「遠い山なみの光」広瀬すず、二階堂ふみとの初共演は刺激的「説得力と存在感に圧倒」
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「遠い山なみの光」公開記念舞台挨拶の様子。左から二階堂ふみ、広瀬すず、吉田羊
映画「遠い山なみの光」の公開記念舞台挨拶が本日9月6日に行われ、キャストの広瀬すず、二階堂ふみ、吉田羊、監督の石川慶が登壇した。
カズオ・イシグロが1982年に発表した同名小説を映画化した本作。日本人の母とイギリス人の父を持つ作家志望のニキは、自著執筆のため母・悦子が1人暮らす実家を訪れる。ニキと数日間をともにする中で、最近よく見る“ある夢”について語り始める悦子。それは、まだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った謎多き女性・佐知子とその幼い娘の夢だった。広瀬が長崎時代の悦子、二階堂が佐知子、吉田がイギリス時代の悦子を演じた。
本作は第78回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門、第27回上海国際映画祭カンヌ・エクスプレス部門、第50回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門に出品されたほか、10月8日からイギリスで開催される第69回ロンドン映画祭のStrands部門への出品が決定している。広瀬は「カンヌをはじめ海外の方に観ていただく機会が多かったので、やっと日本で公開を迎えられてうれしいです」と笑顔で挨拶した。
二階堂は、初共演となった広瀬を「現場にずっしりと居てくださったので、スタッフの方々も我々も安心して撮影に臨むことができた。本当に頼りになる座長でした」とたたえる。広瀬は「この物語を自分の中で咀嚼するときに生まれた違和感のようなものが、佐知子さんを目の前にするとその紐が解けていく感覚があった。あの役は二階堂さんにしかできないと思わせてくれる説得力と存在感に圧倒されました。すごく刺激的な時間でしたね」と述懐した。
石川は「(広瀬と二階堂が)初共演とは思えないほどの阿吽の呼吸で、芝居で押すところ、引くところがしっかりしていた。編集していても音楽を聴いているかのような、本当に心地のいいセッションでした」と絶賛する。吉田は「長崎の街は貿易で栄えた異国情緒にあふれる活気がある。かと思えば、焦げついた建物がまだ残っているところも……。そういう歴史と記憶が混在している街だと感じました。この映画を通して、長崎について、そして原爆について、日本だけでなく世界の人がもう一度考えるきっかけになってくれたらうれしい」とメッセージを送った。
イベントには、子役の鈴木碧桜が花束ゲストとして登場。鈴木は佐知子の娘・万里子を演じており、共演した二階堂は「碧桜ちゃんは監督の言葉1つひとつに丁寧に向き合っていて、私もいろんなシーンで気付かされる瞬間がたくさんありました」と称賛する。最後に広瀬は「この作品では長崎の歴史、そして当時を生き抜いた女性たちの姿を描いています。観てくださる多くの方々の希望、光になったらうれしく思います」と述べ、イベントは幕を下ろした。
「遠い山なみの光」は、全国で上映中。
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