SKIPシティ映画祭で観客賞、在日コリアンの大学生を描く「雨花蓮歌」公開
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「雨花蓮歌」場面写真
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024の国内コンペティション長編部門で観客賞に輝いた映画「雨花蓮歌(うくわれんが)」が、10月25日より東京・K's cinemaほか全国で順次公開される。
在日コリアンである朴正一が、自身のルーツやさまざまな国籍の若者の声をもとに制作した本作。大学生のハルミは、友人のさりげない言葉や、家族関係に悩まされていた。ハルミの姉レイコは結婚を考えているが、在日コリアン2世の母に反対されている。彼女たちは次第に、周囲の人々と衝突し始めるのだった。
山崎悠稀がハルミ、齊藤由衣がレイコ、林光哲がレイコの恋人・シゲルを演じ、大藤喜美子、川合智、目黒天音、竹内しのぶもキャストに名を連ねる。高橋優作が朴とともに脚本を手がけた。YouTubeでは予告編が公開中。
朴は「前作を日系ブラジル人の仲間たちと撮影した後、今回は自分自身のアイデンティティをテーマに作品を撮ってみたいと思いました。とはいえ、前作と同様に特定の国籍や人種、立場の人々に向けて描いたわけではありません。誰もが抱える心の葛藤や揺らぎ、他者との意思疎通の中で生まれる壁などを、登場人物たちを通して表現したつもりです」とつづっている。山崎、齊藤、林によるコメントは以下の通りだ。
※山崎悠稀の崎はたつさきが正式表記
朴正一 コメント
前作を日系ブラジル人の仲間たちと撮影した後、今回は自分自身のアイデンティティをテーマに作品を撮ってみたいと思いました。とはいえ、前作と同様に特定の国籍や人種、立場の人々に向けて描いたわけではありません。誰もが抱える心の葛藤や揺らぎ、他者との意思疎通の中で生まれる壁などを、登場人物たちを通して表現したつもりです。
その結果、「在日コリアンと」という題材を忘れさせるような、誰もが共感しうる青春映画を完成させることができたと自負しています。この作品が、これまでの私の人生で出会い、つながってきた人たち、また多くの観客の皆さまへ届けば嬉しく思います。
山崎悠稀 コメント
私が演じたハルミは普通の大学生です。友達と楽しく話し、遊び、家族とご飯を食べ、他の皆と何ら変わらない生活を送ります。ただ1つ違うのは、在日韓国人であるということ。その1つが、彼女を取り巻く環境を少しずつ変えていきます。その1つに向き合っていく女性を演じさせていただきました。
演じていく際、朴監督はどんな些細なことも私に尋ね、委ねてくれました。今の若者の意見を、今の世界を教えてくれと言わんばかりに。一介の女優にすぎない私に、この世界に触れる権利をくれました。
それから私の意見や、姉役を演じられた由衣さんなど、様々な人の生きてきた経験、感じてきた価値観を皆で擦り合わせ、この作品が完成したように思います。だからこそ、この作品は様々な視点から描かれているのだと思います。そんな作品に出演出来たこと、朴監督の優しさ、思い、全てが宝物です。
そしてこれからご覧になる皆様には、是非自分の視点でご覧いただきたいです。感じたこと、思ったこと、それは皆様だけのもので、とても素敵な事だと思うのです。皆様の人生に、少しの視点が増えたら、それが何よりも嬉しい事だと思います。
齊藤由衣 コメント
長女のレイコ役の齊藤由衣です。家族との食事・姉妹の会話・友達や恋人と過ごす時間など、何気ないけれどとても豊かな日常を描きながら、その中で抱える期待や悩みを穏やかに優しく映し出している作品です。
一人一人それぞれが大切にしているものが違う中、人間関係が上手くいかずに孤独や不安を感じ葛藤する事が、私だけでなく多くの方々にあると思います。相手への思いやり、人との関わりの大切さ、普段何となくやり過ごしてしまう物事への感じ方を、麗子を演じることで改めて気付かせてもらい、完成した作品を観てまた心に沁みました。
是非スクリーンで観て頂けたら嬉しいです!よろしくお願いします!!
林光哲 コメント
主人公ハルミの姉レイコの恋人を演じさせていただきました。監督さん、スタッフさん、共演者の皆さんがとても温かく楽しい現場でした。自分が演じたシゲルは人を差別するような感覚を持ち合わせていない人。そんな彼は恋人の家族のいざこざに巻き込まれる形となるのですが、そんな状況でも自分を変えない芯が強い人だと思います。
これからご覧いただく方へ、肩に力を入れずに楽しめる作品だと思います。ご自分を各キャラクターに置き換えて観てみると新しい発見があるかも。
©Jengilpark