渡辺翔太・松原タニシ ホラー対談「もっともっと売れるんだ!という精神の大事さをヤヒロから学びました」
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渡辺翔太・松原タニシ (撮影/梁瀬玉実)
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すべて見るヤバすぎる事故物件に隠された謎に迫る『事故物件ゾク 恐い間取り』が7月25日(金)より公開される。「事故物件住みます芸人」の松原タニシの実話が物語の軸になっている。今作で、タレントになる夢をあきらめきれずに事故物件に住む桑田ヤヒロ役を体当たりで演じているのが渡辺翔太だ。次々と襲い掛かる怪奇現象の恐怖におののくリアルな表情を連発。人一倍憑りつかれやすい優しさを持つ役どころがハマり役だった渡辺と原作者の松原タニシの対談では、現場での恐怖体験が次々と明るみに……⁉
タニシさんのこと、ちょっと怖がっちゃってて、すみません(笑)

――まずは渡辺さんに大人気の『事故物件』シリーズの最新作出演のオファーを受けた際のご感想からお願いします。
渡辺翔太(以下、渡辺) 怖いものは苦手なので、ゾクッとしました。でも、ホラー作品を観るのは好きなので、嬉しかったですね。今回、映画初単独主演ということで、緊張感やプレッシャーをずっと感じながら撮影しました。
――今作は事故物件芸人である松原さんの実話をベースにしつつ、映画として内容をバージョンアップさせたストーリーです。松原さんの「ヤバい事故物件に住み続けるシリーズ」は、大変人気で現在は事故物件に住まれて24軒目だそうですね。
松原タニシ(以下、松原) 24軒目です。一般的にはただ安いだけで当たりの何も霊障がない物件ももちろんあるんですよ。衝撃的な出来事とはなかなか巡り合えないもの。でも、何も感じないところに住むのは、事故物件住みます芸人としてネタが何もないということなので、全然おいしくないです(笑)。
渡辺 今住んでる24軒目は夜、女性の歌声が聞こえてくるっていう話を聞いて、とても怖かったですよ。
――怖いです。松原さんが住んだら、そのマンションはクリーニング済みになってもう大丈夫なんですかね。
松原 いや、ルールが変わって、一人住んだらクリーニング完了ではなく、3年間は不動産屋が事故物件ですよって告知しないといけないんですよ。
――知らないで住むのは怖いので、最低3年ルールは必要ですね(笑)。ちなみにお二人は今作で初共演になりますが、撮影現場ではどんなコミュニケーションをとられたんでしょうか。
松原 撮影現場におじゃますることもあったんですが、渡辺さんの演技をモニター越しでずーっと見てました。全部の物件は直接見てないですが、何軒かは立ち会わせてもらいましたね。初めてお会いしたのは、撮影に入る前のお祓いでしたよね。
渡辺 そうです。この映画は実話に基づいていて、その張本人の方ということで、あのとき僕はちょっと怖がっちゃっていて、すみません(笑)。じつは今も結構、怖いです! 「タニシさんが現場にいらっしゃると何かが起こる」ってスタッフさんはもちろん亀梨和也くんもおっしゃっていましたから。

――渡辺さんは若干、今もおびえ気味でいらっしゃいますね(笑)。
松原 ふふふふ。
渡辺 はい。ちょっと身構えています。亀梨くん、「タニシさんにあまり会いたくない」って言ってましたよ。「タニシさんが悪いわけじゃないですし、タニシさんが嫌いなわけじゃないけど。でも、会うとなんか起きるから会いたくないんです」って言ってました(笑)。
松原 そうなんです、そう言われました(笑)。
渡辺 その話を聞いた段階から、僕はもうちょっとビビっちゃってましたもん(笑)。
――撮影するにあたってリアルなご本人のお話を聞くと、余計に怖さが増しそうですね。
渡辺 そう、余計に怖くなりましたよ。映画をご覧になる方も「これって実際に起きたことなんだよな」っていう風に思いながら見ると、より多分、怖さのバイアスが変わってくるんじゃないかな。
松原 現場でもリアルに怪奇現象が起きましたからねぇ……。
渡辺 タニシさんがカメラで撮った実際の怪奇現象見せてもらいました。
松原 ウィスキーが動くやつでした!
渡辺 現場で怖い映像と怖い話をたくさん聞いて、だいぶ鍛えられましたね。
――鍛えられて良かったですか?
渡辺 良かったです。現場のスタッフさんはみんな怖いことが起きると、めちゃくちゃ楽しんでいて、笑っているんですよ。意外とホラーの現場は笑顔に溢れていて。ホラーと笑顔って対極にある感じもしたので、ちょっと奇妙な現場だなと思いましたけど(笑)。
1軒目の物件は“オールスター”なんですよ

――今回、4つの事故物件が登場するんですけど、セットもありつつ、実在するロケーションでも撮影したそうですね。ここは本当にヤバそうだなと感じて、撮影していても怖かった物件があったら知りたいです。
渡辺 どれも怖かったですけど、僕はやっぱ1軒目です。必ず憑りつかれる部屋っていう古びたマンションですね。1LDKの1人暮らしの部屋って感じで、よりリアルな感じがしました。単純に怪奇現象じゃなくても、夜に普通にインターホンになっただけでももう怖いよなって思いましたから。意外とちょっとした音で「怖い」と感じて驚くことが多い場所でした。
松原 うん、普通に怖いですよね。
渡辺 結構、「怖い」って色々と幅と種類があるなって思いました。
松原 あの場所はオールスターなんです。多分ね、5軒分ぐらいの僕の体験が凝縮されていたと思いますから。

松原 僕は1軒目の現場は見られてないんですけど、出来上がった映像を観ました。渡辺さんが壁にグリグリ頭こすりつける場面があって、あれ怖いです(笑)。実際、僕は布団でプルプル震えてただけやったんですけど、「あ、10倍ぐらい怖くなってる」と思いましたから。
渡辺 怖いですよね。中田監督が実話にプラスしてちょっと味付けしてるんですが、その演出が怖い!! 髪の毛へばりつくくらい壁にゴシゴシするシーンがあるんですよ。
松原 渡辺くんの怖がる表情がまたリアルだった。
渡辺 いや~、 難しかったです。
松原 怖かったですよ。怖がってる渡辺さん見ると。
渡辺 良かった。お化けだけでなく、お化けを見て怖がってる人で驚くようなシーンもいっぱいあるから。リアクションがいかに大事かっていうことは、クランクインの前に中田監督から口酸っぱく言われたので。
松原 主役であり、生贄ですから(笑)。
――渡辺さんの驚く表情のバリエーションが本当に豊かでそれにも驚かされました(笑)。
渡辺 かなりリハーサル重ねましたからね。
ホラー作品ならではの驚くお芝居が見どころ

――ちなみに渡辺さんは撮影で事前にイメージしたことと現場に立つと結構違ったなと思ったところはありますか。
渡辺 あります。クランクインの前にリハーサルを結構、回数重ねていたんですけど、それもホラーの作品ならではで。脚本を読んで、リハーサルに挑んだんですが、やっぱり思った以上にホラー作品ならではの驚くお芝居が求められました。中田監督からは「映像の芝居をそのままリアルにやっちゃうと弱い。編集した時にホラー映画って音でも驚かせられる。SEとか、いろんな効果音とか、編集で入ってきて、すごいボリュームになるから、ちょっとお芝居も厚めな感じでいかないと、編集に負けちゃうかもしれない」ということを教わって、「これは勉強になったな」と思いました。
――ホラーならではの独特のお芝居なんですね。
渡辺 その中で、オーダーがあって難しかったのが、「舞台とドラマの間のお芝居でお願いします」っていうもの。すごく難しかったですね。やりすぎたら、「ちょっと抑えて」って指示をいただいて、抑えすぎたら、「ちょっと抑えすぎかも」っていう細かい微調整を重ねました。中田監督のホラー現場ならではの体験ができたと思います。

――渡辺さんが演じた役が松原さんということで、松原さんは何かアドバイスはされましたのでしょうか。
松原 いや、何も。あ、アドバイスとかはないですけど、「現場でなんか不思議なことがあったら教えて下さい」とは言いました。
渡辺 不思議なこと……。セリフの中で「何でも幽霊のせいにしちゃダメだよ」っていうセリフがあるんですけど。でも、こういう撮影してると、やっぱどうしてもそのせいにしたくなりますよね。ホント急に何もないところで照明が思いっきり割れたんです。
松原 それ、結構なすごいことだ!
渡辺 でも、スタッフさんたちは、前作など色々撮ってる人たちだから、もう慣れてるみたいで。何事もなかったように、「なんか割れたね~」みたいな感じだった(笑)。
松原 はい、はい、はい、そうなりますよね(笑)。
渡辺 冷静なんですよ。自分からしたら、それもかなり奇妙でした。あとは、現場で待機時間があって寝ていると、金縛りにあいました。
松原 そうなんだ。ちなみにどこの現場?
渡辺 僕が演じるヤヒロは上京する前、福岡の工場で働いているっていう設定なんですよね。そのシーンの現場で結構、危機感がありましたね。待機場所で寝ていたら、めちゃくちゃ金縛りにあったのはそこ。「何でもお化けのせいにするな」っていうセリフがあっても、撮影中にいろんなことがたまたま重なると、お化けのせいにしたくなるなっていうのは、何個かありましたね。
松原 渡辺さんは多分、気づいてないと思うんですけど。メイキングシーンを撮っていたスタッフさんがいたんですよ。「お疲れ様です」って渡辺さんが撮影に入ったんです。そしたら、そのスタッフさんのスマホの画面がおかしくなって、誰かにメールを送る画面になってて、そこの宛先にずっと「らりるれろらりるれろらりるれろ」って勝手に打ち込まれて。スマホは机に置いてるのに勝手になったらしいです。
渡辺 えっ、それ、聞いてない!! 見てない。聞いてない……。
松原 めっちゃ気持ち悪かった。これこれ。(と、渡辺にスマホの動画を見せる松原)
渡辺 えー、本当だ。怖っ……。
松原 スナックシーンの撮影の時、勝手にスマホが動いた。
渡辺 僕、これ聞かされてないです。振り返ってみると、こういう怪奇現象が多い現場だったんで、結構フィジカルを使う現場ではありましたね。
「売れるためになんでもやる」精神は大事だなと思いました

――渡辺さんはタレントとして売れるために、事故物件に住むヤヒロにどこか共感できる点はありましたか?
渡辺 ヤヒロは売れるためだったら、手段を選ばないというか。そのガツガツした、「売れるんだったらなんでもやってやる!」っていう精神は、非常に大事だなと思いました。そういう貪欲さは、自分も持つべきだなと思いましたね。自分もそれぐらい「もっともっと、まだまだ売れるんだ!!」っていう気持ちを持っていたいです。いただいたお仕事は何でも全力で取り組むんですけど、事前に頭でっかちになって考えすぎずに直感で「やってみようかな」っていう精神の方が、意外といろいろ上手くいったりするのかなって、ヤヒロを演じたことで思いました。
――松原さんは映像になるのが楽しみだった場面はどこですか?
松原 そうですね。ラストシーン、どうなるかっていうのは、めっちゃワクワクしましたけども。完成した作品を見て、「そうだったのか」っていう驚きがありました。ヤヒロが怪奇現象に遭っていくシーンは、僕が体験した話を散りばめていただいてるんですが、それを渡辺さんがやったらどうなるんだろうって期待を持って見たら、本当に怖いなって思ったんですよ。他人事になると本当に怖い。渡辺さんというフィルターを通すことで面白い作品になったと思います。渡辺さんは他人事として最高の犠牲者を演じてくれました(笑)。
渡辺 で、僕はその逆ですね。他人事なんだけど、これが実際にあったって思うと、やはりより怖くなるって。タニシさんとは完全に逆現象でした(笑)。
『事故物件ゾク 恐い間取り』
2025年7月25日(金)全国公開

配給:松竹
(C) 2025「事故物件ゾク 恐い間取り」製作委員会
タイトル:『事故物件ゾク 恐い間取り』
原作:松原タニシ「事故物件怪談 恐い間取り」シリーズ(二見書房刊)
監督:中田秀夫
出演:渡辺翔太(Snow Man) 畑芽育 吉田鋼太郎
企画・配給:松竹
制作プロダクション:松竹撮影所
公式X:https://x.com/jikobukken2025
公式Instagram:https://www.instagram.com/jikobukken2025/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@jikobukken2025
公式サイトURL:https://movies.shochiku.co.jp/jikobukken-movie/
撮影/梁瀬玉実、取材・文/福田恵子
渡辺さんスタッフ
スタイリスト/櫻井 賢之
ヘアメイク/TAKAI(undercurrent)
衣装クレジット/
ジャケット¥224,200、シャツ¥139,700、パンツ¥151,800、その他スタイリスト私物
<ブランド名>
・Plan C/プラン シー
<問い合わせ先>
・ブルーベル・ジャパン ☎03-5413-1050
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