西島秀俊「人間標本」で息子役の市川染五郎を称賛「芯の通った美しさがある」
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「人間標本」制作発表会見の様子。左から廣木隆一、市川染五郎、西島秀俊、湊かなえ
ドラマシリーズ「人間標本」の制作発表会見が本日8月13日に東京・ウェスティンホテル東京で行われ、キャストの西島秀俊、市川染五郎、原作者の湊かなえ、監督の廣木隆一が登壇した。
Amazon MGMスタジオ製作の本作は、蝶の研究者である榊史朗が、息子の至(いたる)を含む6人の少年たちを“人間標本”にしたと告白することから展開していくミステリーサスペンス。西島が史朗、染五郎が至を演じる。
湊は、デビュー15周年記念作品として手がけた小説「人間標本」について「テーマは、(自身の)子供が成長してエンタテインメントとして楽しめるようになるまで書かなかった“親の子殺し”です。『告白』のときから問い続けてきた『人は同じものを見ているのか?』ということ、またこれまであまり描いてこなかった父と息子の物語に挑みました」と言葉を紡ぐ。また今回のドラマ化に関して「平面だった本が立体化したらこうなるんだと、素晴らしい形で見せていただきました。しかも廣木監督に参加していただき、こんな幸せなことはないと飛び上がって喜びました」と笑顔を見せた。
湊の小説を映像化するのは、映画「母性」に続き2度目となる廣木。彼は「(本作に)取り組んでいるうちに、いろいろなものがわかってきて、ある到達点が見えてくるんです。それを一緒に探せるというのが、とても勉強になりました」とコメントする。さらに「美術的にもさまざまなアイテムが出てきます。最後にすごくいいものが見えたと思える作品ですので、気に入っていただけるはずです」と太鼓判を押した。
オファーをすぐに快諾したという西島は、「企画に飛びつきましたが、準備を始めると構造が複雑でとても難しかったです。視聴者の方も、『もう一度観直したい』と思うはずです。蝶のことは東大の先生にお話を聞いて、湊先生が蝶と人間を対比させた素晴らしさを学びました。一歩一歩、作品に向かっていきました」と振り返る。現代劇ドラマ初出演となる染五郎は「自分にとって大きな挑戦になると思いました。純粋に原作が面白く、また廣木監督のスケール感のある現場に入らせていただけるということで飛び込んでみたいと思いました。また叔母の松たか子が『告白』で主演していたこともあり、ご縁を感じた部分もあります」と出演依頼を受けた理由を明かした。
染五郎は「歌舞伎はほとんどの場合、着物ですし化粧も白塗りで、カツラをつけています。そのため(今回の現場で)まずカツラをつけていないことに違和感がありました。『頭が軽いな!』と不思議な感覚です(笑)。歌舞伎では普段の自分とまったく違うビジュアルになることで役のスイッチが入るので、その境目があまりないというのが新鮮でした」と回想。西島は「芯の通った美しさがある方。染五郎くんだけが持っている特別なものだと思います。すごくしっかりしている部分と、ものすごく純粋な部分があって。台湾ロケでも蝶を追いかけ回していたり(笑)。その2つの面が同居していて非常に魅力的な俳優だと思います。もっと現代劇にも出ていただいて、また共演したいです」と染五郎を称賛した。
“親の子殺し”というテーマに関して西島は「主人公がこのような考えに至るシーンは、もっとも難しかったです。人間にとって越えることが不可能に近い壁ですから、どう演じるか話し合いました。最後まで観るとこの作品は、深い愛の物語なんです。そこがキーになると思い、葛藤しながら撮影していました」と伝える。現代劇への出演にあたり、家族からのアドバイスはあったかと尋ねられた染五郎は「本作に向けてというわけではありませんが、初めて映像作品に出させていただく際に、父(松本幸四郎)から『監督やスタッフの皆さんがいいものを選んでくださるから、いろんなパターンの芝居を用意するように』とアドバイスがありました。また、舞台は生でお見せするものですけど、その瞬間を切り取るという意味では映像のほうが“ライブ”なのではと言っていました。今回もその言葉を思い出しながら撮影に臨みました」と口にした。
全5話の「人間標本」は、12月19日よりPrime Videoにて独占配信される。
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