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尾上右近と佐藤流司が初共演! 見どころ満載の『八雲立つ』

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東京・有楽町に建つ東京国際フォーラムが、京都の老舗・井筒と共催する「J-CULTURE FEST presents」シリーズ。豪華出演者が雅やかな本格装束をまとって贈る公演プログラムと、日本文化を体感できる企画展やワークショップが人気のイベントだ。

今回の公演プログラムは、2022年の年末から2023年の年始にかけて上演された詩楽劇『八雲立つ』が待望の再演。新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』やスケート歌舞伎「氷艶『破沙羅』」などヒット作を多く手掛ける戸部和久が脚本を、日本舞踊尾上流家元として新作歌舞伎『刀剣乱舞』や高橋大輔主演のアイスショー『LUXE』演出、さらに宝塚歌劇団での振付など様々なジャンルで活躍中の尾上菊之丞が構成・演出を担当する。

「一年の穢れを祓い、新しい一年を寿ぐ」をテーマに、日本の神々の物語を描く本作。スサノオを演じる尾上右近と、ニニギノミコトに扮する佐藤流司に話を聞いた。

初演時から続投となる右近は、「物語はもちろん衣裳や音楽、歌舞伎の技法などいろいろな要素を詰め込んで作り上げられた舞台だったので、1回で終わるのはもったいないなという気持ちはありました。3年前にはまさか再演させていただけるとは思っていなかったんですが、シリーズで初めての再演ということで、それほどこの作品が求められているんだと分かって嬉しかったですね」と語る。一方の佐藤は、本シリーズに初めての参加。

「日本の神々の物語ということで、やっぱり難しそうだなというのはまず思いました。それから“詩楽劇”というのも初めてですし、その世界観を作るための菊之丞さんの稽古の進め方も、これまで私が出演してきた作品とは違うんだろうなと。だからこそ、こういう作品に新しく挑戦させてもらえることがとてもありがたいなと感じています」と、やや緊張の面持ちで語った。

物語は太古の昔、イザナギとイザナミの国生みと神産みから始まる。黄泉へと去った母イザナミの穢れを濯いで生まれたスサノオ(右近)は、舞台上で衣裳をまとい、隈を取って、歌舞伎の「荒事」を通して“荒御魂(あらみたま)”を表現しながら天上へと踊り込む。一方、ニニギノミコト(佐藤)に袖にされたイワナガヒメ(紅ゆずる)は闇に落ちて大蛇となり、美しい女性を食らい尽くす。スサノオが大蛇の首を切り落としたとき、世に起きた変化とは……。右近が舞台上で実際に“拵え“(こしらえ/歌舞伎の衣裳やかつらを身に着けた扮装)を作り上げていく場面や、石見神楽(いわみかぐら/神話の舞台である島根県に伝わる伝統芸能)のスサノオと、右近が演じるスサノオとが対峙するクライマックスなど、本作でしか観られない見どころも満載。

「神様の話なのですが、具現化した表現で展開していく分、実在感を濃く感じられる舞台になっているんですよね。歌舞伎の要素も多いんですけど、もともと歌舞伎というのは日本人の本質にあるエネルギッシュな部分を伝える芸能でもある。だから本作ではその魅力もしっかりと伝えられるのではと思っています」という右近。続けて「スサノオってよく暴れん坊と言われますが、ナイーブな部分もあるんです。その多面性というか、善悪の尺度で計れないエネルギーの強さこそ神様のもつエネルギーだと思うので、今回もそこを表現していけたら」と意気込んだ。

尾上右近

冒頭では初演時と同じく、神職による修祓(お祓い)も執り行われる予定。佐藤は「私は普段あまり神様を意識しないほうなんですが、年末に舞台を観に来て、お祓いも出来るのっていいなと素直に思いました」と率直な気持ちを明かす。同時に、「台本を読むと神様たちが意外とコミカルに描かれていて面白かったですし、そこの緩急は外さないようにしたい。お客様には笑いながら心も温めてもらって、帰りには『なにかいい舞台を観られたな』と思ってもらえるようにしたいですね」と、初参加ならではの意気込みを教えてくれた。

菊之丞作品ならではの、音楽がもたらす力

ミュージカルや映像作品にも出演しつつ、歌舞伎俳優として近年は大役を務めることが多くなってきている右近と、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズの加州清光役など2.5次元ミュージカルのほか、明治座でも主演を務めるなど活躍の幅を広げている佐藤。共に30代前半で伸び盛りのふたりが初共演とあって、インタビュー中は互いについて質問するひと幕も。さらに菊之丞と長年仕事を共にしている右近が稽古場の様子を佐藤に伝えると、菊之丞作品の魅力のひとつである“劇伴の巧みさ”が話題に上った。

「確かに、舞台上で流れる音楽の力って大きいですよね」とうなずくのは、俳優業と並行して音楽活動も行っている佐藤だ。「僕はよく演出家に『BGMで芝居をするな』と言われるので気をつけているんですが、演じている場面でいい音楽がかかると自然にテンションが上がるのは事実(笑)。今回も和楽器の生演奏や石見神楽、さらにヴァイオリンの川井郁子さんの演奏もあるそうなので、どういう風に溶け合うのかなっていうのを楽しみにしています」と佐藤は話す。

佐藤流司

右近も「こういう新作の舞台では一層、菊之丞さんは音にシビアな方だなと感じますね。単に音を聴きながら踊る・芝居をするというよりも、稽古場で身体の中で音が鳴っている状態まで仕上げておいて、本番では演奏と併せてさらに爆発とか発散とかそういったバイブスまで絶対に欲しい方なので。再演とはいえまたその状態までもっていきたいと思っています」と笑顔で語ってくれた。

なお公演が行われる東京国際フォーラム ホールB5では、企画展「祈りの装い」(入場無料)と、ワークショップ「和の伝統に親しむ」(いけばな体験、つまみ細工で作るアクセサリー、平安・戦国時代衣裳体験ほか。有料)も同時開催。こちらも観劇のお供にぜひ。

取材・文/藤野さくら

<公演情報>
J-CULTURE FEST presents
詩楽劇『八雲立つ』

日程:2025年12月29日(月)〜31日(水)
会場:東京国際フォーラム ホールB7

[構成・演出] 尾上菊之丞
[脚本] 戸部和久
[出演] 尾上右近、紅ゆずる、佐藤流司、和田琢磨、梅田彩佳
川井郁子(ヴァイオリン)、石見神楽 万雷/尾上菊之丞
ほか

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/yakumotatu/

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