ハイドロブラスト「ケアと演技」ツアー開幕、竹中香子「人が集まるという現象そのものに意味を」
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ハイドロブラスト「ケアと演技」大阪公演より。(撮影:江里口暁子)
ハイドロブラスト「ケアと演技」3都市ツアーが、昨日9月18日に大阪・西成永信防災会館で開幕した。
竹中香子が作・演出を手がける「ケアと演技」は、パーキンソン病を患っていた実父の生活に10年寄り添った在宅介護チームの“ケアの技術”に感銘を受けた竹中が、“ケア”と“演技”の重なりを見出したことから生まれたパフォーマンス。昨年東京で初演された同作が、このたび大阪・長野・神奈川に登場する。出演者には竹中と太田信吾のほか、演奏の島崎智子と服部将典が名を連ねる。また今回は新たな試みとして、ケアの実践者との対話の場「ラーニングルーム」が併せて開催される。
開幕に際し、竹中は「いま世界では、数えきれないほどの争いや断絶によって、多くの『関係』が引き裂かれています。ほんの一部の権力によって生まれる不条理な悲しみを前に、平和な(ように見える)国に暮らすアーティストに何ができるのか。創作の意味さえ、見失いそうになることがあります。それでも私は、不穏なニュースに触れるたびに、二十代の頃に通い続けたフランスの小さな映画館を思い出します。そこは作品との出会いの場というより、不安や孤独から逃げ込める空間でした。いつでも扉が開け放たれていて、芸術鑑賞という高尚さとは無縁の、夜にひとりで家にいたくないという理由だけで訪れる、街の『公民館』みたいな場所。今回のツアー公演では、作品を頂点に据えるのではなく、人が集まるという現象そのものに意味を見出す上演でありたいと考えています」とコメントした。
ツアーは本日9月19日まで大阪で行われたあと、26・27日に長野・犀の角、10月2・3日に神奈川・神奈川県立青少年センター スタジオHIKARIを巡る。ラーニングルームは、「福祉とアート、“いい感じ”だけじゃない話—武田奈都子(デイサービス楽らく施設長)×武捨和貴(NPO法人リベルテ代表)×竹中香子」が9月27日に犀の角、「物語を処方する—小川公代(《シリーズ ケアをひらく》新刊『ゆっくり歩く』著者)×竹中香子」が10月3日にスタジオHIKARIにて行われる。
ハイドロブラスト「ケアと演技」3都市ツアー
開催日程・会場
2025年9月18日(木)・19日(金) ※公演終了
大阪府 西成永信防災会館
2025年9月26日(金)・27日(土)
長野県 犀の角
2025年10月2日(木)・3日(金)
神奈川県 神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI
スタッフ
作・演出:竹中香子
出演
太田信吾 / 竹中香子