南極×ニッポン放送が贈る期待の新作は壮大なSFラジオドラマに!
ステージ
インタビュー
(左から)こんにち博士、ユガミノーマル (撮影/藤田亜弓)
続きを読むフォトギャラリー(5件)
すべて見る気鋭の劇団「南極」がニッポン放送と初のコラボレーション。実際のラジオスタジオであるイマジン・スタジオを会場に、伝説のSF巨編ラジオドラマ『SYZYGY』を巡るパニック劇を展開する。そこで作・演出・出演の3役を兼ねる南極のこんにち博士と、劇団員(劇団キャプテン)のユガミノーマルに、劇団について、そして気になる新作について語ってもらった。
――「南極」は結成5年の若い劇団です。まず劇団員のユガミノーマルさんから、こんにち博士が作る劇世界の魅力を教えてもらえますか?
ユガミノーマル(以下ユガミ) 南極はいつもSFをモチーフにしているのですが、そんな壮大な世界を舞台にしつつ、そこで描かれているのは僕らが普段感じていることや個人的な悩み、葛藤だったりするんですよね。だからエンタメが好きな人も楽しめますし、会話劇が好きな人も楽しめる。そういうところが魅力だと思います。
――作・演出として、南極の舞台作りで意識していることは?
こんにち博士(以下博士) 演劇で創作することの一番の価値は、やっぱり人間が生で躍動するってことだと思うんです。しかもSFというとんだ世界観を表現するために、人間がちょっと無理をする。その状態がすごく面白いし、それは常に僕がやりたいと思っていることです。
ユガミ 毎公演、滝のような汗をかきますからね。
博士 特にユガミとかは、余裕ぶってお芝居をしていても面白さが伝わりきらない気がして(笑)。いかにユガミの余裕を無くせるか。その上で本人は頑張って成立させようとしている、その拮抗を見せたいんだと思います。

――抽象的な美術や表現ではなく、具象があった上で観客のイメージを膨らませていくのも南極の特徴ですね。
博士 そうですね。やっぱりいかにミニマムに、削いで見せていくかっていうのが今の演劇の主流ですし、カッコいいやり方だと思います。ただ僕らがそれをやってもしゃあないというか、極力いらんことをする、みたいな(笑)。効率的じゃないことをするっていうのを突き詰めていきたいですし、そこが今の南極の一番の強みでもあると思います。
――そんな南極とニッポン放送の初タッグが実現しました。その経緯とは?
ユガミ プロデューサーの方が見出してくださいました!
博士 そうなんです。僕らの公演を観に来てくださった流れで、「一緒にやりませんか?」と誘っていただいて。
ユガミ もうその瞬間、嬉しい! やってみたい! と思いました。

博士 あと南極のメンバーにラジオ好きが多くて。しかもせっかく一緒にやらせてもらえるなら、南極だけだったらやらないようなことにも挑戦できるのではないか。そう思ったのが大きいです。
――ラジオ局を舞台に選んだのも、そういった理由からですか?
博士 はい。南極とニッポン放送さんのタッグ一発目として、一緒にやることの意味合い、パンチ力みたいなものを強く押し出したいと思いました。そのためにももう真っすぐ、ラジオの物語にしようと。『SYZYGY』というSF巨編のラジオドラマ台本を巡って、どんどん現実がしっちゃかめっちゃかになっていく。
演劇の強みって、お客さまのイマジネーションによってどんなものでも描けるってことだと思うんですけど、ラジオドラマの世界になることで、さらにもう一段階あり得ない世界を描けるのではないかと。しかもそこに関してはあえて見せず、普段聞いているラジオのように、声や音だけで表現できたら、今までの自分たちとはまた違うものを見せられるんじゃないかと考えています。
――ユガミさんは本人役での出演ですね。
ユガミ そうなんです。わりと僕、どうにもならないシチュエーションに追い込まれる役が多くて……(笑)。今回もそんな感じになるんじゃないかなと。
博士 ユガミはやっぱり困っている状態が一番面白いですからね。しかもキャラクターとして描くことで、現実ではありえないようなシチュエーションに置くことができる。だから稽古をしながら、ついどんどん負荷を強めてしまうんです(笑)。

――さらに島田秀平さんも本人役で出演(29日のみ、他は声のみ)されます。
博士 ダメ元でオファーさせていただいたので本当に嬉しいです! ニッポン放送で実際に番組をやられている方が出演されるというのは、すごく演劇的というか、マジカルな要素だなと。
ユガミ そういった意味でも演劇とラジオの掛け合わせ史上、最高を叩き出すつもりで頑張りたいです!
博士 で、「面白かったー!」と言って帰ってもらえたら最高ですね。

取材・文/野上瑠美子
撮影/藤田亜弓
<公演情報>
ニッポン放送×南極 企画公演
舞台『SYZYGY』
日程:2025年11月27日(木)~30日(日)
会場:ニッポン放送イマジン・スタジオ
[作・演出]こんにち博士
[出演]端栞里/ユガミノーマル/瀬安勇志/和久井千尋/古田絵夢/こんにち博士
ポクシン・トガワ/九條えり花/揺楽瑠香/井上耕輔 [以上南極]
島田秀平(11/29公演のみ。11/29以外の公演は音声のみの出演)
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/syzygy/
フォトギャラリー(5件)
すべて見る
