「どうしても演じたかった憧れの女性」-『PRETTY WOMAN The Musical』ヴィヴィアン役、星風まどか&田村芽実インタビュー
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インタビュー
左から)田村芽実、星風まどか (撮影/石阪大輔)
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1980年代のロサンゼルスを舞台に、魅力的なエリートビジネスマン・エドワード(リチャード・ギア)と、無邪気なコールガール、ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)が織りなすめくるめく恋の物語――。コメディタッチのスリリングな展開と幸せいっぱいのエンディングで大ヒットした映画『プリティ・ウーマン』(1990年)はご存知の方も多いだろう。
その映画を原作に、『キンキーブーツ』などを手がけたジェリー・ミッチェル演出・振付のもと初演された『PRETTY WOMAN The Musical』が、2026年1月に日本版初演を迎える。ヒロインのヴィヴィアン役に挑む星風まどかと田村芽実(Wキャスト)に作品へ懸ける思いを聞いた。
ヴィヴィアン役は憧れ、どうしても演じたかった!
――出演が決まったときのお気持ちは?
星風 2024年に宝塚歌劇団を卒業して、初めてのオーディションだったんです。宝塚の中でもオーディションはありますし、卒業後に出演させていただいた作品でも、皆さんオーディションを勝ち抜いて、役をつかみ取っていらっしゃる姿を拝見してきたので、とにかく緊張したことを覚えています。
世界中で知られている作品ですし、しかも今まで私が演じたことのないようなチャレンジングなお役。オーディションは複数回に渡りましたが、その度にドキドキして……。でも回を重ねるごとに、「絶対この役を掴み取りたい」という思いが強くなっていきました。ですから、決まったときは嬉しさいっぱいでしたし、同時に頑張ろうと思いました。
田村 すごく嬉しかったです! 私、実はこの作品のオーディションに懸けていたんです。「落ちたらこの仕事を辞めよう」とまで思っていました。ですから、役をいただけると決まったときは、これまでのオーディションでも一番嬉しかったことを覚えています。
実は、俳優としてお仕事を続けさせていただきながら、今後のことを思い悩んでいた時期にオーディションのお話をいただいたんです。ヴィヴィアンは、常に「ここ以外のどこかに行きたい」と思っている女性。運命というか、今の自分にしか演じられないものがあるのではないかと考えて、「この役をどうしても演じたい!」と強く感じたんです。

――それぞれお互いの印象や、Wキャストに決まったときのお気持ちを教えてください。
田村 年齢的にも同世代ですし、星風さんと同じ役を演じられることはすごく楽しみです。Wキャストは、それぞれの役に対する解釈があって、いい意味でそれぞれが独自の表現で役を作り上げていくところが醍醐味だと思いますし、私はそういった部分にも魅力を感じています。
星風 (田村さんが出演していた)ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』を拝見したんですが、田村さんもう可愛すぎて! ビジュアル撮影のときも「キュート」という言葉がぴったりな女性と感じました。私は人見知りなのですが、お稽古を重ねていく過程で、同じ役として深め合えるのではと思って今から楽しみです。よろしくお願いします!
田村 こちらこそよろしくお願いします!
思い描くヒロイン・ヴィヴィアン像
――現時点でのヴィヴィアンに対する印象や「こんなヴィヴィアンを演じたい」という構想をぜひ教えてください。
田村 私は映画でもミュージカル版でも、人の心の扉をバン! と開けられる魅力のある女性だと思っていました。それは決してヴィヴィアンが意図した行動ではなく、もともと持っているものだと思いますが、他人の瞳の奥に入り込む勇気や度胸がある女性だと感じました。私も意外と怖いもの知らずなところがありますので、そういうところは似ているのかな。
星風 私自身、自分に負けたくないという強さはあって、そこが自分の長所のひとつだと思っています。ヴィヴィアンにも、女性として自分の価値を自分で決める強さがありますよね。また、私自身、格好いい女性に憧れています。ヴィヴィアンのように自分で掴み取っていく姿には憧れつつ、自分にもそういうエッセンスが少しでもあるなら、そこをもっと開花させて演じたいと思っています。

――そんなヴィヴィアンの魅力にエドワード(日本版では城田優が演じる)も魅了されていきます。ヴィヴィアンとエドワードの出会いや恋模様についてはどう思われますか?
星風 シンデレラストーリーだと皆さんが思われる作品だと思いますし、実際にそのとおりの部分もありますが、色々読み解いていくと、エドワードがヴィヴィアンに出会って変わっていく様も描かれています。
子どもの頃も今も、シンデレラストーリーに憧れる気持ちはもちろんありますが、自分自身が強く、たくましく、信念を持って真摯に生きていくことで、周囲の人にもポジティブな影響を与えていくことに私は揺り動かされました。この感覚も演じるうえでは大切にしていきたいと思っています。
田村 一目惚れのように見えますけど、ミュージカルではちゃんとエドワードがヴィヴィアンに恋する瞬間が描かれていると感じています。ベンチの上でヴィヴィアンがエドワードに話しかけるシーンでは、その屈託のなさがとても印象的。きっとエドワードの周りには取り繕った美はたくさんあるけれど、ヴィヴィアンは自然体。それぞれが自分らしさを大切にしていれば、人の心を動かすことができると感じました。

――エドワード役、城田優さんの印象は?
田村 先日、テレビの歌番組でご一緒させていただきましたが、とても気さくに接してくださって。本当に優しくて、面白い方です。
星風 私はビジュアル撮影のときしかご一緒していないんですが、(私が緊張で)カチコチで(笑)。その楽屋の隅っこで城田さんのお話を勝手に聞いていたんですけど、ワードチョイスも面白いし、気さくな方という記憶があります。ビジュアル撮影ではたいしてお話しできませんでしたが、身長が高くて、とても存在感のある城田さんが「なんでもやっていいよ」と言ってくださって。器の大きな方だと感じたことも覚えています。
田村 面白くて、優しい方ですが、その中に垣間見える繊細さみたいなのを私はすごく感じています。そういったところも素敵ですし、ヴィヴィアンが入り込む良い意味での隙がある感じがエドワードっぽいなと私は勝手に思っています。
――楽曲についてはいかがですか?
星風 オーディションで歌った曲が難しかったんです。それをお芝居の流れで歌うとなると、息の流れや感じも変わってくるから、どうなるのかドキドキしています。難しいけど、キャストの心情や状況、ハッピーさといったものがふわっと浮き出るような、立体的な楽曲ばかり。難しいからこそ、しっかりと歌い込んで、役として歌えるようになりたいなと思っています。
田村 私はずっとブロードウェイ版のサントラを聴いています。ハッピーなミュージカルだから、ハッピーな音楽ばかりではあるんですけど、浸れるような心地のいい音楽も多くて、すごく好きです。

――最後に期待に胸を膨らませているお客さまへのメッセージをお願いします!
田村 映画が公開されたとき私はまだ生まれていませんが、父や母からは「映画は青春の1ページ」だったという話を聞いたことがあります。懐かしさだけでなく、現代に通じる物語としてもアップデートされた、いいとこ取りのハッピーなミュージカルにぜひご期待ください!
星風 本当にハッピーミュージカルです! たくさん笑って、そのままハッピーな気分をお持ち帰りいただけたら、こんなに幸せなことはないです! お稽古はこれからですけど、精一杯頑張ります! 劇場でお待ちしております!

取材・文/五月女菜穂
撮影/石阪大輔
<公演情報>
『PRETTY WOMAN The Musical』
【東京公演】
日程:2026年1月22日(木)~2月8日(日)
会場:東急シアターオーブ
【大阪公演】
日程:2026年3月1日(日)~3月8日(日)
会場:オリックス劇場
脚本
ゲイリー・マーシャル & J.F.ロートン
作詞・作曲
ブライアン・アダムス & ジム・ヴァランス
演出・振付
ジェリー・ミッチェル
日本版上演台本・訳詞
城田 優
ミュージックスーパーバイザー・オーケストレーション
ウィル・ヴァン・ダイク
アソシエイト・ディレクター
D.B.ボンズ
アソシエイト・コレオグラファー
ラスティ・モワリー
出演
星風まどか/田村芽実(Wキャスト)
城田 優
エリアンナ/石田ニコル(Wキャスト)
spi/福井晶一(Wキャスト)
寺西拓人 他
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