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アナログスイッチ最新作『伊能忠敬、測り間違えた恋の距離』 インタビュー:奥谷知弘×田鶴翔吾×小関えりか

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(左から)田鶴翔吾、奥谷知弘、関えりか

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「笑い損ねた日には、ちゃんとしたコメディを。」をコンセプトに掲げ、作・演出の佐藤慎哉を中心に活動を続けるアナログスイッチ」。その最新作『伊能忠敬、測り間違えた恋の距離』がザ・スズナリ(東京・下北沢)にて8月14日より上演される。“日本地図をつくった偉人”として名高い伊能忠敬とそのパートナーであるお栄を中心に展開するラブコメディとなる本作。前作『寝不足の高杉晋作』に続いて、メインキャストを務める奥谷知弘と田鶴翔吾、そして今回、アナログスイッチ初参戦となる小関えりかが佐藤慎哉作品の笑いの魅力、本作の見どころについて大いに語ってくれた。

佐藤慎哉(作・演出)が仕掛ける胸キュンラブコメ

――脚本を読まれての印象を教えてください。

奥谷 アナログスイッチさんで歴史上の人物を演じるのは前回の高杉晋作、あと『信長の野暮』でも明智光秀を演じているので3回目になるんですけど、伊能忠敬って「地図を作った人」というイメージですよね。伊能忠敬という人物を活かしつつ、慎哉さんがどんな作品を書くのかな? というのは単純に興味がありました。佐藤さんが書き上げるものが面白いというのは、確信を持っていましたが、それがラブコメということで……。
たしかにいままでの作品でも恋愛の描写はありましたけど、特に今回は「お互いが想い合う」「すれ違う」「うまくいかない……」みたいな、現代にも置き換えられるようなもどかしい、儚い感情を慎哉さんらしく面白おかしく描いていて、劇場が笑いの渦になりつつ、みなさんがキュンキュンしてくれたらいいなと思っています。

田鶴 そうですね、伊能忠敬について、僕はほとんど知らない中で脚本をもらって、しかもラブコメということでまず「え? 慎哉さんがラブコメを?」という驚きがありました。忘れもしないのが、稽古の序盤で慎哉さんが「この歳になって少女漫画を読んだんだよ」と話されていて(笑)。ワクワクとこっ恥ずかしさ と、「慎哉さんがつくる胸キュンストーリーってこんな感じなんだ!」みたいな、本から慎哉さんの恋愛歴がわかるような感じがしました。

――田鶴さんは前作『寝不足の高杉晋作』に続いて2回目の参加ですが、違いを感じますか?

田鶴 やはり違うなって思います。前作はわりとドタバタコメディという感じでしたけど、今回は忠敬とお栄さんのふたりの思惑みたいなものをしっかり描いていて、それを僕が演じる間宮林蔵やお菊がかき乱す感じで、スピード感が違うなと。切ない夏の恋という感じがあって、緩急もしっかりと感じます。

――たしかに劇中のあちこちに少女漫画的な要素が散りばめられていますね。

田鶴 だって僕がお栄さんと出会うシーンとか、思い切りベタですよ。「いけない、遅れちゃう!」「バンっ」「どこ見てんだよ」みたいな(笑)。そんなベタなの持ってくる? って思いましたけど、慎哉さんなりの狙いがあるんでしょうね。僕は前回やってみて、慎哉さんは劇場が見えていると感じたんです。役者って稽古していて「これって面白いのかな?」と思うことありますけど、劇場でお客さまを前にすると、稽古場で慎哉さんが笑ってたところでお客さまも笑っていて、悔しいけどすごいなって。だから、今回は僕、ちょっと無理やり「出たいです!」と言って入れていただいたんです。

小関 そうなの!? すごい!

田鶴 劇場で気づかされることが今回は特に楽しみです。

小関 そういうお話を聞くと楽しみになってきました。私は本当に勉強が得意ではなくて(苦笑)、伊能忠敬って「地図の人か」くらいしか知らなかったんです。けど、読んでみたらすごくわかりやすし、楽しくて、私みたいな何も知らないという人も楽しめる作品になると思います。

――アナログスイッチは初出演ですが、どんな印象を持たれていますか?

小関 まさに難しい歴史をわかりやすく、面白く見せてくれるという印象ですね。

奥谷 今回の脚本は胸キュンしました?

小関 胸キュンしました(笑)。

田鶴 実際、読み合わせでは、女性キャストのみなさん「いいねぇ」っておっしゃってました。

小関 私も思いました。切ないなぁ、ってなりました。本当にすごく素敵なお話だなと思います。

恋模様の絶妙な距離感は、測れそうで測れない!?

――それぞれの役柄についての印象やどんなふうに見せたいと考えているかも教えてください。

奥谷 まさにタイトルにあるように、恋の距離感をつかめない人なんですけど、頭が良いので、何かに集中したら一点張りで夢中になってしまうんでしょうね。測量を命がけでやってきた人だからこそ、ほかのことが疎かになってしまうという描写が出てきますけど、“悪い人”という見え方ではなく、そういう部分がラブコメの切なさや儚さにつながるように見せられたらと思います。

――林蔵は、お栄の“作戦”に乗る形で、忠敬とお栄の関係をかき乱す役割ですね。

田鶴 林蔵の描かれ方が、お栄さんのことを第一に考えるという、この時代には珍しいタイプなんです。忠敬とお栄さんの関係をいろいろなやり方で揺さぶれたらと思いますし、パートナーがいる方がこの作品を見た時に、ちょっと気持ちがリンクするような――お客さまがお栄さんに自分を投影する上での架け橋のような存在になれたらと思います。決してやましい関係を求めているわけではなく(笑)、お栄さんや忠敬が行動をする起因になれたらいいですね。
普段、役を演じる上で、自分の役を大事にと考えて演じることが多いですけど、アナログスイッチさんの面白いところって“バトンの渡し合い”だと思っていて。観終わって個々のキャラクターはもちろんですが、より作品として面白いと思ってもらえる劇団さんだと思うんです。そういう意味では、あまりキャラクターに固執し過ぎないでやれたらと思います。

小関 私は、周りのひとたちを巻き込んで、いろいろやる役なんですけど、嫌な感じではなく「かわいかったね」と思ってもらえたらいいですね。

田鶴 小関さん本人は人見知りらしいんですけど……。

小関 そうなんです。

田鶴 お栄さんになった瞬間に「どこが?」って感じでグイグイくるんです(笑)。

――ここまで稽古をやられてきて、いかがですか?

奥谷 初めてのアナログスイッチはどうですか?

小関 楽しいです! みなさん、話しやすいですし。

奥谷 話せてますか(笑)?

小関 少しずつ……(笑)。スタッフさんも含めて全員「はじめまして」なんですけど、自分が出ていないシーンを見ているのもすごく楽しいですし、劇団員のみなさんがすごくしっかりしてますよね。佐藤さんは、自由にやらせてくださって、「もっとこうして」とか言われることもほとんどなくて、セリフを間違えても「そっちのほうが面白いから良いかも」って(笑)。

――奥谷さん、田鶴さんの印象は?

小関 すごく顔がキレイなおふたりで……って、そういうことじゃなく(笑)?

奥谷&田鶴 太字でお願いします(笑)!

奥谷 僕はお栄さんとのシーンは多くないんですよね、でも、それが良いのかな、切なくて。

田鶴 僕は稽古を通して、慎哉さんによるアナログスイッチの劇団員さんの配置が本当に秀逸だなと思っていて。例えば忠津(勇樹)さんが入ると空気が変わるんです。慎哉さんもそれがわかっているから、忠津さんがいない日は、普通なら代役を立てて稽古するものだけど「ここは忠津が来たら変わるから飛ばそう」って。

小関 たしかにそう言われますね。

田鶴 知弘もそう。慎哉さんから見て、忠津さんと知弘は、自分の想像を超えたところに立てる役者らしいです。「そこは本来、無理だろ」ってところに立っちゃうという(笑)。たしかにお芝居していて「そこに立ったら気持ち悪いやろ」というところってあるんですけど、ふたりはそれをぶっ壊しちゃうんです。

奥谷 翔吾くんも話していますが、台本の文字面だけで見たら「これどういうこと?」「どうなってんの?」みたいなところがあるんです。いつもあるんですけど(笑)。でも稽古を重ねて、実際に舞台でやってみると「なるほど、こういうことか!」と発見させられる笑いがあるんです。空間のつくり方が秀逸なんですよね。

田鶴 基本的に、慎哉さんが笑っているならイケるだろうと安心してはいます。とはいえ、あと2週間くらいですからね。

奥谷 (小関に)緊張はありますか?

小関 私、緊張はしないんですよ、全然。あと2週間あればなんとかなるなって(笑)。

奥谷 人見知りだけど、緊張はしない…(笑)?

小関 緊張せずにヘラヘラしちゃうんです。

田鶴 どういうことですか(笑)。頼みますよ!

取材・文/黒豆直樹

<公演情報>
アナログスイッチ22nd situation 『伊能忠敬、測り間違えた恋の距離』

日程:2025年8月14日(木)~19日(火)
会場:ザ・スズナリ

[作・演出] 佐藤慎哉(アナログスイッチ)
[出演] 奥谷知弘 田鶴翔吾 小関えりか 土本燈子 櫻井成美/
秋本雄基 渡辺伸一朗 藤木陽一 忠津勇樹 雨宮沙月 (以上、アナログスイッチ)

【あらすじ】
「妻との距離がわからない。」
測量の名人、伊能忠敬。その帰りを待ち続けた内縁の妻、お栄。
新たな測量旅が差し迫る中、ふたりは互いの距離を測りかねていた。
旅したい夫と、引き止めたい妻。
ふたりの距離を調節し続ける、師匠と弟子とその仲間たち。
諮り、図って、謀られて、伸び縮みするみんなの距離。
測るに測れない距離を、それでも測ろうとする、
お江戸測量ラブコメディ!!

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/analog-switch/

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