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大河ドラマから月9、そしてあの名作映画まで! 名匠・岩代太郎が自作曲で自らタクトを振る「岩代太郎 60年目のシンフォニア~還暦記念コンサート~presented by 辻󠄀・本郷 税理士法人」

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岩代太郎 (撮影/黒豆直樹)

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映画『レッドクリフ』『血と骨』、ドラマ「白線流し」、NHK大河ドラマ「葵~徳川三代」、「義経」など数々の名作のサウンドトラックを手がけてきた作曲家・岩代太郎が60歳および活動35周年を迎えることを記念し、自らがタクトを振る「岩代太郎 60年目のシンフォニア~還暦記念コンサート~presented by 辻󠄀・本郷 税理士法人」が8月24日にオーチャードホールにて開催される。「おそらく、これが私にとって最後のオーケストラステージ」と語る岩代が、これまでの作曲家人生、そしてコンサートに向けての思いを語った。

現時点で予定されているプログラムを見ると、月9ドラマ「WITH LOVE」に「白線流し」、大河ドラマ「葵~徳川三代」に「義経」、岩代自身が「映画音楽に深く関わっていく上でのターニングポイントになった作品」と語る『殺人の追憶』(ポン・ジュノ監督)、『血と骨』(崔洋一監督)、さらには『Fukushima 50』、朝ドラ「あぐり」など、数々の名作のタイトルが並ぶ。1曲目を飾るのは、岩代にとってデビューシングルとなる「Tammy in Love」である。

岩代 これは、僕のキャリアをスタートさせてくれた曲です。僕が作曲家としての仕事を始めるにあたり当時、マネジメントをBunkamuraの中にあった会社が担っていたんですが、誰も観客のいないオーチャードホールで、新日本フィルハーモニーを招いてデモテープのレコーディングをしたんです。いまじゃ考えられないバブリーな話ですよね(笑)。
僕にとっては大変思い入れのある曲で、このデモテープをテレビ局や映画会社に送ったら、あっという間に月9ドラマ(「君といた夏」脚本:北川悦吏子)の仕事がきました。一方で、プログラムの終盤に演奏する「The Simulation1941」という曲は、コンサートの1週間前にNHKで放送予定のスペシャルドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦」の楽曲で、僕の最新作です。まさに35年のキャリアを2時間で振り返るという内容になっています。

月9ドラマ「君といた夏」を皮切りに、次々と話題のドラマの音楽を手掛け、その後、2000年代に入ると、活躍の場を映画音楽へと移していく。韓国の鬼才ポン・ジュノの『殺人の追憶』にジョン・ウーによる歴史大作『レッドクリフ』など様々な映画を音楽によって彩ってきた。岩代曰く「本当に面白い映画は、音楽を入れなくてもいいと思えるくらい面白い」とのこと。一見、自らの仕事を否定するかのような持論だが「音楽がなくとも十分に面白い作品に、それでも音楽をつけたい――それが作曲家としてのモチベーションであり、醍醐味ですね」と言葉に力を込める。

岩代 映画も音楽も時間芸術ですから、1本の映画が120分ぐらいだとして、その間、映画館で半強制的にみんなが座ってその作品を見るわけですよね。そうすると、その120分が自分にとっての曲だと思えてくるんです。音楽の譜面には音符と休符があって、音が鳴っているところもあれば、鳴っていないところもある。それと同じ感覚で、120分を1曲として考えたときに、音楽が鳴っている部分と、鳴っていない部分がある――どこで鳴らして、どこは鳴らさないのか? 何を鳴らし、奏でるのか? という感じで、120分を通して見たときに「なるほどな」と思っていただけるように仕上げていきたい。それが時間芸術として、音楽をどう捉えていくかっていうことの一番のベースのような気がします。

1年に2~3本のペースで映画音楽を手掛けているが「五線紙を前にして、曲が書けなくて困ったということは、ありがたいことに一度もない」という。むしろ、予算や時間的な制約など様々な事情により、頭の中に浮かんだアイデアをメロディとして世に送り出すことができないもどかしさ――「産みの苦しみよりも“捨てる苦しみ”のほうが大きい」という。そんな35年にわたる作曲家人生を岩代は「ご縁のリレー」という言葉で表現する。

岩代 僕の仕事の一つひとつは(1作品ごとに独立しており、つながりのない)ワンショットです。でも、ある作品で初めて僕に作曲を依頼してくださった方に「どうして僕にお声がけを?」と尋ねると、別の作品の名前を挙げて「実は、あの作品を見て岩代さんと仕事がしたいと思ったんです」とおっしゃることがある。その別の作品の依頼下さった方に同じことを聞くと、また違う作品の名前が出てくる。僕の作曲家としてのキャリアには、何本かの見えない人と人のつながりがあるんです。自分が意図したわけではない、ご縁の積み重ねの結果が、この35年だと思います。実に不思議なことで、それぞれは他人同士ですが、僕の音楽を介してつながっている――それは作曲家冥利に尽きることです。

そんな作曲家人生の集大成ともいえるのが、今回のコンサート。会場に足を運ぶオーディエンスには、岩代の音楽のファンもいれば、それぞれの映画やドラマのファンだという人も多くいるだろう。

岩代 おそらく今回が、曲を書いた本人がタクトを振ってオーケストラで曲をお届けする最後の機会になると思います。それぞれの作品に思い入れのある方々にはぜひ「あの作品を生で、作曲家のタクトで聴ける最後の機会だ」という思いを持ってお越しいただきたいと切に願っています。東京フィルハーモニー交響楽団とも、これまでいろんなご縁があり、何度もレコーディングやコンサートを共にしてきました。僕自身は、プロの指揮者のようには指揮法を学んでいませんが、曲に対して強い思い入れを持っている作曲家がその思いを込めて指揮をすることで、何か感じてもらえるものがあるのではないかと思っています。ぜひ足をお運びいただければと思います。

取材・文・撮影/黒豆直樹

<公演情報>
「岩代太郎 60年目のシンフォニア ~還暦記念コンサート~」 presented by 辻󠄀・本郷 税理士法人

日程:2025年8月24日(日)
会場:Bunkamuraオーチャードホール

[出演]
岩代太郎(作曲・指揮・ピアノ)
竹澤恭子(ヴァイオリン) 三舩優子(ピアノ) 森 麻季(ソプラノ) 新倉 瞳(チェロ)
東京フィルハーモニー交響楽団(管弦楽) 松本志のぶ(MC)
佐藤浩市(スペシャルゲスト・朗読)

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/iwashiro-taro2025/

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