『水谷千重子50周年記念公演』合同取材会・公演初日観劇レポート
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すべて見る大物演歌歌手・水谷千重子の「50周年記念公演」は、第1部がお芝居ステージ「CAKUGO (カクゴ) 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」、第2部 歌謡ステージが「千重子オンステージ」と銘打たれている。ミュージカル調の第1部はタイトルからしてエンタメ好きな人にとってはツッコミどころ満載で、さまざまな要素がてんこ盛り。第2部も水谷の歌唱力とサービス精神を存分に味わうことができ、観終わった時には思わず笑顔になっていること間違いなしの充実したステージだ。8月22日の初日前に行われた合同取材会、そして公演初日の模様をお伝えしよう。
王道も意外性も楽しめるザ・エンターテインメント・ショー
初日開幕直前に行われた取材会には、水谷千重子、的場浩司、高橋ひとみ、生駒里奈、川西賢志郎、神里優希、ハリセンボン、そして“幼少期のロバート秋山を育てた男!?” こと、倉たけしが出席。水谷にとって4度目の「50周年記念公演」であることを倉から盛大にツッコまれつつ、「今回は洋風なお芝居という初の試みなので、皆さんに楽しんでいただけるように精一杯がんばりたいと思います」(水谷)、「水谷千重子先生がものすごくカッコいいので、お芝居にご期待ください」(的場)、「千重子先生に稽古場でたくさんいただいたパワーを皆様に届けていきたいと思います」(生駒)などと、それぞれに公演への意欲を語る。




各々の役柄についても、「ブロードウェイ一の大女優。初めて歌と踊りをやらせていただくので、とても緊張しております」(高橋)、「劇場の演出家で出演もするユークリッドは、あて書きなのかなっていう、いい加減な部分もあったりなかったり」(神里)、「劇団員のケニーという役柄ですけれども、歌やダンスの他に、自分では開けたことのない引き出しを開けられる」(川西)、「新人ダンサーの役ですが、本当に大スターの卵だと思っている」(ハリセンボン)などと紹介された。
そんななかバッファロー吾郎Aによく似た記者・市村が乱入して倉との攻防戦が繰り広げられるという一幕もあり、フォトセッションの際にもふたりのつばぜり合いが続いて取材陣も笑いが抑えられない。とはいえ、最後は水谷がびしっと「華やかなステージになったので、皆さんに楽しんでいただけるのではないかと思う」と締めくくった。


「CAKUGO」の舞台は、ブロードウェイの大劇場・ウォーターバレー。トップ女優・ジャネット(高橋、YOUとのダブルキャスト)の目にとまった花売り娘・フローレンス(水谷)はアンジェリナ(生駒)や姉妹のルナとルカ(ハリセンボン、ダブルキャストのガンバレルーヤが演じる際はヨッシーとマー・チャン)に目の敵にされながらも、従来のダンスにはとらわれない斬新なダンスで人気を得る。ケニー(川西)と共同で脚本を執筆した舞台『天空のフリージア』も成功を収めたが、彼女は何者かに狙われることに……。


年老いたフローレンスの回想という構図やバックステージものであることをはじめ、細かな部分にも舞台や映画、昭和歌謡などエンタメ好きな人にとって「あの作品っぽい」「あの人のことだな」と感じるだろう要素が詰まっていることに注目したい。また、アドリブパートで繰り出される水谷やハリセンボンの達者ぶりと俳優陣の素のリアクションを楽しんでいるうちに、気づけばフローレンスをめぐってシリアスかつハードボイルドになっているという超展開。内心「ちょっと待て」とツッコみながらもラストには思わずしんみりしてしまい、意外に感動的だったりする。


芝居に歌にダンスにアドリブにと縦横無尽な活躍を見せる水谷はもとより、的場・高橋・生駒・神里ら俳優陣もさすがの芝居力で魅せる。高橋は大女優らしい風格にかわいらしい面ものぞかせ、生駒・神里は華やかな歌とダンスでも客席を魅了した。中でも観る者を惹きつけたのは、表と裏の顔をもつ貿易商・コージーを演じた的場だろう。登場当初はやや外しぎみな会長ジョーク連発のキャラクターかと思いきや、実はハードボイルドな側面での立役者と言える存在感を発揮。「はまり役だね」「カッコいい」という感想が聞こえてきた。コージーとフローレンスを繋ぐ、ある小道具の活かし方も小気味よい。
昭和歌謡への愛あふれる水谷千重子ワールド
歌謡ステージでは、4度目の50周年記念公演であることを受け入れて楽しんでいる観客への感謝と共に、水谷が今月発売のアルバム『LOVE昭和SONGS』収録の楽曲を中心に歌い上げる。今回新調したという昭和的なグッズの絵柄の着物(帯の柄はタイガーバーム!)をはじめ、昭和歌謡への愛が強く伝わってきた。これは、昭和という時代をよく知る観客にとってもたまらないものがあるだろう。

小柳ルミ子の「今さらジロー」では男性ダンサーとアダルトに見せたかと思えば、夏川りみの「童神」では豊かな包容力を感じさせたりと、カバーしたアーティストへのリスペクトも伝わるステージだ。日替わりのジョインゲストコーナーでは倉たけしと共にアンデルセン童話「パンを踏んだ娘」を歌にしてちょっとダークな要素を見せ、かと思えばアルバムにもボーナストラックとして収録されている新曲「時のリボン」では、ぐっとドラマチックなデュエットを聴かせる。

ジョインゲストには倉の他、“藤井隆とも親交が深い”御崎進、“サンドウィッチマン伊達の親友”萬みきお、“水谷千重子が沖縄から見つけてきた大型新人”まさとし先輩などが日替わりで登場する。それぞれに水谷とどのようなかけ合いを見せるのかは、大きな楽しみのひとつだろう。本編ラストの「あまえたって駄目さ」、アンコールの「人生かぞえ歌」に至るまで、千重子バンド(倉は「水谷鼓笛隊」と呼んで笑いを誘ったが)と共に確かな力量で劇場を“水谷千重子ワールド”に染め上げた。

第1部・第2部と、小ネタのギャグから予想外の社会派ハードボイルドまで「ギャップが大きいにも程があるだろう!」というステージ。まんまと水谷と制作陣の掌の上で転がされていたかのような、ちょっと悔しい、でもすごく楽しい公演なのだった。
取材・文/金井まゆみ
<公演情報>
『水谷千重子50周年記念公演』
【東京公演】
日程:2025年8月22日(金)~9月7日(日)
会場:明治座
【福岡公演】
日程:2025年9月13日(土)~9月22日(月)
会場:博多座
【大阪公演】
日程:2025年9月27日(土)~10月5日(日)
会場:新歌舞伎座
■お芝居ステージ「CAKUGO (カクゴ) 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」
[原案] 二葉菖仁
[脚本] 二葉森乃介
[演出] 二葉慶太郎
[出演]:水谷千重子
生駒里奈 バッファロー吾郎A 川西賢志郎 神里優希
ハリセンボン(近藤春菜・箕輪はるか、Wキャスト)/ガンバレルーヤ(よしこ・まひる、Wキャスト)
高橋ひとみ(Wキャスト※)/YOU(Wキャスト※)
的場浩司
※高橋ひとみは明治座と博多座、YOUは明治座と新歌舞伎座に出演。
■歌謡ステージ「千重子オンステージ」
[出演]:水谷千重子
※日替わりジョインゲストあり。
「CAKUGO (カクゴ) 愛と憎しみと追憶と沈黙のミス・フローレンス」あらすじ
1962年アメリカ。シカゴから792マイルを隔てたニューヨーク・ブロードウェイを舞台に繰り広げられる謎多き伝説の女性ダンサー・フローレンスの物語。彼女はいかにしてトップの座に君臨し、突如として姿を消したのか。水谷千重子が贈る、愛と夢と笑いと涙と希望と絶望と感動の完全オリジナルのちょっとミュージカルなエンターテインメント!
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