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KREVAが武部聡志プロデュースによるオーケストラコンサートに登場 HIP HOPと50人を超えるフルオーケストラがジャンルを越えて響き合う【オフィシャルインタビュー】

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日本を代表する音楽プロデューサー・武部聡志プロデュースのオーケストラコンサートシリーズ第3弾にKREVAが登場する。

『billboard classics「KREVA Premium Orchestra Concert」~produced by 武部聡志』は、12月18日(木)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール、  24日(水)東京文化会館大ホールで、HIP HOPとフルオーケストラがジャンルを越えて響き合う——と書いても、どんなコンサートになるのか、なかなか想像できない。

50人を超えるフルオーケストラに若きマエストロ・岩城直也がどんな魔法をかけるのか。そしてHIP HOPのビート、KREVAのラップがどう交差し、武部聡志はどんな画期的な音楽世界を作り出すのか——KREVAにインタビューし、このスペシャルなステージに懸ける思いとその“企み”を聞いた。
2024年4月独立後、ソロデビュー20周年を経て、さらに精力的に活動を続けるKREVAのアーティストとしての現在地も語ってもらった。

Interviw&Text:田中久勝 Photo:石阪大輔 
ヘアメイク:Ryo スタイリスト:藤本大輔 衣装:ETHOSENS、ADIEU、SHINGOKUZUNO

── 以前からフルオーケストラをバックにしたコンサートをやってみたいという思いはあったのでしょうか?

KREVA そこまで意識したことはないです。かなり前に、海外からフルオーケストラでライブをやってほしいというお誘いがありましたが、コロナや色々な事情でその話は実現には至りませんでした。だから心の奥では「いつかやる時がくるかもな」と思っていたのかもしれません。ようやくタイミングが巡ってきた感じです。

── KREVAさんの楽曲はストリングスが入ったものや、オーケストラとも親和性が高そうな曲もありますが、HIP HOPとオーケストラの組み合わせについてはどう考えていますか?

KREVA HIP HOPって“吸収する音楽”なんです。ロックでもポップスでも、何でも取り込める懐の深さがある。誰かの作った音や声、環境音、リズム、何でも素材にできる音楽なんです。オーケストラの生の響きもその延長線上にある。そういう意味で自分の曲の真ん中にあるのはやっぱり言葉なんです。オーケストラの音にラップが乗った時に、どう感情がぶつかるのか。それが今回一番楽しみなところ。日本では実際にジャンルを超えてコラボすることって、まだまだ少ないと思う。だから自分がその最初の一歩になれたら面白いと思うし、お客さんに「こんなに合うんだ!」って思ってもらいたいです。

── 今回、武部聡志さんがプロデュース、岩城直也さんが指揮とアレンジを手掛けます。三人での鼎談を読ませていただきましたが、おふたりとの関係性をどう感じていますか?

KREVA  武部さんとは、音でコミュニケーションが取れる人だと思っています。実はそんなに長いお付き合いではないけど、最初にご一緒したとき「君の曲にはJ-POPの血が流れてる」と言ってくださって。それがすごく印象的でした。俺自身、HIP HOPを軸にしつつも日本のポップスを聴いて育った世代なんです。そこにあるメロディやロマンティックな感じをどうHIP HOPに落とし込むか、それがずっと探ってきたテーマだったんです。武部さんはそれをちゃんと汲み取ってくれた。音の方向性が違っても、感覚的に信頼できる。言葉がなくても音で無言の交流ができるというか。だから今回の公演が決まった時、「めちゃくちゃ楽しみです」って素直に言えました。岩城さんは若いけど本当に才能がある音楽家。彼からすでに何曲かデモ音源が届きましたが、思っていた以上に感動してしまったんです。打ち込みで作ったデモなのに、感情の起伏が伝わってきてグッときました。

── Naoya Iwaki Pops Orchestra(NIPO)はとても若い演奏家が揃っていて、KREVAさんのファンも多いとお聞きしました。

KREVA うれしいです。岩城さんもエレクトーンから音楽を始めて、色々な音楽を経てクラシックを勉強したと、武部さんと3人でインタビューを受けた時に言っていたので、幅広い音楽性、若い感性と、若い奏者が揃ったオーケストラの緻密さがどう融合するか、すごくワクワクしています。同時に本番では50人近いオーケストラで演奏されるということを考えると、しっかりやらなければって改めて思いました。

── 今回のセットリストを組む上で特に意識されたことは何でしょうか?

KREVA 直感でフルオケでやるならこれとこれって思った曲がいくつかあって。3曲しかできないライブの時にやるような曲も入れています。そこから武部さんや岩城さんと話し合いながら形にしていきました。DJマインドで曲から曲に行く時に、気持ちいい繋がりがある曲のキーを選ぶことが多いんです。そこはすごく大切にしている部分なんだけど、岩城さんから「そうするとハッとすることはなくなりますよね」って言われて。確かにそうだなと、ひとつ気付きを貰えました。踏まえつつもやっぱり、ヒップホップDJマインドを大切にしようと。音の緩急をつけ、ここはいつものライブでも気を付けていますが静と動のバランスにこだわって、ドラマティックに響く仕掛けを今回のコンサートでも考えています。ひとつ心配なのは、その仕掛けに自分が感極まってしまわないかということです(笑)。ほかにもカバー曲やこの時季ならではの曲もやりたいなと練っているところです。

── クラシックホールでのライブはまた特別な緊張感がありそうです。

KREVA めちゃくちゃあると思います。兵庫も東京の会場も、オーケストラとの共演でないと立てない舞台。だからこそ意味があると考えています。東京文化会館は“クラシック音楽の殿堂”と言われている由緒あるホール。そんな場所でラップを届けられるなんて、感慨しかない。HIP HOPってまだまだ可能性があるんだということを体現したい。改めて考えると演奏者50人以上の感情を背負うって、やっぱりすごいことです。でも2年前に『ねぶた祭』で1,500人以上の人の先頭に立ったことがあるので、全然違う舞台だけど、大丈夫だと思います。お客さんにはぜひオシャレをしてきてほしいです。ライブも自由に楽しんでほしい。立ちたい人は立って、じっくり聴きたい人は座って。それぞれのスタイルで音を浴びてほしい。

── どのようなコンサートになるか想像がつかないだけに、本当に楽しみです。

KREVA どのライブもそうですが、再現できない一夜にしたい。武部さん、岩城さん、オーケストラ、それぞれが異なる感性、違う手段で音楽を奏でているのに最後はひとつの音に溶け合う。その瞬間が絶対に来るはずなんです。そのとき自分がどう感じるか。それを体ごとぶつけたい。このコンサートは挑戦だけど、感謝の場でもあります。20年間やってこられたのは聴いてくれた人たちがいたから。だからこそ今のKREVAを全部出します。

── 昨年ソロデビュー20周年を迎えられました。この20年を振り返っていかがですか?

KREVA 短くもあり、長くもあり、両方感じるかな。色々やってきたけど、ずっと曲を作っていることが理想だったので、それはできていると思うし変わっていない部分だと思います。ただこれだけ作り続けていると、言葉が出てこなくて困るというシーンも出てき始めて(笑)、それは色々な責任が重くなってきたり、一度使っている言葉とフレーズは使いたくないとか、色々なことが重なってのことだから、そう考えると20年は長かったなって思います。

── 曲を作る中にはタイアップなど、テーマが与えられるものも含まれていると思いますが、それはまた違う感性で向き合うものになりますか?

KREVA ありがたいことに最近はタイアップとかCM曲のオーダーも多くて、制約のある中でどう遊ぶかっていうのが楽しい。CMで8秒、10秒の中にどうKREVAらしさを詰め込むかとか、そういうクリエイティブってチャレンジだし勉強になる。テーマがあると歌詞を考える時に刺激になるし、気づきもある。自分を新しくしてくれる感覚があるのでそういうオーダーは大歓迎です。

── 6月に配信リリースした初のアンビエント・アルバム『R. P. P. B. G. M.』 が話題になりましたが、ビートもラップもまったくないあの作品はびっくりしました。

KREVA そのアルバムは今年1月~2月に渋谷PARCOのGALLERY X BY PARCOで開催した、20周年記念プロジェクトの一環の原書展示販売会『ラッパーと紙とペン』の空間BGMを自分で作りました。美術館で流れていても違和感がないこういう音楽ってある種の理想なんです。実際に作ってみて、「あ、これ一生作れるな」って思った(笑)。作ることが楽しい。結局そこに戻ってくるんです。初期の久石譲さんの音楽に影響を受けていると思います。

── 久石さんの初期はミニマルミュージックの作曲家でしたね。

KREVA 『となりのトトロ』のサウンドトラックとか『RAKUEN / MALDIVES』というアルバム(85年/写真家・三好和義のビデオ作品のサントラ集)があるのですが、そういう作品が自分的にはドンピシャだったし、ビートがあるとかないとかもあまり関係なくて。俺がこういう音楽を作れるんだっていう驚きがまだ自分の中にあって、それが形になるというのは本当に楽しい。

── 20周年を機に、独立して自ら会社を立ち上げた決断もありました。

KREVA 自分をもっと自由に動かすために去年会社を立ち上げて、今マネージャーとふたりです。もちろん責任は重くなったけど、やりたいことが全部自分で決められるっていうのは大きい。最初は経営とか事務的なことも勉強したけど、最終的に自分が一番やりたいこと、もっともっと曲を作ることが、結局会社のエンジンになると実感しました。それからHIP HOPとは、とか、その在るべき姿は?みたいなことをそこまで考えなくなってきたのかもしれない。それ以前に自分であるということがすごく大事。それがちゃんと自分の真ん中、作品の芯にあれば、いわゆるHIP HOPの世界の人たちからも、リスペクトを持って接してもらえるということがわかってきました。いかに自分が楽しみながら、好奇心とか向上心にプライオリティを置いてそれを曲にぶつけられるか。最近、AIも使うようになったけど、それも“道具”のひとつ。精度はまだまだだけどAIが作った曲を素材にして、人間が心を乗せていく。そこに希望を感じています。たとえAIが作った曲でもオーケストラが実際に演奏したら心が動くと思う。技術も感情も、全部取り込んでいきたい。

── 次の世代のHIP HOPアーティストに対しては、どんな思いがありますか?

KREVA 若い人たちはスキルも表現力も高く、本当にすごいと思う。でもHIP HOPって、テクニックより“姿勢”なんです。自由にやりながら、自分で責任を取る。その精神がある限り、どんな音楽とも混ざり合えると思っています。今回のオーケストラコンサートもそう。「ラップってここまでできるんだ」って感じてもらえたらうれしいし、次の世代にまだ新しいステージがあるんだっていうことを見せたいです。

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<公演情報>
billboard classics『KREVA Premium Orchestra Concert』~produced by 武部聡志

2025年12月18日(木) 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
開場18:15 / 開演19:00

2025年12月24日(水) 東京文化会館 大ホール
開場18:00 / 開演19:00

出演:KREVA
音楽監修・ピアノ:武部聡志
指揮・編曲:岩城直也
管弦楽:Naoya Iwaki Pops Orchestra

【チケット情報】
全席指定 12,908円
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=36020024

KREVA オフィシャルサイト
https://kreva.club/

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