水谷豊と寺脇康文が17年ぶりにふたり揃って登壇 「さよなら 丸の内TOEI」『相棒 -劇場版-』舞台挨拶レポート
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『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』上映前舞台挨拶イベントより
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すべて見る7月24日、丸の内TOEI閉館に向けたプロジェクト「さよなら 丸の内TOEI」にて、映画『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』舞台挨拶が実施され、上映前に杉下右京役の水谷豊と亀山薫役の寺脇康文が登壇した。
「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトは、劇場へかかわる全ての人への感謝と「映画館で映画を観る」ことの大切さを改めて訴求することをコンセプトに、2025年7月27日(日) に幕を閉じる丸の内TOEIのグランドフィナーレを飾る企画。5月9日から7月27日(日) の80日間にわたって数々の傑作特集上映に加え、劇場を活用した各種イベントが実施される。
実に17年ぶりに水谷豊と寺脇康文が登壇すると、会場からは割れんばかりの歓声と拍手が沸き上がった。水谷は「皆様、ようこそ『相棒』ワールドへ。警視庁特命係の杉下右京です」といきなり観客を『相棒』の世界観へと引き込むと、観客席から「右京さ~ん!」と待っていたかのように、呼びかけが起こった。そんな水谷への黄色い呼びかけに「それ、そ~れい! それそれ~い! 同じく、亀山薫です!」と寺脇もすかさず反応した。
MCが17年ぶりの登壇を歓迎すると、寺脇は「ただいま、そして“さよなら”。いや、本当に懐かしいですね。当時はたしか(客席の)後ろから出てきて、みんなとハイタッチしながら入ったんです」と話した。さらに、当時の舞台挨拶に来た観客が居るか問いかけると、チラホラ手を挙げる観客に思わずふたりも笑みがこぼれ、寺脇から「17年前……2008年か~、怖い(笑)」と時の流れの早さに驚く。
早速、MCが役衣裳での登壇に触れ、“事件が起きるのでは!?”と投げかけると、寺脇が「(劇場から)出ないでください!! まだ! 事情聴取してからです!」とコミカルにボケて、会場を和やかな雰囲気に包みこんだ。水谷は「とにかく相棒はですね……(ドラマが)始まりまして、シリーズになってから、我々には“映画を作りたい”という夢と目標があったんですね。ですから17年前、ここに実際に立った時に『本当に実現したんだ、我々の夢が』と思いましたね」とひとつひとつの足跡を思い返すように、じっくりと想いを語ると、寺脇も相槌を打ちながら「感動しますよね」と当時の感情を明かした。
そして、今回上映される映画についての話題へ。8年間のドラマ放送を経て満を持しての映画化が決まった当時の心境について問われると、寺脇は「ドラマやってる時から、『これもう、テレビのスケールじゃないよね』って話していて、目標として『映画までいけたらいいですよね!』なんて話をしてたんですよ。それが形になって、こんな大きいスクリーンで観れたんでね、本当に感動しましたね」と明かした。
水谷に撮影時の思い出を問いかけると、「えっと……なんせ17年前ですからね~」と、どのエピソードを語るか思いを巡らせる。MCからのアシストを受けて思い出した水谷は「そうです! 実は僕、中学の時に陸上部に引っ張られて、陸上部に入ったことがあったんです。そこが全日本クラスの学校でしたから国立競技場で走ったことがあったんです。そこに『相棒』で、それ以降初めて国立競技場に行ったので、みんなには当時言わなかったけどひとりで、『ああ、ここ走ったな』とジーンとしていました」という裏話が初めて水谷の口から語られた。
17年前に丸の内TOEIに登壇した時の気持ちを問われると、寺脇は「感無量ってこういうことかなって感じでしたね。もちろん試写会とかで観てましたけど、皆さんの前で一緒にその時間を過ごせるのが夢のような。(映画を)やるんだ本当に、という感じでしたね」と目を輝かせた。さらに、MCから舞台挨拶で実際に客席から感じる『相棒』ファンの熱量を感じられたのではという問いかけには、水谷も「まったくその通りですね。(熱量の高いお客様を)実際に目の当たりにして、その時は『こんなに相棒を観てくれているんだ』と実感しました」と語った。
会場内には「右京さん」と書かれたファンお手製の団扇も見られ、観客から「右京さん」コールの声が巻き起こると、寺脇が「薫ちゃんは無いのかな? 団扇は無いのかな?」と茶目っ気たっぷりに反応。これにはここぞとばかりに、ファンの想いも溢れ、沢山の呼びかけがふたりに向けられた。
続いて質問は、『相棒』シリーズの物語に。ドラマの事件がいまやサイバー犯罪へと変化したことについて、水谷は「(時の流れを)感じますね。『相棒』は、思えば“大人がテレビを観なくなった”と言われた時代が始まりだったんです。我々はとにかく“大人を振り向かせたい”という想いを持っていて。それにはまず社会的であること、それとやはりエンターテインメントであること。そこから社会派エンターテインメントっていうことを言い始めたんです。そこにはいつも“今を生きていこう”ってそんな話をふたりでしていたことから始まったことを覚えていますね。いつもその社会が後ろにはあって、今に至っている。そう思うと、その時代時代が全部映っているはずなんですね」と当時抱いていた想いを明かし、寺脇は「25年の日本の歴史が、バックボーンにあるということですね」と添えた。
そんな経緯を経た映画が、その後300万人動員を記録した記念で行われた当時の大ヒット御礼舞台挨拶で、お祝いのケーキが壇上にあったことに話が及ぶと、寺脇はすぐさま「覚えています。(舞台の)真ん中にデカい、ウェディングケーキみたいなのがあってふたりで挟んで写真撮った覚えがあります」と話し始めると、「……?」と訝しげに寺脇の顔を見る水谷の姿が。さらに、MCから当時のコメントを読み上げるも水谷は「僕がですか? そんなこと言ってましたか(笑)」と、まったく覚えていない様子。ただすかさず、「……嬉しかったですね」と水谷が話を合わせると、これには会場に集まる全員が大爆笑に襲われた。
そのままの流れで、全国津々浦々35回にわたる舞台挨拶を行ったことにも話が及ぶと、水谷は「ええ、回りましたね、やりましたね。……信用されていない(笑)」と、さきほどの記憶がなかったことを受けて、自虐気味に一言。これには寺脇も「覚えてないんじゃないの~?」と、会場の気持ちを代弁するかのように水谷をイジった。
ただ、各地方での盛り上がりについては水谷も「覚えてますね。どこへ行っても温かく迎えてくれて。こんなにも『相棒』が喜ばれているんだって思いました」と力強く話した。「やはり実際、我々撮影と画面の中だけですからね、こういう(お客様とのやり取りは)初めての機会でしたから」と全国の『相棒』ファンの熱量の高さを思い返した。
続けて、思い出したかのようにシリーズ開始当初のエピソードも披露。「始まったとき右京のキャラクターが嫌な奴だったでしょ。近寄りがたいというか。ですから、ロケ先で『あ! 相棒相棒!』って気づかれた時に、みんな寺脇の方へ行くんですよ」と、ギャラリーが集まったことを今でも悔しいと嘆いた。
また、水谷の役柄イメージが強いエピソードとして、寺脇は「いまだに周囲から、知り合いから『水谷さんって右京さんみたいなああいう人なの?』って言う人がいるんですよ。それだけ右京という役がね」と水谷に投げかけると、「(自分の中に)居るんですよ」と語り、続けて「かつて『熱中時代』のあの頃を見ていた人はね、『昔はあんな人じゃなかった』って言うんだよ」とまたもや会場を沸かせた。これには寺脇も「(水谷は)やる役やる役がもう、その時の一番をクリアしていて、ヒットヒットヒットヒット(の連続)でね。上回ってくるから」と称賛した。
一方で、水谷は自ら「でも最近は右京もだんだん、普通になってて」と話し、また寺脇も「でも本当に、ロケを見に来てくださった方々にも右京さんは『行こう』と握手したりお話したりしていて、神対応って書かれてました(笑)」とコンビで親近感をアピールした。ふたりから語られたエピソードから、世の中にも右京の変化が届いていることが垣間見えた。
続いて、17年ぶりにコンビ復活となったふたりへ心境の変化を伺うと、寺脇は「いやもうそれ以前に、俺が亀山で帰ってくるとは微塵も思ってないですから。その時に豊さんからお電話でそのお話をいただいたときにびっくりして青天の霹靂ってこういうことかとなりましたし、『これ(サルウィンから)帰る? 亀山としてですか?(電話口の向こうにいる水谷に)あなた本当に豊さん? もう60歳になりますけど大丈夫ですか?』」と復帰の話が来た時の逸話を明かした。
さらに、寺脇が亀山を若々しく演じているというマネージャーからのタレコミに対して「なんか亀山が下りてきていて『お前、身体鍛えろ! このやろう! こんなんじゃ使えないじゃないか』」と自身を鼓舞していることを明かし、「あと、20年くらい(一緒に)やってください」と水谷に頭を下げる展開に、拍手が沸き上がった。
そんな亀山の復帰には、水谷も「14年ぶりの出会いの回が『どんな出会いするんだろう』と思っていたんですよ。そしたら、脚本がね大げさでもなくて、14年ぶりの再会なんてドラマティックにしたがるじゃないですか。だけど全然ドラマティックじゃなくてサラッと会うんですよ。これがもう素晴らしい脚本で」と絶賛。寺脇も「普通でしたもんね、しかも割と早い段階で『右京さん! 亀山薫です!』ってね」と亀山を演じると、水谷も応えるように『分かってますよ』と右京を実演。これには、客席から歓声が沸き上がった。
舞台挨拶も終わりの時間が迫る中、寺脇は昨年亡くなった西田敏行とのエピソードにも触れ「右京さんとのふたりのシーンがすごい良かった。僕撮影現場で見ていて、すっごい覚えています」とグッと想いを伝え、水谷も「西田さんは長い間存じ上げていたんですがカメラの前でふたりで立ったということがずっと無かったんですけど、この『相棒』の劇場版で初めてふたりでお芝居をして、1回だけでしたけどもとてもご一緒できてよかったですし、またこれを今日みなさんに観ていただけるというのがとても嬉しいですね」と思いを馳せた。
最後の質問として、改めてふたりへ『相棒』の魅力を伺うと、寺脇は「そりゃもう、右京さんですよ。それに尽きますよまずは。僕は豊さんに憧れて役者になったんですから。その方とこうやって共演できている嬉しさと驚きがあります」と気持ちを水谷に伝えると、水谷は、寺脇が三宅裕司主宰の劇団への入団オーディションで自身のモノマネをしたエピソードに触れ、寺脇も「はい、三宅さんの前で『あ~らららら、校長先生!』ってモノマネをして、それで受かったんです。ありがとうございます!!」と一礼。これに水谷は「良かったです、お役に立てて」とリアクション。
さらに「相棒はバディもので、それまでにもいろいろとあったけれども、(寺脇と)初めて仕事をしたのが『刑事貴族』でね」と振り返り、寺脇も同じ記憶を辿るように「僕、正確に覚えてます。『7年くらいしたら、また一緒にやればいいじゃない』って豊さんと別れて。それで『相棒』が始まったのが7年後なんです」と逸話を明かした。水谷は「本当にそうなんです。ふたりでバディものをやろうと思った時に、ふたりの中では杉下右京と亀山薫というイメージがもうあって、そして脚本が見事だったんです。もう一回したいね、と思っている中で脚本、演出、監督、キャスト、皆が揃った中で始まれた作品だった」と語った。さらに寺脇も「豊さんがいつも仰るんですけど、『誰とやるか、何をやるか。このふたつが大事だよ』と。その時はビシッと揃いましたね」と大人気シリーズの誕生秘話を明かした。
トーク後に行われたフォトセッションでは、水谷が後ろ手を組み寺脇がサムズアップでお決まりのポーズで応える。さらに、閉館が迫る劇場へ“さよなら”の意味合いを込めて、手を振る仕草で写真撮影を行っていると、観客から「右京さん!」コールが飛び交う、熱量の高いフォトセッションとなった。
最後に、閉館する丸の内TOEIへの想いを問われると、寺脇は「この劇場は、公開してから実はこっそりひとりでも来たことがあって。そんな思い出のある劇場で今日、また最後にみなさんに観ていただけるということで、最後までごゆっくりお楽しみください! 本日はありがとうございました!」と述べ、水谷は「どなたかが仰った名言に『記録よりも、記憶に残る』という言葉がありますけれども、この丸の内TOEIそして『相棒』がみなさんの記録よりも記憶に残っていただけたらと思います。今日はありがとうございました!」で締めくくり、イベントは幕を閉じた。
<イベント情報>
「さよなら 丸の内TOEI」
7月27日(日)まで東京・丸の内TOEIにて開催中
公式サイト:
https://marunouchi-toei-sayonara0727.jp/
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