福原遥「あの花」に希望込める「先の世代につないでいくものに」、水上恒司からコメントも
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映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」シネマコンサート&トークショーの様子。左から小野塚勇人、伊藤健太郎、福原遥、汐見夏衛
映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のシネマコンサート&トークショーが本日8月8日に東京・東京国際フォーラムで行われ、キャストの福原遥、伊藤健太郎、小野塚勇人(劇団EXILE)、原作小説を手がけた汐見夏衛が登壇した。
成田洋一が監督を務めた同作は、戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高校生・加納百合と、特攻隊員・佐久間彰が織りなすラブストーリー。福原が百合役、水上恒司が彰役でダブル主演し、伊藤と小野塚が特攻隊員の石丸と加藤をそれぞれ演じた。
2023年12月に公開され、興行収入45億円を記録した同作。SNSをきっかけとして若年層を中心にヒットし、観客が何度も劇場に足を運ぶ“追い花現象”も生まれた。この日は4600名の“あの花”ファンが集まり、映画本編にあわせた新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏、青葉市子による歌唱を堪能した。
観客と一緒にコンサートを観た登壇陣。福原は「生の音楽と一緒に映画を観れるなんて、こんなにぜいたくなことはない。1つひとつのシーンの心情を音楽として届けてくださった」と感謝を伝え、伊藤は「百合への手紙の場面では実際に歌唱してくださる方がいらっしゃったり、鳥肌が立つような経験ばかりでした」と振り返る。小野塚が「エンドロールでは、まさか(主題歌担当の)福山雅治さんが来てくださったり……なんて(笑)」と期待していたことを述べると、伊藤も「さすがにね(笑)。もしかしたら隠れていたりするのかと思ったけど……」とお茶目に反応。汐見は「オーケストラは敷居が高いイメージがありました。今日初めてこういった場所で音楽を聴いた人もいると思いますし、一生忘れられない体験になったらいいなと思います」と笑顔をのぞかせた。
公開時に16回もの舞台挨拶を行ったことを告げられると、伊藤は「そんなにやったの!?」と驚きの表情に。福原が「自分にとってかけがえのない作品になりました」と話すと、伊藤は戦争をテーマにした作品に出演するのが初だったと明かし、「改めて、今生きていることの意味だったり、日々の感謝を感じるようになりました。今後生きていくうえでも重要な存在の1つになっています」と言葉を紡ぐ。小野塚は姪が鑑賞したと打ち明け、「『戦争について考えた』と言っていて。役者人生の中で、そういった作品を下の世代にも残せたことがうれしいです」と感慨深げな様子を見せた。
イベントの中盤には、水上と、特攻隊員・寺岡役の上川周作からのメッセージ映像が上映された。水上は「本作は私たちの横にいる大切な人のため、そして未来の子供たちのために何ができるのかを考えるきっかけになる映画です。ぜひ大事な人のことを思えるような、温かい心を持ってくださったらうれしい」と語りかける。上川は「戦争や平和という大きなテーマを扱っていますが、遠いどこかの話ではないんです。日々の中で自分とどう向き合うか。きっと小さな対話を積み重ねて平和になっていくのではないかと思います」と口にした。
終戦80年を迎える今年。「同世代に何を伝えたいか?」と聞かれると、福原は「戦争の事実があったことは教科書で知っているとは思うけれど、改めて『ここにある幸せが当たり前ではない』『今、何ができるだろう』と考えてほしい」と答え、「この映画が、その意識を先の世代につないでいくものになればいいな」と願いを込める。さらに伊藤は公開後に教師から手紙が届いたそうで「『生徒たちにもこの作品を薦めています』と。そんな映画のあり方もあるのだと実感しました」としみじみ。汐見は現在の世界情勢に触れ「この作品を書いたときは、戦争が海の向こうのものだと思っている人たちに“現実に起こったこと”だと感じてほしいという思いがありました。でも今は毎日“戦争”というワードがテレビで流れてくるようになった。私が執筆した当時に想定していたものと、また違う受け取り方をする人もいるんじゃないかと思います」と言及した。
なおフォトセッション後には再び楽団と青葉が登壇し、アンコールとして2曲を披露。カーテンコールにはトークショー登壇者も姿を見せ、観客から鳴り止まぬ拍手を浴びた。
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は現在Blu-ray / DVDが販売されており、各種動画配信サービスでデジタル配信も実施中。なおイベント終盤には続編「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」の製作がサプライズ発表された。同作は2026年に公開される。