ミュージカル『星の導く夜に』開幕　小林愛香「5姉妹の思いを素敵なストーリーと音楽に乗せてお届けします」

ミュージカル『星の導く夜に』が9月27日から、東京・シアターHで上演中だ。とある街はずれに佇む、少し古びた屋敷に住む5人姉妹を中心に繰り広げられるファンタジー作品。地球に近づく彗星をめぐる、姉妹たちの“秘密”とリアルな葛藤・悩みが描かれる。

開幕前日に行われたゲネプロの様子を、取材に応じた出演者の小林愛香、小越春花（花宮初奈とのWキャスト）、山根綺、絵森彩（浅井七海とのWキャスト）、指出毬亜、吉武千颯（堀内まり菜とのWキャスト）、園岡新太郎のコメントを交えながら紹介する。

物語の幕が開き、まず語られるのは、太古に繰り広げられたであろう、魔法使いたちが邪悪なパワーを封印しようとする戦いの物語。ダークで幻想的な世界観が、客席を『星の導く夜に』の世界に誘ってくれる。一転し、本作の主役である5人姉妹の日常に焦点が移ると、ここからは明るく躍動的なキャスト陣の演技と歌唱が、観客を魅了する。

宇宙物理学を研究する長女のミラ（小林）、救急医療に携わる医師のカリナ（小越）、画家を目指しながら漫画家アシスタントを務めるハナ（山根）、動物たちの世話に心を砕くカスミ（絵森）、周りが就職活動をする中、のほほんと推し活に勤しむ学生マユ（指出）。それぞれの個性を際立たせるポップな楽曲群は、小島良太によるもの。キャラクターを彩り、観客を物語に“導く”音楽にも注目したい。

5人の個性は、それぞれが抱える葛藤・悩みが浮かび上がることで、より深掘りされ、人物造形と物語の両面に奥行きが生まれていく。地球を破壊してしまうかもしれない彗星の到来によって、劇中には「自分ならどうする？」と誰もが自分と重ね合わせる瞬間も。ファンタジックな構成が、リアルな現実として観客のハートをつかんでいく。

「5姉妹が登場しますが、それぞれ違うお仕事をしていたり、学生だったりするので、観に来てくださる方も誰かに共感できるところがあると思います。彼女たちの思いを素敵なストーリーと音楽に乗せてお届けしますので、そこがこの作品の見どころです」（小林）

そう語る小林が演じるミラは、新しい彗星を発見したことで、大きな悩みを抱えるという難しい役どころ。研究にまっすぐに向き合い、教授を慕う素直さと芯の強さをステージ上で体現する。

愛らしさの中にも、医師としてカリナの強さを表現する小越、芸術への情熱を燃やすハナを演じる山根、動物を愛するカスミの慈悲深さをまっすぐ示す絵森、そして我が道を進むマユのパワフルさを全身で表現する指出。キャスト陣の個性豊かな表現力が、5姉妹に溢れる可能性を吹き込んでいくのも、『星の導く夜に』の大きな魅力だ。

また、吉武が好演する猫のサントにも注目。1幕のラストで、人間の姿に変身してからは、伸びやかな歌声と笑顔で5姉妹を導いていき、第2幕での活躍にも期待が寄せられる。5姉妹の育ての親であるリアンを演じるのは、俳優歴50年を数える大ベテランの園岡。役柄同様、躍動する5姉妹＆1匹の猫を温かく見守っている。

実は、小林をはじめ、キャスト陣の多くは本作が初のミュージカル出演。園岡は「僕は1974年に劇団四季に入って、それから52年くらいこの仕事をしていますが、今、この取材で初めてミュージカル初挑戦のキャストがこんなにもいることを知りました。そんな風には、とても思えなかった」と驚いた様子。「みんないい芝居ができるし、いい声で歌ってくれる。同じステージの上に立てて本当に幸せです。私も精進してまだまだステージに立てるよう頑張ります」と抱負を語った。

地球に迫りくる彗星の正体とは？　そして5姉妹に秘められた秘密とは？　夜空に浮かぶ“星”のように、出演陣のキュートな魅力が光り輝く『星の導く夜に』をぜひ見届けてほしい。

「ミュージカルを観るのが初めてという方も、気負わずに観ることができる作品になっていると思いますので、迷われているという方がいらっしゃったら、ぜひ観に来てください。心が温かくなるようなミュージカルですので、多くの方に観ていただきたいですし、何度でも観に来ていただけると嬉しいなと思っております」（小林）

取材・文／内田 涼
撮影／鈴木健太

＜出演者コメント＞

●小林愛香 コメント
ミュージカルに出演させていただくのは初めてなので、ゲネプロを前にすごく緊張していますが、素敵なカンパニーの皆さんとこの物語を届けられることがすごく嬉しくて、ワクワクしています。

●小越春花 コメント
私もミュージカル初挑戦で、いよいよ始まるんだなという実感が湧いてきました。稽古場で「自分をプリンセスだと思い込んで舞台に立とう」とみんなで話していたので、今日は「私はプリンセス」とおまじないのように心で唱えて頑張りたいと思います。

●山根綺 コメント
私もミュージカルは初めてです。稽古では勉強になることがすごく多く、みんなとても上手な方々ばかりなので、たくさんのことを学べましたし、他の方のお芝居や歌を観て「こういうふうにやってみようかな」と自分なりに取り入れることができました。この物語を皆さんにきちんと届けられるように最後まで走り抜けたいと思います。頑張ります。

●絵森彩 コメント
私もミュージカル初挑戦なので、はじめは手探り状態で、分からないことばかりの稽古でした。でも、皆さんのいいところをたくさん見させていただいて、いろいろと吸収できました。まずは1公演1公演を大事に歩みたいと思います。私は30日から参加になるので、皆さんが初日から積み上げてきたところに、きちんと馴染んでカスミちゃんをしっかり演じられるように頑張りたいと思っています。

●指出毬亜 コメント
私もミュージカル初挑戦です。何も分からないまま稽古が始まりましたが、たくさんの方に支えられながら、いろいろなことを学びながら今日まで頑張ってきました。本日のゲネプロ、そして明日からの本番も精一杯頑張りたいなと思っております。

●吉武千颯 コメント
私もミュージカルは初めてです。メンバー全員に稽古期間からたくさん支えてもらいながら過ごしてきて、こうして初日を迎えられることがすごくありがたいです。劇場に入ってから、客席からステージを見させてもらいましたが、改めて今、たくさんの方に届けたいと思っています。ぜひ多くの方にご来場いただけたら嬉しいなと思います。精一杯頑張ります。

●園岡新太郎 コメント
私は50年くらいミュージカルをやっていますが、今回、稽古期間も詰まっていたので、本番は楽しみながら演じたいと思っております。テンション高くみんなで楽しみましょう。

＜公演概要＞
『ミュージカル『星の導く夜に』』

日程：2025年9月27日(土)〜 10月5日(日)
会場：シアターH

［脚本・演出・振付］ 岸本功喜
［作曲・編曲・音楽監督・歌唱指導］ 小島良太
［出演］ 小林愛香、花宮初奈・小越春花（Wキャスト）、山根 綺、絵森 彩・浅井七海（Wキャスト）、指出毬亜、吉武千颯・堀内まり菜（Wキャスト）、園岡新太郎 ほか

チケット情報：
https://w.pia.jp/t/hoshimichi2025/