【『忠臣蔵』製作発表会見】 大石内蔵助役の上川隆也「前のめりにならず、むしろ楽しみながら」 共演する藤原紀香には「信頼しかない」
ステージ
ニュース

(左から)藤原紀香、上川隆也、高橋克典
続きを読むフォトギャラリー(6件)
すべて見る12月に東京・明治座で開幕し、全国6都市で上演される『忠臣蔵』の製作発表会見が9月29日、都内で行われ、主人公・大石内蔵助役の上川隆也、大石の妻・りく役を勤める藤原紀香、吉良上野介を演じる高橋克典、演出の堤幸彦(『魔界転生』『巌流島』『西遊記』)が出席。新たな魅力を放つ令和版『忠臣蔵』をアピールした。
元禄時代(1702年)に実際に起きた仇討ちを題材にした『忠臣蔵』は、歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作だ。師走の風物詩にもなっており、今回の上演も実際の討入りの時期に合わせて上演。12月に東京、1月に名古屋、高知、富山、大阪、新潟で上演される。
“座長”の上川は「大石内蔵助は、誰でも演じられる役ではありません。ご指名はとても光栄」と背筋を伸ばし、「作品の歴史を踏まえつつ、お客様に楽しんでいただけるお芝居を作れたら」と意気込み。「あまり前のめりにならず、むしろ楽しみながら、お芝居を作っていきたいということが、第一に思っていること」だと決意を語った。

物語は、松の廊下の刃傷、赤穂城明け渡し、浪士たちの暗躍、大石内蔵助の放蕩、吉良方との攻防、そして最大の山場となる吉良邸への討入りへと続き、最後には四十七人の刺客がそこへ夜襲を仕掛け、守りを固める家臣たちと斬り合いへと展開する。
「同時多発的に似たアイデアが生まれる“機運”がある」と語る上川は、現在、上演されている劇団☆新感線の最新舞台『爆烈忠臣蔵~桜吹雪 THUNDERSTRUCK』を例に挙げ、「新感線さんのインタビューを拝見すると「忠臣蔵の物語を知っているとより楽しめる」そうなので、ぜひ僕らの『忠臣蔵』を観ていただき、両方楽しんでいただければ」と、演劇界を巻き込む“忠臣蔵旋風”に心躍らせた。
作中では、大石内蔵助の深謀遠慮、妻・りくの夫を慕う気持ち、立ちはだかる吉良上野介の存在感、三者の思いや考えが交錯し、平穏な日々からお家取り潰し、神経戦や攻防・調略、苦難を乗り越えて、最後の仇討ちで本懐を遂げるまで、様々なドラマと人間模様を描く。
りくを演じる藤原は「男性の義と忠を描く『忠臣蔵』の物語が、私は大好き。その中で女性キャラクターとして、彼らを見守りたい」と目を細め、「武士の妻としての本気の覚悟、本質が凝縮されているようなお役」だと、りく像を説明。「色濃い人間ドラマが、歴史の中で翻弄された人々の心情を、丁寧に描き出してくださるので、楽しみにしています」と期待していた。


上川と藤原の共演は、今回が3度目となり、上川は「信頼しかないんです。とんでもない女優さんでいらっしゃる。今回も舞台稽古の期間を経て、舞台の上で何を見せていただけるのか楽しみでしかないです」と期待を寄せた。一方の藤原も「現場では、とにかく実直さ、誠実さ、たくさんの情熱を持ち合わせた座長でいらっしゃいますから、私こそ信頼しかありません」と全幅の信頼を示し、「上川さんが舞台に立つと、とにかく圧倒的な存在感を放ちます」と瞳を輝かせた。
高橋はNHKのBS時代劇「大岡越前」で大岡忠相を演じており、「大岡越前守忠相たる私に、なぜ吉良上野介の話が来たのか。何日も考えましたが、やらせていただくことに決めました」と告白。梨園の妻でもある藤原に視線を送り「歌舞伎の中で、おもしろおかしく、ずいぶんとわし(吉良上野介)のことを曲げて書いてくれたもんじゃから」と役になり切り、笑いを誘った。
そして、「今回の『忠臣蔵』はどこかアットホームさもありながら、人の心を大切に描く舞台になりそうなので、僕は皆さんを、吉良という役を通していじめたいと思います(笑)。現代社会を映して、お楽しみいただける舞台になれば」と闘志を燃やしていた。
演出を担う堤は、“ストレート”をテーマに掲げ「デジタルエンタテインメントと、人間中心の芝居という、二面性を持った舞台を作りたい」と説明。「なぜ彼らは討ち入りをし、死に向かっていったのか? 日本人が何を守り、人間や社会との関係の中でどう生きているかを描き出し、現代と『忠臣蔵』の接点となる舞台にできたらと思っています」と語った。

製作発表会見には、共演する立石俊樹(浅野内匠頭・小林平八郎役)、藤岡真威人(堀部安兵衛役)、岐洲匠(片岡源五右衛門役)、石川凌雅(大高源吾役)、近藤頌利(清水一学役)、唐木俊輔(矢頭右衛門七役)、財木琢磨(寺坂吉右衛門役)、松田賢二(原惣右衛門役)、徳重聡(色部又四郎役)、珠城りょう(阿久里(瑤泉院)・おかる役)が出席した。
東京公演のほか、愛知・御園座、高知・高知県立県民文化ホール、富山・富山県民会館、大阪・梅田芸術劇場メインホール、新潟・長岡市立劇場で上演される。

取材・文・撮影/内田 涼
<公演情報>
『忠臣蔵』
[演出] 堤 幸彦
[脚本] 鈴木哲也
[出演]
上川隆也
藤原紀香
立石俊樹 藤岡真威人 崎山つばさ 岐洲 匠 石川凌雅 近藤頌利 藤林泰也 唐木俊輔 財木琢磨 松田賢二 徳重 聡 珠城りょう
高橋克典
ほか
〈東京公演〉
日程:2025年12月12日(金)〜28日(日)
会場:明治座
〈名古屋公演〉
日程:2026年1月3日(土)〜6日(火)
会場:御園座
〈高知公演〉
日程:2026年1月10日(土)
会場:高知県立県民文化ホール
〈富山公演〉
日程:2026年1月17日(土)
会場:富山県民会館
〈大阪公演〉
日程:2026年1月24日(土)〜27日(火)
会場:梅田芸術劇場メインホール
〈新潟(長岡)公演〉
日程:2026年1月31日(土)
会場:長岡市立劇場
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/chushingura/
公式サイト:
https://chushingura-ntv.jp/
フォトギャラリー(6件)
すべて見る