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戦争映画に初挑戦 奥平大兼が大切にしていること「人を否定しないようにしています」

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インタビュー

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奥平大兼 (撮影/梁瀬玉実)

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たった80年前。平和な海が戦場だった時代。どんな時も、激戦により海に投げだされた仲間たちを救い、必ず共に日本に還って来た一隻の駆逐艦があった。その名を「雪風」。いつしか海軍ではこの艦を“幸運艦”と呼ぶようになる――。

そんな、太平洋戦争中に実在した駆逐艦「雪風」の史実をもとに、戦中から戦後、さらに現代へとつながる激動の時代を懸命に生き抜いた人々の姿とその運命を、壮大なスケールで描いたのが、映画『雪風』だ。

「雪風」に命を救われた乗員の一人であり、「雪風」の若き水雷員・井上壮太役を演じるのは、『MOTHER マザー』の衝撃的なデビューから、日本アカデミー賞新人俳優賞やブルーリボン賞新人賞などを受賞、日曜劇場「御上先生」など、様々な難役を見事に演じ抜き称賛を浴びる奥平大兼。戦後80年の今、初の戦争映画に挑む彼の決意と想いを聞いた。

難役で脚光を浴びる奥平大兼が初の戦争映画に挑戦

ーー奥平さんは戦争映画は今回が初めてですね。実話に基づいたものということで、演じる上でどう向き合ったのか、意識したことがあれば教えてください。

戦争を題材にした映画は初めてだったので、興味はありましたし、いつかやるのかなと思っていました。ただ、実際にあった出来事を演じるということに対しての重みというのはもちろんあるので、チャレンジにはなると覚悟していました。

井上という役は割と映画見てくださる方々とすごく視線が似てる役だなと思ったので、僕が実際に現場で井上を演じる上で、いろんな出来事を経てどう思うかという心の変化はきちんと意識しながらやるべきだなと。

ーーこれまでにちなみに戦争を描いた作品に触れたことはあったのでしょうか。

なかったんです。でも、知識がない中で感じることも色々あると思っていて。それこそ、実際の出来事を知ってショックに感じることは、井上という役を演じる上でも持っておこうかなというふうに思っていたんです。

なので、最初は無理に知識を頭に詰め込んでということはやらずに、純粋に当時の資料やインタビューを見て、その時自分が思ったことをちゃんと自分の中で咀嚼してやろうと思っていました。

ーー実際に現場に入って多くの学びがあったと思います。具体的にどういったことを感じましたか?

戦争のこと含め、昔のことは学校で勉強すると思うんですけど、テストのために覚えるという人が多いと思うんです。だから何年に、何が起こっていたのかという詳細も全然知らないですし、当時の人のことを真剣に考えていたかと言われると、僕はそうではなかった。でも今回この作品でそれをきちんと考えるきっかけになったのは大きかったです。

当時の方のインタビューも拝見させていただいただいたんですけど、やっぱり当時のことを知ってる方がご年齢的に亡くなられている方もいらっしゃるので少ないんですよね。
80年前に必死に生きていた方があっての今なので、それを全く知らずに生きるのは失礼なようにも感じるし、知っておくべきことではあると思う。忘れられていくものだけど、忘れちゃいけないことだと思うので、こういう映画をきっかけに知ってもらう人が増えて、僕の年齢がもっと上がったときに、今度は若い人たちに伝える側にならないといけないなっていうのは、すごく思いました。

竹野内豊や玉木宏など、大物俳優との共演

ーー劇中では玉木さん演じる先任伍長・早瀬との絆が印象的でした。現場ではどのようなやり取りがあったのでしょうか。

シーンのことに関して話し合ったりは本当に一切せず、本当にオフの時は完全に玉木先輩としてお話しをしていました。僕が小さい頃に空手をやっていたんですけど、玉木さんが柔術をやられていて、格闘技の話をしたりとか、本当にたわいもない話をしていましたね。でも、そのカメラが回っていないところでそういった話をしていたことで、先任伍長への尊敬もありつつ、親しみやすさもある複雑な距離感がより具体的に分かりました。

ーー主演であり、「雪風」の艦長・寺澤を演じる竹野内豊さんとはどうでしたか?

1:1で話すシーンがあまりなかったんですけど、こんな言い方をすると失礼かもしれないんですが、すごくかわいらしい方だなという印象があって。優しいし、ほんわかしてるというか…。「未来の日本ってどうなってますかね?」みたいな話をしていた時に、艦長が「普通がいいな」って返すんですけど、その言い方も本当に心からそう思ってるというか、竹内さんの優しさが滲み出ていた瞬間だな思っているので、個人的にすごい好きなシーンです。

ーー緊迫感がすごくある映画だと思いますが、現場の雰囲気は和気藹々とした感じだったのでしょうか。

カメラが回っていない時はみんなちゃんと笑顔がありました。水雷員チームに芸人のサディスファクション渋谷さんがいるんですけど、その方が一発芸を無茶苦茶な数持ってるんですよ。それを何個かちょくちょくやってくれたりとか。

あと、加賀成一さんがすごい面白いキャラクターでして、そういういろんな面白い人たちがいたから、みんなで一緒にお弁当を食べてる時もそれぞれのキャラが立っていて、チームの一体感が生まれたんじゃないかなと思います。

ーー出来上がった作品の中で、印象的だったシーンがあれば教えてください。

戦争映画っぽくない場面かもしれないですけど、水雷員チームで羊羹を食べてるところや、お酒飲んでるシーンがあるんですけど、ああいう憩いの場での束の間の幸せが印象に残っているというか…。

お酒を飲んでいる時にアメリカ映画の話になって、「その映画を作っている国と今戦ってるんだもんな」って口にするシーンがあるんですけど、そこは本当になんというか、ちょっとしたシーンではあるんですけど、言葉では言い表しにくい、なんとも言えない感情になりました。

過去を必死に生きた人たちのためにできること

ーー劇中では、艦長の武士道が垣間見れるシーンもありました。奥平さんにもそういった自分の軸となるような価値観はありますか。

生きていて大切にしているのは、あまり人を否定しないことですね。人を肯定できる優しい人、懐の大きい人になりたいなっていう思いがあるので。間違っていることはもちろん否定しますけど、その人の個性的なもの、アイデンティティー的な部分を否定するのは良くないと思うので、そこは尊重しつつ、かといって自分の意見は曲げないようにしています。

ーー今回の撮影で得た生き方のヒントみたいなものはありますか?

政治に興味を持つことは大事だなと改めて思いました。世の中の動きとかに多少なりとも興味を持っていくのが、後々自分たちが生きる時代を作ることに繋がる。それこそ、今回の映画のように80年前に必死に生きてきた人たちのおかげで、今がある。「興味ない」とか「どうでもいいや」とかで片付けていいことではないと思うので、世の中の動きにはきちんと目を向けることが大切だと思いますね。

ーーでは最後に、今を生きる戦争を知らない私たちにこの映画を通して伝えたいことを教えてください。

これを見た人が個人で今起きている戦争を止めることは正直な話、多分無理だと思うんです。でも、まずは“こういうことが80年前に起きていた”ということを、今、同じ日本で生きているんだから知っていた方がいいなと僕は思うんです。知っておくことに意味があるし、それを自分が大人になった時に、今度は逆に伝える側になってほしい。

あと、今日本で戦争が起こっていなくとも、世界のどこかで争いは起こっている。それは人類の課題だとは思うんですけど、そこに対して1人でも多く戦争が嫌いな人が増えれば、物理的には戦争がなくなると思うので、それがどんどん増えていくことが一番いい。二度とこういうことが日本だけでなく、世界で起きてほしくない。そのためにも戦争の怖さを知ることはすごく大事なことだと思うので、僕たちのような今の若い人にとっては、とりあえずそこが第一ステップなのかなと思います。

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『雪風 YUKIKAZE』

8月15日(金) より全国公開

©️2025 Yukikaze Partners.

配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
/バンダイナムコフィルムワークス

出演:竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 當真あみ
藤本隆宏 三浦誠己 山内圭哉 川口貴弘 中林大樹 田中美央
田中麗奈 益岡徹 石丸幹二 中井貴一
脚本:長谷川康夫 撮影監督:柴主高秀 VFX監督:オダイッセイ 音楽:岩代太郎 監督:山田敏久
主題歌:「手紙」Uru(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)


撮影/梁瀬玉実、取材・文/楢崎瑞姫

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