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ソプラノ歌手・田中彩子が軽井沢大賀ホールで初公演 “夏らしさ”意識した幅広いプログラムが魅力

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国内外で活躍するソプラノ歌手・田中彩子が、この夏、軽井沢大賀ホールにて初めてのリサイタルを開催する。『Coloratura of Summer Breeze〜夏風のコロラトゥーラ〜』と題された本公演では、田中の代名詞ともいえるコロラトゥーラ(超絶技巧の華やかな高音唱法)と、透明感あふれる歌声が織りなす、夏にふさわしい爽やかな音楽が届けられる。

田中 軽井沢大賀ホールは、ずっと公演をしてみたいと思っていたホールなので、すごく楽しみです。今からご当地のグルメを調べてみたり(笑)。東京からも比較的、行きやすい場所だと思うので、ぜひ、足を運んでいただければ。普段は春と秋にリサイタルを行うことが多いので、“夏らしさ”も意識しながら、軽井沢の爽やかな空気感や歴史とも組み合わせた、とてもオリジナルなプログラムになっています。

取材に応じた田中の言葉通り、本公演ではパーセル「束の間の音楽」、バッハ「羊は安らかに草を食み」、メシアン「ヴォカリーズ・エチュード」、フロトー「夏の名残のバラ(庭の千草)」といった時代と国を超えた多彩な名曲が演奏される。

軽井沢をイメージした選曲で、いち早く名前が挙がったのが「羊は安らかに草を食み」。また、作曲家のメシアンは1960年代、軽井沢を訪れた際にそこで出会った鳥たちをモチーフに楽曲を制作しており、軽井沢と縁深い存在だ。

田中 それにコロラトゥーラは、鳥の声を表現することが多いんです。そのほかのクラシック楽曲も、鳥が出てくる曲を集めています。

さらに、ロマンチックな「夢見る想い」や、ポール・モーリアの演奏でも親しまれる「恋はみずいろ」、ミシェル・ルグラン作曲の映画音楽「シェルブールの雨傘」まで、幅広い楽曲が披露される予定と、親しみやすいプログラムをアピールする。

田中 クールダウンというわけではないんですが、リサイタルの後半では、60年代のユーロポップも歌唱します。以前の公演でも、お客様から懐かしいというお声をいただいて。幅広い層の皆さんに楽しんでいただけるとうれしいです。

ピアノを担当するのは、矢野雄太。こちらも国内外で活躍する注目の存在で、東京文化会館主催〈現代人形劇×クラシック音楽〉では音楽監督を務めるなど、活動の幅を広げている。共演経験はあるが「2時間のリサイタルでまるまるご一緒するのは、初めて」だといい、「音楽的にいろんなアイデアをお持ちだと思うので、ふたりでより深く世界観を作っていけるのが楽しみですね」と期待を寄せる。

昨年は日本デビュー10周年を記念したベストアルバム、『ベスト・オブ・ハイコロラトゥーラ』をリリース。全10公演の記念リサイタルを開催した。

田中 10年の活動を振り返ると、『これが最後かもしれない』という気持ちで、常に全力で、目の前のことに必死でした。でも、それがとても楽しくて、舞台に立つたびに成長している感覚を、お客様と共有できた。そのおかげで今があると思うので、10年の節目と言えば、確かに驚きなんですが、あっという間で。どの瞬間も私にとっては大切で、記憶に残っています。

華々しい活躍と並行し、音楽を通した持続可能な教育プログラムを考える「JAPAN ASSOCIATION FOR MUSIC EDUCATION PROGRAM」の代表理事を務め、社会貢献活動にも積極的だ。以前から「音楽には、誰かの人生のプラスになる力があると思っていた」といい、国際舞台での活動を通して、様々な境遇に置かれた人々とも交流を図った。その成果の一環として、昨年には「アルゼンチン国立青少年交響楽団」の来日公演が実現。「これからも音楽家として、何ができるのか。自分自身の可能性も追求していきたい」と意気込みを語る。

8月9日の軽井沢公演に続き、9月には、クラシックの枠を超えて、60年代ユーロポップや映画音楽を織り交ぜた珠玉のカバーアルバム『Coloratura Memories 想い出のコロラトゥーラ』をリリース。同月より、『Fantasy of Coloratura~コロラトゥーラ・ファンタジー』と銘打った全国ツアーが幕を開ける。

田中 子どもの頃から本を読むのが大好きで、特にファンタジーの物語に心を奪われていました。例えば、オッフェンバックの「ホフマン物語」は、オランピアというお人形が主人公だったり、そうしたキラキラした色合いで世界観を作っていきたいですね。浮遊感があって、ふわっと高いコロラトゥーラらしい音色の魅力をお伝えしたいですし、ニューアルバムからも積極的に何曲かご披露する予定です。

取材・文/内田 涼

<公演情報>
田中彩子 ソプラノ・リサイタル『Coloratura of Summer Breeze〜夏風のコロラトゥーラ〜』

日程:2025年8月9日(土)
会場:軽井沢大賀ホール
開場13:15 / 開演14:00

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2559282

<田中彩子プロフィール>
18歳で単身ウィーンに留学。22歳でスイスのベルン州立歌劇場にて同劇場日本人初、かつ最年少でのソリスト・デビューを飾る。その後ウィーンをはじめロンドン、パリ、ブエノスアイレスなど、世界で活躍の場を広げている。ソプラノの中でもさらに高い音域のコロラトゥーラは、透き通るような歌声が特徴で「天使の声」と称され、その歌声を操る数少ない一人。2019年Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」に選出。アルゼンチン最優秀初演賞受賞、イギリスBBCミュージック・マガジンにて5つ星を受賞するなど、海外での受賞歴も多数。ブエノスアイレスのムジカ・クラシカ・マガジンの表紙を飾る。