曼荼羅など、多種多様な曼荼羅も展示される。

国宝《帝釈天騎象像》 一体 平安時代・承和 6 年(839) 東寺(※通期展示)

また立体曼荼羅21体の中でも、一番人気の《帝釈天騎象像》。人気仏像と言えば《阿修羅像》(興福寺蔵)を思い浮かべる人も多いと思うが、この帝釈天も負けてはいない。仏像界イケメンナンバーワンとも称されるこの仏像が、なんと今回は個人利用に限り、写真撮影が可能に。思い出だけではなく、写真も持ち帰ることができる。

長い歴史の中で、京のみやこは度重なる戦乱や火災によって焦土と化し、現在の京都には平安京の面影も、羅城門も西寺も残っていない。その中で唯一当時の姿をとどめている東寺、そのゆかりの国宝約30件、重要文化財約60件を含む100件を超える名宝が集結したのが同展だ。

1200年にわたり信仰を集めてきた東寺の、いまなお色あせることない、多面的で多種多様な名宝たち。密教の圧倒的な世界観に身を委ねてみてはいかがだろうか。

関連リンク

国宝 東寺―空海と仏像曼荼羅