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「遠い山なみの光」吉田羊が全編英語での演技に挑戦、カズオ・イシグロ「悦子が現れた」

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「遠い山なみの光」より、吉田羊演じるイギリス時代の悦子

広瀬すずが主演を務める映画「遠い山なみの光」より、キャストの吉田羊を捉えた新場面写真が解禁された。

1950年代の長崎と1980年代のイギリスという2つの時代を背景に、3人の女性の記憶に隠された嘘と真実を描く本作。日本人の母とイギリス人の父を持つ作家志望のニキが、長崎で戦争を経験したあとイギリスへ渡った母・悦子の半生をつづりたいと考えることから物語が展開する。娘に乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは戦後間もない長崎で、佐知子という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。カズオ・イシグロの小説を石川慶が映画化し、広瀬が長崎時代の悦子、吉田がイギリス時代の悦子を演じた。

場面写真には窓辺で静かに過去を語り出す悦子の姿や、イギリスの自然をバックにカミラ・アイコ扮するニキと並ぶ様子などが切り取られている。

吉田のキャスティングは石川のリクエストによるもので、連絡を受けた吉田はすぐに英語のセリフで演じるテープを送り、石川と日本・イギリスのプロデューサーの全員一致によって起用が決まった。彼女はイギリスで数週間ホームステイをして英語のレッスンをこなし、全編英語での演技に挑んだ。石川は長崎パートの映像を吉田に送ったと明かし、「30年後の悦子を吉田さんなりに作ってくださいとお願いしました。内心、相当な無茶ぶりだと反省していたのですが、僕がイギリスに着いたときには、非常に説得力のある悦子をすでにご自身の中で作ってらっしゃったので、さすがだなと安心しました」と振り返る。

さらに撮影現場に訪れたイシグロは、吉田を見て「悦子が現れた」と喜んだという。吉田は白玉粉と抹茶の粉を現地で調達し、日本の団子を作ってイシグロとスタッフにふるまった。吉田は石川と仕事することを目標にしていたそうで「自分の人生にこんな奇跡が起こるのかと思うほど本当にうれしい」と吐露。自身の好きな映画「キャロル」を制作したNumber 9 Filmsが参加していることに「本当にいまだにふわふわして現実味がないというのが正直なところ」とも言いつつ、本作に関して「自分らしく生きようとする女性たちのたくましさが美しく胸に響いて、悲しみとともにある希望に、すごく勇気づけられる映画だと思いました」と語った。

「遠い山なみの光」は、9月5日より東京・TOHOシネマズ 日比谷ほか全国でロードショー。二階堂ふみ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平、三浦友和もキャストに名を連ねた。

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