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山崎豊子の小説「大地の子」舞台化、井上芳雄が時代に翻弄される戦争孤児に

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「大地の子」ビジュアル

「大地の子」が来年2月26日から3月17日まで東京・明治座で上演される。

「大地の子」は、1987年から「月刊文藝春秋」で連載されていた山崎豊子の同名小説。1995年には同作を原作とするテレビドラマが日中共同制作で放映され、翌1996年には再編集されたバージョンがオンエアされた。第二次世界大戦によって中国に取り残された勝男は、妹・あつ子と離別し、人身売買されそうになったところを小学校教師の陸徳志に助けられる。勝男は中国人の“陸一心”(ルー・イーシン)として育てられ、やがて文化大革命という時代のうねりに飲み込まれていき……。今回は、マキノノゾミが脚本、栗山民也が演出を担当。陸一心役に井上芳雄がキャスティングされた。

そのほかの出演者には、陸一心の妹・あつ子役に奈緒、陸一心の妻・江月梅(チャン・ユエメイ)役に上白石萌歌、中国人教師・陸徳志(ルー・トウチ)役に山西惇、中国に残した家族に自責の念を抱え続ける松本耕次役に益岡徹が並んだ。

マキノは「『物語における現在の時制』は1985年となっています。1985年! 戦後40年の年です。つまりは、そういうことなのです。日本が戦争に負けて、中国で孤児となった主人公の陸一心が懸命に生きたのと同じ時間が、あれからすでに経っているのです。この作品を、今、舞台化することの意味は、そこに尽きるように思います」とコメント。また、栗山は「舞台に残しておきたい作品がいくつかある。これはその一つで、いつか必ずと願っていた忘れてはならない歴史の一章である。山崎豊子さんの作品について詳しい読者ではなかったが、この『大地の子』だけは違った。中国の話が話題に出ると、頭の中にその物語のどこかの一風景がいつも勝手に現れた。それほどに黄色っぽい大地の上、そこを歩む幾多の人間たちの様々な光景が鮮烈に思い浮かぶ」「何でこんなことが起きてしまったのか、そのことを出発点として」と作品への思いを語った。

陸一心役の井上は「原作本も繰り返し読み、ドラマも拝見していたので、最初お話を伺った時は、『こんな名作の舞台化に関われるなんて!』と夢のようで本当にびっくりしました」「人間の可能性、思い、愛情の強さとその奇跡を描いている物語です。是非たくさんのお客様に観ていただいて、共有できますように。全力でお届けします!」と心境を明かした。

マキノ、栗山、井上のコメント全文、そのほかの出演者のコメントは以下の通り。

マキノノゾミ コメント

「大地の子」がTVドラマとして放送されたのが30年前だと改めて知って、そんなに経っていたのかという驚きを禁じ得ません。何となく、ついこの間のドラマのような気がしていました。

山崎豊子さんの原作小説の連載が始まったのがそれよりも8年前で、ですから「物語における現在の時制」は1985年となっています。1985年! 戦後40年の年です。つまりは、そういうことなのです。日本が戦争に負けて、中国で孤児となった主人公の陸一心が懸命に生きたのと同じ時間が、あれからすでに経っているのです。

この作品を、今、舞台化することの意味は、そこに尽きるように思います。

「未来志向」などという麗句の陰で、忘れてはいけないことをどんどん積極的に忘れてゆきたがる流れの中で、わたしたちは折に触れて、このような作品と向き合わなければならないということです。

栗山民也 コメント

舞台に残しておきたい作品がいくつかある。これはその一つで、いつか必ずと願っていた忘れてはならない歴史の一章である。山崎豊子さんの作品について詳しい読者ではなかったが、この「大地の子」だけは違った。中国の話が話題に出ると、頭の中にその物語のどこかの一風景がいつも勝手に現れた。それほどに黄色っぽい大地の上、そこを歩む幾多の人間たちの様々な光景が鮮烈に思い浮かぶ。

素敵な俳優たちが揃った。そのみんなと大事な歴史を、大事に描こうと思う。何でこんなことが起きてしまったのか、そのことを出発点として。

井上芳雄 コメント

原作本も繰り返し読み、ドラマも拝見していたので、最初お話を伺った時は、「こんな名作の舞台化に関われるなんて!」

と夢のようで本当にびっくりしました。演劇として、過去の歴史を自分たちのこととして現代のお客様に伝えることができる作品なのでプレッシャーはありますが、栗山さんはじめスタッフ・キャストの皆さんと丁寧に作り上げていきたいと決意を固めています。

人間の可能性、思い、愛情の強さとその奇跡を描いている物語です。是非たくさんのお客様に観ていただいて、共有できますように。全力でお届けします!

奈緒 コメント

舞台「恭しき娼婦」で栗山さんと出会い、目まぐるしく価値観が変化したあの日々を思い出します。

生きていれば私たちは、いつか不条理と出会うでしょう。それでも皆と生きてみたい。

「大地の子」では、どんな心や音を見つけられるのか、きっとまだ出会ったことのない景色を、カンパニーの皆さん、お客様と見られる日を心から楽しみにしております。

上白石萌歌 コメント

江月梅役を演じさせていただきます、上白石萌歌です。

栗山民也さんとは二十歳の頃に「ゲルニカ」でご一緒した以来で、このように再びご縁をいただけたこと、心から幸せに思います。あのとき栗山さんから受け取った言葉、役を通して身体に流れた感情はまぎれもなく宝物で、時間が経った今でもわたしの中に大切に刻まれています。

今回の「大地の子」という大きな旅ではどのような出会いが待ち受けているのか、今から楽しみでなりません。

原作や脚本を読み進めるなかで、残酷な運命に翻弄されながらも強く生き抜いてゆく一心たちのひたむきさに胸が締め付けられます。わたしが演じる江月梅は、一心の心のともしびとなるような存在。この作品を通して伝えるべきことを考え、湧き上がる感情のひとつひとつをたしかに咀嚼しながら臨みたいです。

ぜひ劇場に足を運んでください!

山西惇 コメント

舞台「大地の子」で陸徳志を演じます、山西惇です。日本と中国の戦後40年を描いたこの壮大な物語が、戦後80年を経て舞台で上演される意義を強く感じています。綿密で膨大な取材活動を基に執筆された山崎豊子さんの原作を読み返して、誠に身が引き締まる思いでいます。敬愛する栗山民也さんの演出、素晴らしい共演者の皆さんを頼りに、この、愛の塊、の様な大きなお父さんに、少しでも近づけるよう、稽古に励みたいと思います。

益岡徹 コメント

1995年、岡崎栄さん演出の日中合作ドラマを、心震わせ、観ていました。日中の役者の皆さんも素晴しく何度も涙したものです。その山崎豊子さんの大作「大地の子」を舞台でお客様にご覧いただくことになりました。演出の栗山さん、上演台本マキノさんはじめ、スタッフの皆さんと、井上さん、奈緒さん、上白石さん、山西さんをはじめキャストの皆さんが、総力をあげて、作り上げていく、そこに参加出来ることに、気持ちが引き締まる思いです。

さらに、私が演じる松本耕次を、合作ドラマでは、師匠である仲代さんが演じてられました。あらためて気を引き締め、挑戦したいと思います。

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