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ルイス・クー主演「私立探偵」のロケ地候補は日本だった、監督2人が裏話を明かす

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「私立探偵」ビジュアル

ルイス・クー(古天樂)が主演を務めた香港映画「私立探偵」(原題「私家偵探」)が昨日8月31日に第21回大阪アジアン映画祭(OAFF2025)で日本初上映。大阪・ABCホールで行われた舞台挨拶に監督のジョナサン・リー(李子俊)、チョウ・マンユー(周汶儒)らが登壇した。

「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」のソイ・チェン(鄭保瑞)がプロデューサーを務めた本作は、若い女性が残虐に殺される連続殺人事件に巻き込まれた探偵が、次なる犠牲を食い止めるために命を懸けて真相解明に挑むクライムサスペンス。マレーシアに住む私立探偵のアウヨンは、妻とすれ違いの日々を送っていた。そんな彼のもとに舞い込んだ依頼は、3件の浮気調査。そのどれもが男性がパートナーを疑うものだった。そしてこれらの調査を進める中で殺人事件が発生し、アウヨン自身も巻き込まれていく。ルイス・クーがアウヨンを演じ、殺人事件を追う刑事にリウ・グァンティン(劉冠廷)が扮した。

一番表現したいと思っていたのは夫婦の愛情

第21回大阪アジアン映画祭の上映作の中で、最速でチケットが完売した本作。大きな拍手に迎えられ登場したジョナサン・リーは「こんなに情熱的な皆さんに集まっていただき、満員にしていただいてとてもうれしいです」と笑みをこぼす。同じく満員を喜んだチョウ・マンユーは「この作品は、表面的には私立探偵の話ですが、一番表現したいと思っていたのは夫婦の愛情です。世界中で“私立探偵もの”はたくさん作られていますが、犯罪に重きを置いているものが多い。夫婦の感情を描いたこの作品を日本の皆さんに受け入れていただけるとうれしいです」とアピール。そして「この映画の中には、男性が女性の浮気調査をする描写があります。『実体験ですか?』とよく聞かれるんですが、そうではないと言っておきますね(笑)」とちゃめっ気たっぷりに否定し、会場の笑いを誘った。

共同で監督を務めた現場を振り返り「毎日喧嘩してました(笑)」と明かすジョナサン・リー。「2人監督がいると、やはりそれぞれ考えがあります。互いに映画をもっとよくしたいと思っていたので、いいものを作ろうと決め、現場で話し合いながら撮影していきました」と思い返した。一方のチョウ・マンユーは「夫婦喧嘩を撮る際は、まず私たち2人でやってみるのですが、リーさんは必ずルイスの役をやるんです。私は奥さん役をやらされていました」と笑う。

もともと日本で撮影できないかと思っていた

マレーシアで資金援助を受けられたこともあり、本作は同地が舞台となった。ジョナサン・リーは「香港映画をもっと外に広げていきたいと思っていましたし、2人とも香港以外の場所で撮ってみたいという気持ちもあったんです」と説明する。チョウ・マンユーは「実はもともと日本で撮影できないかと思ってロケハンに来たこともあったんです。でも、日本の俳優さんに脚本を見ていただいたところ、『日本の警察に悪い人はいない』と言われて、あきらめました。そんな中、ルイス・クーさんから『マレーシアでどう?』という提案があったんです」と思い返し、「例えばジャッキー・チェンさんは、さまざまなアジアの国で映画を作ってきましたよね。私たちも同じように、いろんな場所で撮って、新しいマーケットを開拓しようと。それでマレーシアで撮影しました。でもマレーシアの警察も悪い人ばかりじゃないですよ!(笑)」としっかりフォロー。司会から「日本の警察もいい人ばかりじゃないです(笑)」と声が上がると、客席から笑い起こった。

ルイス・クーをいかに“負け犬”に見せるか

イベント終盤には、ルイス・クーとリウ・グァンティンのキャスティング経緯に話が及ぶ場面も。ジョナサン・リーは「主人公は“負け犬”にしようと思っていました。もともとアウヨンはすごく仕事ができる探偵でしたが、マレーシアに移住してきて以降、人探しや犬探しなど、小さな案件しか依頼が来なくなった。さらに奥さんと20年、結婚生活を送っているけれど、会話ができていないキャラクターです。そんな人物設定を見たルイスは『なかなか面白そうだからやってみよう!』『かっこいいイメージを取り払って、ルーザーな感じのキャラにしよう』と言ってくれました」と明かし、「最初にルイスがマレーシアを歩く場面がありますが、誰もルイス・クーだと気付かなかったんです。大成功だと思いました!」と胸を張る。

チョウ・マンユーは「ルイス・クーの最近の出演作といえば『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』ですが、本当にかっこよくて、強いというイメージが出来上がっている。そんなルイスが奥さんに裏切られる負け犬なんて、誰も想像できないんじゃないかと思っていました。そこをどう解決しようかと考えて、パーマを当てて、メガネを掛けてもらったんです。町でルイスだと気付かれず大成功でした」と語った。

リウ・グァンティンはときどき爆発するような表現ができる

殺人事件を追う刑事を演じたリウ・グァンティンは、「1秒先の彼女」や「オールド・フォックス 11歳の選択」などで知られる台湾の俳優だ。チョウ・マンユーは「まずマレーシアで撮影することになったとき、香港人俳優だけを起用しないと決めました。そうでないと、なぜマレーシアが舞台なのかがわからなくなってしまう。またマレーシアは、さまざまな文化があり、さまざまな人が住んでいる多元的な場所です。マレーシアでは、私が英語で話しかけると、相手はマレー語で返してきて、今度はマレー語で話すと、相手が普通話で返してくることが実際にあります。そんな場所で撮影する際、誰をキャスティングすべきなのか考えていたところ、プロデューサーのソイ・チェンがリウ・グァンティンを提案してきました。彼は見た目は優しくて、ちょっと弱い印象を受けるけれど、内心は複雑なものを抱えていて、ときどき爆発するような表現ができる俳優だと思いました」と言及した。

第21回大阪アジアン映画祭は、9月7日まで大阪・ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂で開催。本作は9月7日にも上映される。

第21回大阪アジアン映画祭情報

2025年8月29日(金)~9月7日(日)
大阪府 ABCホール、テアトル梅田、T・ジョイ梅田、大阪中之島美術館、大阪市中央公会堂

オープニング作品

  • 万博追跡(台湾)

コンペティション部門

  • ワン・ガール・インフィニット(アメリカ、シンガポール、ラトビア)※アジア初上映
  • 世界日の出の時(中国)※日本初上映
  • 退避(カザフスタン)※日本初上映
  • アイ、ザ・ソング(ブータン、フランス、ノルウェー、イタリア)※日本初上映
  • 紅い封筒(タイ)※日本初上映
  • シャンバラストーリー(日本、アメリカ、インド)※世界初上映
  • 寒いのが好き(韓国)※日本初上映
  • 浅浅歳月(香港)※日本初上映
  • 私たちの意外な勇気(台湾)※日本初上映
  • 最後の夏(中国)※海外初上映
  • サンシャイン(フィリピン)※日本初上映

特別注視部門

  • 橋(ブータン)※世界初上映
  • D-デイ、フライデイ(韓国)※日本初上映
  • 明日が来る前に(中国)※世界初上映
  • 初めての夏(韓国)※日本初上映
  • その間(インド)※世界初上映
  • MA-沈黙の叫び(ミャンマー、韓国、シンガポール、フランス、ノルウェー、カタール)※日本初上映
  • コンチェッタ、どこにいるの?(タイ)※海外初上映
  • トゥームウォッチャー(タイ)※日本初上映
  • ウィービング(韓国)※海外初上映
  • あなたを植える場所(韓国)※アジア初上映
  • クィアパノラマ(香港、アメリカ)※日本初上映

インディ・フォーラム部門

  • 生きているんだ友達なんだ(日本)
  • 結局珈琲(日本)※世界初上映
  • 白昼夢(日本)※世界初上映 / R15+指定作品
  • カミナンって、呼ぶな。(日本)※世界初上映
  • 夢と進路(日本)※世界初上映
  • 火の華(日本)※世界初上映
  • 息子の鑑(日本)※世界初上映
  • イマジナリーライン(日本)
  • 糸の輪(日本)
  • たぶん未来が呼んでいる(日本)※世界初上映
  • ミルクレディ(日本)※日本初上映
  • よそ者の会(2025)(日本)
  • 桃味の梨(日本)※世界初上映
  • わたのはらぞこ(日本)
  • 星野先生は今日も走る(日本)※世界初上映
  • 嘘もまことも(日本)※世界初上映
  • まっすぐな首(日本、中国)※日本初上映
  • もういちどみつめる(日本)※世界初上映

インディ・フォーラム部門<焦点監督・田中未来>

  • ブルー・アンバー(日本)※世界初上映
  • エミレット(日本)
  • ジンジャー・ボーイ(日本)

特集企画<台湾:電影ルネッサンス EXPO 2025>

  • 黒犬(台湾)※日本初上映
  • 洗(台湾)※日本初上映

小特集<台湾クラシックスとTFAIのレストア成果>

  • ドラゴン・スーパーマン(レストア版)(台湾、日本)※日本初上映
  • 進学を拒絶した人生(2Kレストア・ディレクターズカット版)(台湾)※日本初上映
  • さようなら十七歳(2Kレストア版)(台湾)※世界初上映
  • 寂寞十七歳(レストア版)(台湾)※アジア初上映
  • 私たちの意外な勇気 ※コンペティション部門にも入選

特集企画<Special Focus on Hong Kong EXPO 2025>

  • レッド・キス(香港)※海外初上映
  • フルムーン・イン・ニューヨーク(デジタル・リマスター版)(香港)
  • 上海ブルース(レストア版)(香港)※日本初上映
  • 浅浅歳月 ※コンペティション部門にも入選
  • クィアパノラマ ※特別注視部門にも入選
  • 私立探偵 ※日本初上映

特別招待作品部門

  • フレイムユニオン 最強殺し屋伝説国岡[私闘編](日本)※世界初上映

神戸女学院大学国際学部協賛上映

  • 晩秋(インド)※日本初上映

特別上映 《VIPO Film Awardの成果》

  • ポストハウス(フィリピン)※海外初上映

クロージング作品

  • 好い子(シンガポール)