和田雅成×髙橋大翔が振り返る“愛が生まれた瞬間”「きっと片岡は言い訳がほしかったのかな」
映画
インタビュー

(撮影/梁瀬玉実)
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すべて見るBLの中でも人気ジャンルの一つでありながら、これまで国内ではドラマ化されてこなかった「ヤクザ×BL」。その未開のフィールドを切り開いたのが、FODにて独占配信中の『あなたを殺す旅』だ。
組員からも愛されるヤクザの若頭・片岡と、そんな片岡を殺すという密命を背負いながら旅に同行する組員の小田島。二人のスリリングで繊細な旅に多くのファンが夢中となっている。
そこで、ここまでの名シーンを片岡役の和田雅成と小田島役の髙橋大翔がプレイバック。役と向き合った日々を語ってくれた。
※4話までのネタばれを含みます。
片岡はきっと死に場所を探していた

――ここまでの見どころを振り返っていきたいのですが、まずはなんと言っても2話のベッドシーンはインパクトがありました。
髙橋 原作でも攻めたシーンが多いことはわかっていたので、気合いを入れて挑みましたけど、なかなか自分では見返せないですね、恥ずかしくて(笑)。
和田 現場には原作の浅井先生もいらっしゃったんです。それがまたむずいなと(笑)。
――原作者さんがいらっしゃるのは緊張しますね(笑)。
和田 ドラマの中で使われてる尺はそんなに長くはないと思うんですけど、実際の撮影では10〜15分ぐらい撮ってたのかな。
髙橋 どっちかと言うと、もうスポーツみたいな感じでしたよね。
和田 このシーンはマジで自由演技だったんですよ。上條監督からこうしてくださいという指示もなく、自由でいいと。それがいちばん難しかった!
髙橋 どう見せるかを自分たちで考えて。本当にもうぶつかり合いって感じでした。
和田 どうやったら綺麗に見えるだろうということを意識しつつ、でもこの作品の場合、綺麗すぎるのもまた違うし。必要なのは、“雄み”。そんなことを考えながら大翔と一緒に無言でセッションしていました(笑)。
髙橋 戦ってましたよね(笑)。あの段階では小田島は片岡を心から愛しているわけではないから。抵抗もするし、片岡も多少強引に、みたいな。

――最初に小田島は唇を庇いますよね。そこがすごくいいなと思ったんですけど、あれも自由演技から生まれたものですか。
髙橋 避けて、とは言われていました。ただ、手で隠すとまでは言われてなかったかなあ。小田島としては、ここで片岡を受け入れられないのはわかっていたので、たぶん自然にああいう形になっていたんだと思います。
――殺したいほど憎んでいる相手に抱かれるのってどういう心境なんだろうと考えましたか。
髙橋 小田島はどれくらい片岡を殺したいのか、そのパーセンテージは最初からすごく難しかったです。120%殺したい相手とは、こんなに旅が続かない。1話の釣り場の時点でもう撃ってるんですよ。でも、小田島はそこでは撃たなかった。殺したい気持ちがないと作品は進まないし、殺したい気持ちだけだと物語は終わる。そのバランスは、ずっと監督と相談しながらやっていました。
和田 小田島が自分に殺意を抱いていることを知りながら、あえて放し飼いにする。その片岡の心理は理解しづらいところはありました。ただ、僕が思うに、ヤクザというのは基本そういうものだと思うんですけど、片岡はきっと死に場所を探していたんだろうなと。最終話で、1話の釣り場のシーンの対比になっている場面が出てきます。そこでようやく片岡の本当の気持ちがわかるんじゃないかなと思っていて。だから、ぜひ最終話まで二人の行方を見届けてほしいですね。
片岡の手の温かさに涙が止まらなくなった

――最終話のあの場面はすごかったですね。どんなシーンかは見てのお楽しみですが、演じたお二人の感想だけでも先にお伝えできればと思います。
髙橋 僕はあのシーンに向けて、ずっと自分の中で気持ちをつくってきたというか。あそこで爆発させるために、あえてそこまでのシーンでは抑えたり、心の中で朝日への気持ちを高めていたので、やり終えたあとはすっきりした感じがありました。忘れられないのが、予定してなかったところで和田さんが僕の頬に手を添えてきたところがあって。あれは和田さんのアドリブだったのかわからないですけど。
和田 手を添えて、指で涙を拭うところね。
髙橋 それです、それ。
和田 一応ト書きに書いてたんですよ。ただ、台本で指定していたのとは違うタイミングで僕がやって。監督が「そこがいい」と言ってくだったので、ああいう形になりました。
髙橋 あの手の温かさにふれた瞬間、「片岡だ」と思って涙が止まらなくなった。僕がこのシーンのためにつくってきたものを、和田さんが片岡として温かく受け止めてくれた気がしました。

和田 なぜかあそこで小田島のことをグッとしたくなったんですよね。そんな気持ちになるなんて、僕自身も予想できなかったというか。やっぱりあのシーンは大翔ありきだから。大翔がぶつけてくるものを、僕がすべて受け止めて初めて成り立つシーン。あそこがこの作品の軸だと僕も最初から思っていたので、大切にしたいなと思いながら臨みました。
髙橋 あの手の温かさは忘れられないです。
和田 最終話のあのシーンで初めて片岡は小田島のことを丸ごと全部受け入れたんですよ。僕としても、片岡を受け入れたことで生まれてくる感情に、どれだけ僕自身が一つになれるかというところに懸けていた。その結果が、あそこで小田島の涙を拭うというお芝居につながったのかなと思います。
あの「結婚するか」に片岡の本音があった

――こんなことを聞くのも無粋ではあるのですが、二人の間で愛が生まれた瞬間はいつだったんでしょうね。
和田 どうなんやろうね。ある?
髙橋 片岡と違って、小田島は明確なシーンが1つあるんです。それが4話以降にあるので、ここから先の展開を楽しみに待っていてください(笑)。
和田 片岡の転換点になったのは、3話のフェリーかなあ。小田島が男とも女ともそういうことをしたことがないって聞いて。そこで片岡は責任をとらないとなと思ってプロポーズする。でも、きっと片岡は言い訳がほしかったのかなと。
――言い訳?
和田 僕は片岡のことを自分から人を愛することをすごく怖がっている人だと思っていたんです。ずっと覚悟を持てなかった片岡が、“初めての男”という大義名分をもらったことで覚悟を決められた。あそこから片岡は小田島のことを心から愛そうと決めて、小田島のために行動していく。きっかけとしてはあのフェリーのやりとりが大きいですけど、全話通して徐々に愛を知っていったという感覚です。
髙橋 あの「結婚するか」はなかなかいきなりでしたよね(笑)。
和田 あそこは原作を読んだときから、すごく印象的に残るというか。「言ったー!」って思った(笑)。
髙橋 そう、「言ったー!」って(笑)。僕もそのシーンは「来るぞ、来るぞ」とだいぶ構えていました(笑)。

――今までのお話を聞くと、死に場所を探していた片岡が帰る場所をつくるって、すごく大きいことだったんだなという気がしました。
和田 そうですよ。勇気のいることでもありますからね。その勇気を持てなかったから、片岡は今まで人を愛さずに生きてきたし、愛せなかった。言い方は茶化してますけど、あの「結婚するか」に片岡の本音があったと思います。
――小田島はどうですか。片岡に対して、嫌でも惹かれてしまうと感じる瞬間はありましたか。
髙橋 結構最初なんですけど、まだ朝日が生きている頃に、片岡から朝日がお金をもらって、「釣りで寿司でも食いなよ」と言われるシーンがあるじゃないですか。わりとさらっと終わるシーンではありますけど、あそこでときめいた感はちゃんと出したいなと思っていました。
和田 あそこが初対面やもんな。しかも、クランクインもあそこだったんですよ。
髙橋 そうなんです。だから逆にやりやすかったというか。あそこから二人の物語は始まっている。あの時点から小田島の中にキュンとするものはあったんだと思います。
和田さんは兄貴肌で、口うるさい大阪の人(笑)

――片岡は人望も厚くて、男が惚れる男という感じがしました。そんなふうに、髙橋さんから見て、和田さんに同じ男として惚れてしまうやろと感じた瞬間はありましたか。
髙橋 撮影期間中ということもあって、カメラが回っていないところでもどこか片岡に寄せてるのかなと思っていたんですよ。でも撮影が終わってわかりましたけど、普段から和田さんは片岡みたいな人。もとから兄貴肌なんです。あと、口うるさい大阪の人(笑)。
和田 うるせえよ(笑)。
髙橋 なので、ずっと頼りっぱなしだったというか。現場の雰囲づくりは全部和田さんがやってくれた。その頼りになるところはやっぱりカッコいいですよね。
――片岡は小田島のことを「おもしれー男だな」という目で見ていますが、和田さんから見て髙橋さんのことを「おもしれー男だな」と思った瞬間はありますか。
和田 物怖じしないところですね。僕と9歳離れてるんですけど、年齢関係なく自分の意見をブレずに言う。その変に迎合しないところが面白いなって。監督と話をするときも、監督のおっしゃっていることに対して、ちゃんと自分の考えをロジック立てて説明していて。僕が大翔くらいの年齢のときはもっと迎合してましたからね(笑)。ブレずに考えを貫けるところが見てて面白かったです。
髙橋 コイツ、わがままだなと(笑)。
和田 いやいや違う!(笑) 大事なことよ、役者にとって。
髙橋 和田さんはこう言ってくれてますけど、僕が自分の考えをぶつけられたのは、この現場が言いやすい雰囲気だったからだと思います。僕が何を言っても否定したり流したりせず、ちゃんと丁寧に説明してくれた。受け入れてもらえる安心感があったし、みんなで一つの作品をつくっているんだと感じられるこの現場の一体感が僕は好きでした。
二人とも平熱は36度4分くらいです(笑)

――では最後に作品にちなんで、ミニ質問をさせてください。おにぎりの具は何がいいですか。
和田 (同時に)シーチキンマヨネーズ!
髙橋 (同時に)シャケ!
――体温はどちらが高いですか。
一同 えー!!
和田 平熱何度?
髙橋 36度4分です。
和田 あ、じゃあ同じぐらいや。
――じゃあ3話でお互いの体温を確かめ合いますけど。
和田 そうですね。シーンとしては「冷てえな」って言ってますけど、だいたい同じでした(笑)。
髙橋 確かに。差はあんまり感じなかったですね(笑)。

――では、お二人が最近体験した“初めて”を教えてください。
和田 僕はお仕事の話になっちゃうんですけど、ついこの間、ノンバーバル演劇に初挑戦しました。とんでもない経験をさせてもらいましたね。
髙橋 この作品の番宣で初バラエティに出させてもらいました。『EXITV』さんだったんですけど、緊張せず、ゆるゆる楽しませてもらいました。
――じゃあ最後にもう一つ。作品のタイトルは『あなたを殺す旅』ですが、「あなたと◯◯する旅」というテーマで二人で旅するなら、何をする旅がしたいですか。
和田 「あなたを知る旅」ですね。沖縄あたりで一緒にアクティビティをしたり、ゆったり過ごしたら、より大翔のパーソナルな部分が知れるのかなと。
髙橋 僕のパーソナルな部分なんて旅とかしなくても、1回飲みに行けば全部わかりますよ(笑)。
和田 そうね。あんまりゆっくりご飯とか行けてないから行きたいね。
――髙橋さんを知るための「アナザースカイ」的な場所を自己申告するとどこですか。
髙橋 アナザースカイかあ。あ、河川敷ですね。
和田 へえ。
髙橋 実家の近くに河川敷があったというのもあるんですけど、河川敷に行くとほっこりするんですよ。ちょっと休みたいときとか、今でも河川敷にブルーシート敷いてごろっとしています。
和田 大丈夫? それ、ほっこりしすぎて何も喋らないから、俺、結局、大翔のこと何も知れないんじゃない?
髙橋 確かに(笑)。
――髙橋さんは何をする旅がしたいですか。
髙橋 僕は「あなたを壊す旅」ですね。
和田 こわっ!
髙橋 もっと素の和田さんを見たいなと。
和田 いや、これがもう素よ?
髙橋 まだ「和田雅成」って感じがするので、もっとぶち壊したいです。


撮影/梁瀬玉実、取材・文/横川良明
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<作品情報>
FODオリジナルドラマ
「あなたを殺す旅」
原作:浅井西
製作:製作委員会(製作幹事:カルチュア・エンタテインメント、フジテレビ)
監督:上條大輔(ドラマ「がんばれ!TEAM NACS」「ノンレムの窓」「八王子ゾンビーズ」)
脚本:高橋ナツコ(アニメ「妖怪ウォッチ」「ツキウタ。」、映画「大奥」等多数)
CAST:
片岡錦司・・・和田雅成
小田島漣・・・髙橋大翔
【STORY】
組員の小田島は、ヘマをしたヤクザの若頭・片岡と騒動のほとぼりが冷めるまで行方をくらます旅へ出る。
だがこの旅で、小田島は、片岡を殺すという命令を組長の息子の桐井から受けていた。
今まで片岡という人物にどこか惹かれながらも相容れない感情を持っていた小田島だったが、旅を通して片岡の人としての懐の深さと温かさを感じ始める。
しかし、小田島がヤクザを目指した過去に片岡の影が浮き彫りとなり、この旅も終わりを告げようとする。
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