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浦井健治と小池徹平が語る『ある男』創作の現場 ――『デスノート THE MUSICAL』以来8年ぶりの共演で挑む新作オリジナルミュージカル

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浦井健治&小池徹平 (撮影:You Ishii)

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平野啓一郎の傑作長編小説を原作とした新作オリジナルミュージカル『ある男』が8月4日(月)、池袋・東京建物Brillia HALLにて開幕する。戸籍を偽り、過去を捨てて生きた“ある男”=X(エックス)と、彼の真実を追いかける弁護士・城戸章良。両者を軸に、観る者の胸をえぐる人間ドラマが展開する。国籍、血筋、肩書きなど、人が「その人」である証とは何なのか。過去を、名前を捨てて生き抜いた“ある男”が求めた幸せとは……。人間の本質を問う骨太の群像劇が、瀬戸山美咲の脚本・演出で発進。城戸役の浦井健治、X役の小池徹平を中心に、濱田めぐみ、ソニン、上原理生、上川一哉、知念里奈、鹿賀丈史といった巧者たちの総力で、日本の創作ミュージカルの新たな傑作が生まれようとしている。取材時は稽古半ば、模索が続く日々の中で実感している新作の手応え、仲間への信頼などを、浦井と小池が存分に語り合った。

“新作オリジナルミュージカル”ならではの苦労も。豊かな創作の気配が満ちる稽古場

――脚本・演出の瀬戸山美咲さんとは、おふたりともに初めての作品作りと伺っています。今の稽古場の様子、感触などをお話しいただけますか?

浦井 僕はつい先日まで舞台の地方公演がありましたので、その合間、合間に参加させていただいていました。やっと本格的に稽古に合流してからは、もう身体がびっくりするくらいにいろんなことを全部詰め込んで(笑)、数日で“粗通し”(現段階でのざっくりとした通し稽古)するという状況で。瀬戸山さんとスタッフさんたちが照明プランなどについてディスカッションしているんですけど、タイトなスケジュールの中、変更を繰り返す日々なので、きっと瀬戸山さんは頭をフル回転されているのだろうなと。創作する時間の豊かさを感じる反面、すべてを統括することはやっぱり相当大変なのだなという印象は受けますね。

小池 そう、まさしく新作を作っている感覚です。原作にある濃厚な物語をリスペクトしているからこそ、ミュージカルの中に詰め込むべき要素、省くべき要素を非常に模索して、今もまだ考えていらっしゃるのだろうなと。健ちゃんが合流して、一通りの枠組みを作ってから中身をしっかりと作っていこうとされているのかな、という状況ですね。僕自身はあらためて原作の凄さを実感して、それをミュージカルにするのは並大抵の努力じゃ出来ない……という思いにぶち当たっている感じです。

――製作発表では「フィジカルを活かした作品にしたい」といったお話もありましたが、その方向に向かっている?

小池 アンサンブルの方々の出番が思ったよりも増えていますね。

浦井 稽古場で見た感じでは、コンテンポラリーなダンスの動きが多かったり。僕らが芝居をしているその空間の中で、シーンをさらに表現するために踊りが入っている、という感じです。

小池 たまにちょっとポップな部分もあるしね。

――役柄についての細かな話し合いなどはこれからのようですね。

浦井 そうですね、今はまだそこに時間をかけるより、まずは皆で枠組みを仕上げている段階です。まさにゼロからイチを全員で立ち上げています。

小池 僕のほうは、X(エックス)という役について少し話しました。今回のミュージカルの台本から読み取るXという人物の根本的な作り方において、楽曲の中でどう表現していくか瀬戸山さんと僕とそれぞれの感覚のすり合わせ作業をしているところですね。

8年ぶりの共演で感じるお互いの変化とリスペクト

――現時点で、ご自身がどのようなことを意識してそれぞれの人物を立ち上げようとされているか、教えてください。

浦井 城戸は、ある男=Xのことを調べていく中で自分自身を見つめ直し、人生観を変えていきます。恵まれた環境、職種だったり家族だったり、そういったものが剥ぎ落とされた時に、はたして人間にとって一番の幸せとは、愛とは何なのかを学んでいくのだろうなと。それらをXから学ばせてもらうと考えています。

小池 僕は、城戸がずっと追い求めてきたXとはこういう人物だったんだ……という、原作小説に描かれている大事な部分を丁寧に作り上げたい、その思いがとても強いです。でも、観てくださる皆さんを納得させる、より印象的な表現がまだ自分の中で探しきれてなくて。それを芝居の部分で表現できればと考えていたんですけど、もっと曲に頼るべきなのかなと思って、今は音楽での表現に重きを置いて探っているところですね。Xがどういう人間だったのか、城戸の追い求めてきたその答えがいかに流れないようにするか、その部分でもがいています。自分の今の表現だと足りていない感じがすごくしていて……。

浦井 僕ら他のキャラクターは現在に生きている人物だけど、Xは過去の人で、現在の我々と過去のXが交わることはないのだけれど、Xは過去にこんな壮絶なことがあったんだ……と今の僕らが知る、そのシーンが難しいんです。

――決して交わらない時間軸で生きる城戸とXですが、製作発表では一幕ラストのデュエット曲(「暗闇の中へ」)を披露されました。おふたりでのシーンがどう作られるのか、気になります。

小池 過去の出来事の再現を現在の城戸が見ていたり、また城戸が自らの思いを歌っている時に、それをXが見ていたりとか、そういった表現があるので。時間軸は交わらなくても、同じ場所に点在していたり、一緒に歌う楽曲が、もちろん1曲だけじゃなくありますので。ふたりのシーンを楽しみにしてくださっている方がいらっしゃるとすれば、そのへんは期待していただいて大丈夫です(笑)。

――稽古場での、新作に向かうお互いの奮闘をどのように見ていますか?

小池 健ちゃんのことは、あらためて凄いな、この人バケモノだな!とカンパニー一同驚いています。別の舞台の本番を本当にやっていたのか!?と思うくらい、稽古に合流してすぐ圧倒的な量の台詞や歌をやってのけてしまう。1日、2日稽古しただけで、一幕の粗通しをやってしまうバケモノなんですよ。新作でここまで出来るなんて、普通あり得ないですから。おそらく本番の舞台の合間だとか、休演日とか、疲れて帰ってきた地方のホテルとかでメチャクチャ勉強しない限り、絶対に出来ないです。僕らでさえ新曲を覚えるのに必死で、毎日この作品に100%集中してやっていても間違えるのに……。凄いな!って皆、思っていますよ。とんでもないスポンジ(吸収)能力ですよ、浦井健治というバケモノは……。

浦井 フフフ、まぐれです。文字にするといっぱい良いことを言ってくれてますけどね(笑)。

小池 いやいや、本心ですから。何でもすぐにパパッとやれてしまうし、まったく不安がない。頼もしい限りです。語彙力ない言い方すると、浦井健治、ヤバいです!(一同笑)

浦井 ハッハッハ! ありがたいですね。自分としては皆さんに追いつけるようにやらないと!という思いでいっぱいなんです。そんな時、稽古場で「チョコ食べる?」とか、「地方公演で、美味しいものをいっぱい食べておいでよ」と気遣ってくれるんですよね。

――作品では『デスノート THE MUSICAL』以来8年ぶりの共演で、この間のそれぞれの変化、進化に対する驚きや発見もあるかと思います。

浦井 僕は、テレビドラマや他のミュージカルでの徹平の活躍をずっと観て来ましたから。役の表現をどこまでも突き詰めていく、その印象がこの8年でとても強くなっていきましたね。『デスノート THE MUSICAL』の時やそれ以前は、小池徹平というブランドの凄みというか、キラキラした魅力のほうが自分にはインパクトがあったんです。それが今はある意味、泥臭い役者になったというか。

小池 嬉しいな〜。

浦井 表現者として「やれるだけのことはすべてやる」といったスタンスを感じて、それが自然体の徹平なんだということに気づいていった8年でしたね。戯曲の読み込み方も含めて、徹平の「こうしたい、こうするべきだ」という純粋な表現者としてのこだわりや努力が、共通の知人などから伝わってくるわけです(笑)。素敵な役者さんだなとあらためて思いますし、今後も共演させていただける機会が何度もあれば嬉しいなと思っていますね。

小池 僕も、浦井健治という役者がずっと舞台に出続けている理由が、とてもよく理解出来ますね。これほど多忙なスケジュールでずっと舞台に立ち続けるのは相当凄いことで、やり続けているからこそ、普通ではあり得ないことが出来てしまう。その凄みは『デスノート THE MUSICAL』の時よりも強く感じています。圧倒的な対応力や吸収力、稽古場にいるだけでグッと空気を締めてくれて、皆の士気を高めてくれる掌握力……、そういった“役者力”がとてつもなく増しているなあと思います。

浦井 ありがとうございます(照)。

“身内感”のある共演者たちと共に

――ぴあでは先立って本作に出演される女性陣、濱田めぐみさん(谷口大祐の元恋人で、彼の真実を追う城戸と行動を共にする美涼役)、ソニンさん(Xの妻・里枝役)、知念里奈さん(城戸の妻・香織役)にお話を伺いました。役柄との関わりから浦井さんは濱田さん、知念さんについて、小池さんはソニンさんについて、稽古場でのやり取りや印象などをお話しいただけますか?

浦井 濱田さんは、城戸と美涼が一人間として讃えあう、分かり合う関係性を作っていっているように感じます。そういう意味では普段のお互いの関係性と同じといいますか……もちろん大先輩ですけれど、お互いにリスペクトし合う仲間、そういった感覚で成立させようとしているのかなと。また僕が……「浦井が大変そうだな」と感じた時なのかな、ちょっと褒め殺すんですよね(笑)。「出来てるじゃん!」とかあえて言ってくれて、労ってくれる。そういう優しさが“はまめぐ”にはあるんです。知念さんは、過去に『ダンス・オブ・ヴァンパイア』という作品で共演してからもう10年以上ぶりの今回なんですが、その間に僕は旦那様(井上芳雄さん)と、それこそ数日前までここ半年間ほどずっと一緒にお仕事させていただいていまして。この半年のあいだ、旦那様から僕の情報が奥様に伝えられ、また奥様からは『ある男』の稽古場の情報が旦那様に伝えられ、旦那様がそれを僕に伝えてくれるという……まだそれ聞いてないけど俺!みたいな状況でした。

小池 ハハハハ!

浦井 そのぐらいの身内感とでも言いましょうか(笑)。今回は“心がすれ違っている夫婦”という関係性なので、自分としてはよかったな〜と思っている次第ですね。いわゆるラブラブな夫婦だったりしたらもう、やりづらくてしょうがないなと。

小池 いや〜それ、見たかったけどな(笑)。ソニンは僕、最初に「里枝は凄くいい役だよね」って話をしたんです。原作小説でも僕の中ではもうひとりの主人公ぐらいの立ち位置で、素敵な役だなと思っていたから。また、ソニンが今までにやってきた役とは違う印象があったんですね。ミュージカルではわりとパワフルな女性や可愛い女の子を演じていたイメージがあったんですけど、今回はちょっと大人な、悲劇的な女性という難しい役どころで、彼女にとってもチャレンジなのかなと。稽古場で見ていると、この役への思い入れを凄く感じますね。相変わらずストイックに、台詞や歌詞の一つひとつに対して「もっとこうしたほうがいいかな」って試行錯誤していて、丁寧に、大事にやろうとしていることが見受けられます。彼女が役に向き合えば向き合うほど、Xを演じる自分がとても愛され、報われるような気がします。

――皆さんの奮闘努力によって新作ミュージカルの登場人物たちが初めて息づくのだなと、あらためてワクワクしてきました。その瞬間を見届けたいと思います。

小池 傑作小説をミュージカルにする難しさはもちろん、チーム一丸となって創り上げる面白さもあり、「これがモノづくりだよね!」というのをまさに今、体感しています。ギリギリまで作品を突き詰めていきたい思いが強いですね。不安とワクワクの両方を楽しめるのが、オリジナルを作る醍醐味なんだろうなと。もちろんお客様にお披露目する時には自信を持ってやれるように、今は「頑張ります!」しか言えないこの状況がただただ楽しいです(笑)。

浦井 徹平が言ってくれた、その通りですね。楽しみながら、しっかりとクリエーションしていくことを大前提に、自分としては良い意味でラフに捉えて、できる限りのことをやっていこうと。とにかくお客様にお届けできるよう頑張っていきたいなと思います。

取材・文:上野紀子 撮影:You Ishii
スタイリスト:飯田恵理子
ヘアメイク:(浦井)山崎順子、(小池)関谷美世

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<公演情報>
ミュージカル『ある男』

原作:平野啓一郎『ある男』(文春文庫/コルク)
音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・演出:瀬戸山美咲
歌詞:高橋知伽江

出演:
浦井健治 小池徹平/濱田めぐみ ソニン
上原理生 上川一哉・知念里奈/鹿賀丈史
碓井菜央 宮河愛一郎・青山瑠里 上條駿 工藤広夢 小島亜莉沙 咲良 俵和也 増山航平 安福毅
スウィング:植山愛結 大村真佑

【東京公演】
2025年8月4日(月)~8月17日(日)
会場:東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【広島公演】
2025年8月23日(土)・24日(日)
会場:広島文化学園HBGホール

【愛知公演】
2025年8月30日(土)・31日(日) 会場:東海市芸術劇場 大ホール

【福岡公演】
2025年9月6日(土)・7日(日)
会場:福岡市民ホール 大ホール

【大阪公演】
2025年9月12日(金)~9月15日(月・祝)
会場:SkyシアターMBS

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/aman2025/

公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/aman2025/

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