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『時をかけ・る~LOSER~』インタビュー 平野良×松田岳

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歴史研究員に扮した俳優たちが歴史上の“敗者=LOSER”の姿を解き明かし、その物語をオムニバス形式で演じる『時をかけ・る~LOSER~』。ストレートプレイやグランドミュージカルなど演目ごとにジャンルも異なり、6人の役者が数十役を演じるパワフルかつ盛りだくさんな内容が、2024年の上演時に好評を博した。スピンオフ公演を経て、今回の第2弾は「幕末維新」にスポットをあてる。演出を務め、自身も所長役などで出演する平野良、今回はエンタメ活劇「壬生の天狗」芹沢鴨などを演じる松田岳、ふたりに本作の面白さやメンバーの魅力について語ってもらった。

唯一無二の作品で、ここだけの役者の表情を

――前回公演を振り返ると、どんなことを感じますか。

松田 本当にたくさんのことをさせていただく舞台、そして演出で、他にはない貴重なありがたい作品だと感じました。

――ストレートプレイやミュージカルなど、いろいろなジャンルを詰め合わせたアンソロジーですよね。平野さんは演出を担当された一方で、所長としても出演されています。

平野 それぞれのジャンルのいいところを凝縮していますから。僕は、役者それぞれの速度ってあると思っています。ですから前回は、稽古の時間に限りがあったなか、それぞれのペースでいろいろ計算しながらやってもらいました。でも、段取りがめちゃめちゃ多くて……。毎日、「すまん! でも(稽古を進めないと)間に合わない」と思っていたんです。

――そんな超ボリューム公演の第2弾である今回、平野さんは引き続き演出も担当されます。

平野 演出はこれまでにも何作かやらせていただきましたが、だんだん根が甘えん坊な自分を出せるようになってきたというか、平気な顔で「ここ、どうしたらいいですか」と相談できるようになってきました(笑)。ですが、照明や音響、小道具のプロの方々がいてくださるのだから、その方たちが出してくださる案こそ素晴らしい。みんなで「面白いものを創りたい」って楽しみながら、結果的に本当に面白い作品を目指していきたいと思っています。

平野 良

――ちなみに、おふたりは互いのどういうところを素敵だと思っていますか。

松田 すぐ、平野さんファンの心理になっちゃうんです。お芝居が素敵で、言葉選びにも品があって、ユーモアもあって、なんて魅力的なんだろうと思う。演出家としてもいろいろな引き出しがあって、役者陣に選んでくださる言葉も優しくて素敵です。個人的に好きなポイントは、前回のスピンオフ(2024年『羽州の狐』)の場あたりで最後に微調整をしていた良さん。

平野 何かあった?

松田 照明さんとすごく細かい光のニュアンスを相談していた時に、赤い光の色を「今の赤だと静脈っぽい。動脈はいけますか?」って。めっちゃ素敵な表現だなって思いましたし、それに「なるほど」ってすぐに応える照明さんもすごい。

平野 そんなことあったねぇ。僕は、これは岳の良さを出すためのシリーズでもあると思っています。他の作品でも見られる表情というか定番の武器みたいなものはもちろん、それ以外にもいっぱい武器があるメンバーなので、それを活かして他の作品では見られない表情を見せてもらう。岳の場合は、それが豪快だけど儚い部分。ただ、岳は身体がすごくしっかりしているのに、なぜか女性役をやりたがるんですよね(笑)。

松田 前のめりにはなりますね(笑)。

平野 『時・る』のヒロインポジションです。岳はそうやって面白がっていろいろなことをやってくれるから、すごく助かるし、それが面白かったりする。特に、岳はアニメ好きなので「ああしたい」「こうしたい」っていう話をアニメに例えるとすごく伝わりやすい。

松田 前回も『ONE PIECE』や『ベルセルク』に例えた話がありました。

松田 岳

――そこが共通言語なんですね。松田さんが前回に続いて「エンタメ活劇」担当なのは、殺陣が上手だということもあるのでしょうか。

平野 アクションは、体力面だとかいろいろなことを加味したうえで調整します。今回は別の意味での「活劇」……シトラスというか、ギュッと絞ったら爽やかさが広がるような感じになりそうな気がしていて。それは、このメンバーの中では岳しか出せない香りです。

いろいろなジャンルの芝居をポップに楽しめる“お祭り”に

――脚本の赤澤ムックさんとご相談の結果とも思いますが、題材とキャスティングはどのように決めたんでしょう。

平野 5人の色は、前回でもう結構決まっていました。岳に関しては、本当に豪快で、ただその奥に秘めている何かが見えるのか見えないか、というキャラクター。「壬生の天狗」のキーワードは、痛快でド派手だけど繊細な「花火」です。

松田 花火、好きなんですよね……。

平野 (笑)!

松田 花火って危うさの中にある美しさが、人を魅了していると感じています。パって散るけど、その映像がずっと目に焼きついていると言いますか。お客さまにとってそういうふうに映るお芝居になったらいいなって、今の話を聞いて思いました。

――ストレートプレイ「INU」では、安西慎太郎さんが岡田以蔵を演じます。

松田 慎ちゃんは、時間がギュッとするというか、瞬きできない、したくないくらいに集中してしまう存在感があるんです。

――確かに、芝居の情報量がすごく多い方だという印象です。

松田 緊張感のあるドキュメンタリーを見ているようなリアリティがありますよね。

平野 顔の造形も含めて、安西慎太郎の持っている雰囲気は、他を寄せつけない狂気や業を背負った悲しみみたいなものが前面に出ていますよね。今回狙いたいのは、タイトルにもある通り「犬」。安西って狼のイメージがあると思うんですけど、それが猫でもライオンでもなく犬だっていうところがキーワード。みんなが求めている狂気の安西は残しつつ、今までにはないものも出していきたいですね。

――木ノ本嶺浩さんは、傍白劇「交渉人勝海舟」。

松田 僕はミネさんをすごく慕っているんですけど、ミネさんも「慕って、岳♡」みたいな甘えを見せてくるんです。

平野 (笑)!

松田 すごく優しい気持ちになるんですよ。一緒にお芝居をしていても、自分との色合いの違いとか、ミネさんの考えとか、「お芝居の中で僕は寄り添えているのかな」とか、特に顔色を見て考えているかもしれません。それでミネさんに引っ張られて、ミネさんと芝居している時にしか出ない松田岳がいるような気がする。それが今回も生きたらいいですね。

平野 ミネは優しいし芸歴も長いから、人に合わせることもできるし、ちょっとふざけていたり、ちょっと気持ち悪かったりとかもできちゃう。でも「誰のことも考えなくていいから突き抜けてくれ」っていった時のカッコよさは本当に素晴らしくて、ハリウッドスターみたい。今回もそこを目指したいです。

――前川優希さんは3.5次元ミュージカル「明治美譚~葵編~」の西郷隆盛です。

平野 どうなるのか、今のところ一番読めないですね。台本もできたばかりですが、優希がどういうものをもってくるかっていうのにもよりますし。キラキラさせたいけど、それだけではない作品になりそうです。

――前川さんの西郷に対して松田さんは大久保利通で、いわば相棒ポジションです。

松田 優希くんはすごく周りを見て、考えて、行動に移す人。良さんが今言った「キラキラしてるだけじゃない」ところを体現するには、彼も僕も、地に足をつけてやらなくてはいけません。「3.5次元って何だろう」って今でも思っているんですけど(笑)、「これこそが3.5次元だ」「新たなジャンルを築いたぜ」という歴史的瞬間に立ち会える予感があるし、それを生んだ一員になりたいっていう情熱もすごくあります。

松田 岳

――内藤大希さんはグランドミュージカル「将軍」の徳川家茂で、松田さんはヒロイン……? 和宮ですね。

松田 大希さんは、LINEとか一番プライベートでやりとりしているかもしれません。歌唱力が抜群だっていうイメージが強いけど、『時をかけ・る』でいろいろな演出で見ることができて、すごく芝居の方というか人間力のある方で、そこに歌がのっているんだってわかりました。今回も一緒にお芝居を創れる時間が楽しみです。

平野 大希のもっている優しさや弱さ、芯のある強さを歌で表現できることはひとつの強みなので、もちろんそれは全面的に押し出します。でも、あまりグランドミュージカル的なものにはしません。今回のイメージはジャズバーの一角のような雰囲気になりそうなので、まだ細部を詰めるところや改変しようと思っているところもありますけど。前回とはまた違う感じになるんじゃないかな。

――そして今回は、タイムリープ「何度繰り返しても薩長同盟が結べないんぜよ⁉」で平野さんご自身が坂本龍馬を演じます。

平野 坂本龍馬は好きな人物なので演じられるのは嬉しいですが、タイムリープものは好きなジャンルですから演出に専念したかったという気持ちもあります(笑)。タイムリープものは同じ時間を繰り返すという面白みがあるので、創りがいもあります。ある意味、演出としては一番楽しみな演目かもしれない。

平野 良

――締めくくりとして、見どころなどを含めたメッセージをお願いします。

松田 幕末維新って「ひとつの時代が終わって新しい時代の夜明け」みたいなイメージがあって、今の時代を生きていても同じような時代の訪れや変化をすごく感じます。僕自身、生きるうえでただ時間を浪費するのではなく、どういうふうに生きていくべきなのか、『時をかけ・る』で学ばせていただきたいと思います。お客さまにはただ楽しいと思っていただけるだけでもすごく幸せですけど、一緒に幕末維新を体験して、同じ時間を過ごして、何かひとつでも持ち帰っていただけることを楽しみにしています。

平野 今回の会場は品川プリンスホテル Club eX ですから、かなり洋の印象がある劇場。それも加味したうえで、全体的には前回よりもポップになりそうな気がしています。ふらっと歩いていたら、たまたま神社の前を通ったら出店がある、何だろう、くらいの感覚で来ていただければ。いろいろなお店(演目)があるし、幕末維新という題材も面白いので、歴史好きな方もそうではない方もみんな楽しめるようなお祭り、酉の市になっています。ぜひ気軽に遊びに来てください。

取材・文/金井まゆみ

<公演情報>
「時をかけ・る~LOSER~2」上映会

日程:2025年11月9日(日) 昼公演13:00 / 夜公演17:30
会場:サンケイホールブリーゼ
【登壇者】 安西慎太郎、木ノ本嶺浩、松田岳、前川優希/内藤大希、平野良
【上演時間】キャスト登壇 60分 上映時間 100分(予定)

【昼公演】
2025年11月9日13時の大阪サンケイホールブリーゼへタイムスリップの回
◆登壇内容
・公演を振り返ってのトーク
・役を入れ替えてみようリーディング(本役とは別役をリーディングで演じる) ※「時る」初演含む
・本編スピンオフリーディング(リーディング脚本:赤澤ムック)
 勝海舟/徳川家茂/坂本龍馬 スピンオフ
・リーディング「研究員の日常」
◆上映映像
10月31日昼公演(B「交渉人勝海舟/E「将軍」/F「何度繰り返しても薩長同盟が結べないんぜよ!?」)

【夜公演】
2025年11月9日 17時30分の大阪サンケイホールブリーゼへタイムスリップの回
◆登壇内容
・公演を振り返ってのトーク 
・役を入れ替えてみようリーディング ※「時る」初演含む
・本編スピンオフリーディング(リーディング脚本:赤澤ムック)
 西郷隆盛/芹沢鴨/岡田以蔵
・リーディング「時る百貨店にて2」
◆上映映像
10月31日夜公演(D「明治美譚~葵編~」/C「壬生の天狗」/A「INU」)

※昼の部の登壇は上映後に、夜の部の登壇は、上映の前を予定。
※内容は変更になる可能性がございます。

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/toki-wo-kakeru/

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