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名曲の数々に胸アツ! GRe4N BOYZの軌跡、家族の思いを描き出す舞台「それってキセキ」

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(撮影/黒豆直樹)

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「愛唄」「キセキ」などのヒット曲を世に送り出した、4人組人気アーティスト「GRe4N BOYZ」。福島県内の歯科大学に通う学生だった彼らがグループを結成し、顔も名前も出さない覆面アーティストとしてデビューして国民的な人気を博すようになるまでの軌跡を描く舞台「それってキセキ」が7月31日に開幕する。7月下旬に行なわれた通し稽古に足を運んだ。

開幕まで10日余りとなったこの日は、初めて本番で使われる衣装を着用しての通し稽古となった。冒頭の前説で劇中、GRe4N BOYZの7曲もの楽曲がライブ形式で使用されること。舞台後方のスクリーンには歌詞も映し出されるので、観客も一緒に歌うことができるということが説明される。

とはいえ、本作はあくまでもストレートプレイ。楽曲が使用され、歌唱のシーンはライブさながらの盛り上がりを見せるが、ストーリー構成は奇をてらうことなく、いたってシンプル。ノンフィクション作家の小松成美の取材に基づく原案をベースに、リーダーのHIDE(北川尚弥)をはじめ、navi(藤本洸大)、92(丸山龍星)、SOH(佐藤匠)のメンバー4人の姿を丁寧に描き出しており、ただそれだけで非常にドラマチックで観る者の心に響く物語となっている。

ストーリーの始まりは1999年。中高を高知県内の全寮制の学校で過ごしていたHIDEが、帰省した際に母親が語った言葉に背中を押される形で医学の道に進むことを決意し、3度の受験失敗を経て、福島県内の大学の歯学部に進学し、そこで予備校時代の友人のnaviに再会する。予備校時代を東京で過ごしたHIDEは、裏原宿でファッションの世界に魅了される。当時は洋服の世界に憧れを抱いており、大学入学後も足繁く東京へと通っていたが、やがて自然豊かな福島が大好きになっていることに気づき、ファッションではなくnaviとの音楽活動にのめり込んでいく。

物語が進む中で、HIDEの家族を大切に思う気持ち、そして「これ」と決めたら、とことんまでのめり込み、突き進んでいく性質や常に明るくポジティブで、太陽のように周囲を照らし、引っ張っていく気質が見えてくる。

そして、そんなHIDEに影響される形で、naviはHIDEと共に「グリーン」を結成し、92とSOHもHIDEに誘われて加入する。子どもの頃に心臓に疾患を抱え、運動ができずにピアノを習っていたnavi、歯医者の両親の長男に生まれ、小さな頃から歯医者となることを義務付けられて育ち、そんな親に反発を覚えるも、かといって自分でやりたいことや夢もなく結局、歯学部を受験したSOH、ずっとバスケに打ち込んできて、大学でもバスケ部で活動していた92。

メンバーひとりひとりの子ども時代や青春の葛藤、歯学部を目指すことになった経緯などが丁寧に描き出されるが、その中でも特徴的なのは、それぞれの家族との繋がり、関係性を深くじっくりと描いている点。母の願い、父の思い、父と子、母と子の関係性が、4人の母親(斉藤レイ、光月るう、田野聖子、遠山景織子)の口から語られる。2000年代の初頭、彼らがデビューした当初から「キセキ」の大ヒットにかけての時期に10代、20代としてリアルタイムで彼らの歌を聞いていた世代は、30代、40代になっており、子育てに奮闘中という人も多いだろうが、約20年を経て、メンバーの親たちの視点を通じて、当時とはまた違った角度からグリーンの物語に接することができる。

また、家族の存在というのは、4人が顔も名前も出さない、当時としては前代未聞の覆面アーティストとしてデビューすることを決意する上でも、非常に重要な意味を持っている。郡山であくまでも学生期間限定の活動として、歯医者になるための勉強とアーティストとしての活動を両立してきた4人だったが、レコード会社からメジャーデビューの声がかかる。劇中ではメンバーたちが、素性を隠したままデビューすることに至る経緯の詳細が描かれるが、その過程でそれぞれの家族への思い、そして絶対に歯医者になるということへの揺るぎない決意がしっかりと描かれる。

好きなことをあきらめずにやり続け、前に進んでいくことの大切さ、仲間との絆、家族への思い――まさにGRe4N BOYZがこれまでずっと歌い続けてきたメッセージが詰まった、たくさんの奇跡が散りばめられた物語となっており、ライブシーンもあわせて、心も身体も熱くなる作品となっている。

取材・文・撮影/黒豆直樹

<公演情報>
舞台『それってキセキ』

日程:2025年7月31日(木)~8月4日(月)
会場:TEATRE1010

[原案・脚本補] 小松成美
[脚本・演出] 菅野臣太朗
[配役と出演]
HIDE(澤田英鷹):北川尚弥
navi(大森学人):藤本洸大
92(金城国茂):丸山龍星
SOH(松尾奏太):佐藤 匠
大森涼⼦(naviの母):光月るう
金城瑠璃(92の母):遠山景織⼦
松尾望海(SOHの母):田野聖⼦
原町さくら:志保
黒木和真:神木 優
和久真弓:高橋 光
町田 晋:船戸慎士
太城義毅:井上賢吏
富田美琴:猿田 睦
新宮郷⼦:中右遥日
奥山音羽:倉田ヨーコ
谷木 駿:野上天翔
藤橋 勇:本田稔弥
山崎吉史:柊木智貴
澤田阿茶⼦(HIDEの母):斉藤レイ
澤田家康(HIDEの父):鈴木省吾

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/gre4n-kiseki/

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