中村鷹之資が集大成を見せる!第十回「翔之會」中村勘九郎と憧れの「四段返し」も
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中村鷹之資
中村鷹之資勉強会 第十回「翔之會」が10月3日に東京・浅草公会堂で開催される。それに先駆け、本日7月29日に東京都内で中村鷹之資の取材会が行われた。
「翔之會」は、2013年にスタートした鷹之資の勉強会。「翔之會」では、踊りの名手であった亡父・五代目中村富十郎が得意とした舞踊の大曲を中心とする内容で上演されてきた。今回は、鷹之資が天王寺屋ゆかりの「奴道成寺」、中村勘九郎と共演する「弥生の花浅草祭」を披露する。
鷹之資は挑戦する舞踊2題について、「『京鹿子娘道成寺』は初代中村富十郎が初演し、天王寺屋にゆかりのある演目。“道成寺もの”の中でも『奴道成寺』はコミカルな狂言師として踊りを見せていきます」と言い、また、通称「四段返し」こと「弥生の花浅草祭」については、「昨今は『四段返し』のブームがあるようで(笑)。『翔之會』も10回ということで、いつかやりたいと思っていた演目を選ばせていただきました」と語った。「弥生の花浅草祭」に勘九郎を特別出演として迎えた理由には、「この『四段返し』は、父と亡くなった十八代目中村勘三郎のおじさまが何度も踊られてきたもの。踊りの達者な2人がパワフルでエネルギッシュに、楽しそうに踊る姿は幼い頃から映像で観ていて、笑ってしまうくらい素晴らしく、ずっと憧れていました。今回はそのご縁もあり、勘九郎のお兄さんの胸を借りて、体当たりで勤めさせていただきます」と説明する。
作品についての魅力を問われると、「『京鹿子娘道成寺』は途中には3つの面を使った場面もあり、ころころ変わる面白さがあります。名曲に乗せて肩の力を抜いて楽しんでいただけるところが大きな魅力です。能にぐっと近く、最後は立廻りがあり、鐘に登って派手に決まる。踊っていて曲の素晴らしさを感じますし、面を使って役替わりをいかに見せていくかは演じる人によって違うので、いろいろな方の『奴道成寺』を参考にして、自分なりのカラッと変わる楽しさをお見せできれば」と意気込む。一方、「四段返し」は「以前、勘三郎のおじさんがおっしゃっていたのですが、年が離れた2人が組むときは、だいたい年上の人は技術や風格で、若い人は体力で勝負するけれど、父・富十郎は勘三郎のおじさんとかなり年が離れているのにもかかわらず、『負けじとやってくる』と(笑)。お互い全力投球で、マラソンのようなペース配分もないくらい、エネルギーで乗り切っていたそうなんです。勘九郎のお兄さんもその姿を観ていると思いますので、父たちに負けないよう、そして私は勘九郎のお兄さんと踊らせていただくことが何より楽しみですから、おそらく当日は自分が一番楽しんでいるのではないかと思います」と頬を緩めた。さらに鷹之資は、富十郎と勘三郎が「汗っかきだった」と言い、浅葱幕の奥で「石橋」のこしらえをする際に、富十郎が「のりちゃん(勘三郎)、良いものを持ってきたよ!」と工事現場で使うほどの大きな扇風機のボタンを押したところ、浅葱幕が吹っ飛んでしまったという微笑ましいエピソードを語った。
最後に鷹之資は「10回目を迎える『翔之會』では、今まで支えてくださった方々への感謝を込めて勤めさせていただきたいと思っています。観てきてくださった方に、1つの集大成をお見せしたい。気構えずに楽しめる2題ですし、踊りや歌舞伎の敷居が高いと感じる方もいらっしゃると思いますが、もっとフランクに、観たまま、感じたままを受け取っていただいて、そこから興味を持って深堀りをして楽しんでいただけたらうれしいです。気軽に!」と締めくくった。
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