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ガラパ『西のメリーゴーランド』・椎木樹人×ゴジゲン『きみがすきな日と』・うぇるとん東 劇団員ふたりが語る、新作舞台の見どころ

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2005年の旗揚げ以来、福岡を拠点に活動している劇団・万能グローブ ガラパゴスダイナモス。2025年12月13日(土)からスタートする20周年記念公演は、10周年の際に上演した人気作『西のメリーゴーランド』を上演する。一方、東京を拠点に活動する劇団・ゴジゲンは11月26日(水)より第20回公演『きみがすきな日と』をザ・スズナリにて上演。

2025年4月の万能グローブ ガラパゴスダイナモス×ゴジゲン×小山田壮平『見上げんな!』で共演した万能グローブ ガラパゴスダイナモスの椎木樹人とゴジゲンのうぇるとん東の対談という形で話を伺った。

――最近ファンになった方の中には、「どういう組み合わせだろう?」と思う方もいると思います。改めてお二人の関係性から教えていただけますか?

椎木 僕らは福岡で「万能グローブ ガラパゴスダイナモス」(以下ガラパ)という劇団をずっとやっています。ゴジゲン主宰の松居(大悟)くんは僕と同い年で福岡出身。お互いに「ヨーロッパ企画」という劇団が大好きなことから仲良くなりました。一緒に作品を作ったことはなかったんですが、今年の春に「福岡市民ホール」という大きな劇場ができ、柿落としを担うことになった時に、「今こそゴジゲンと一緒に何かやりたい」と思いました。

『見上げんな!』は脚本をうちの川口(大樹)、演出を松居くんが担当し、合同公演くらいの形で進めた作品。当時は東迎昂史郎という名前でやっていたうぇるちゃんも参加してくれました。1ヶ月くらい福岡に滞在してもらい、初めて共演もできて、「もっと一緒に何かやって行こうぜ!」みたいな空気になっているよね。

東 もちろんガラパさんは知っていましたが、じっくり話したことはなかったですし、椎木さんはガラパの代表なので僕からすると中々声をかけられない存在で。『見上げんな!』の1ヶ月生活を共にし、びっくりするくらい仲良くなれました。うぇるとん東に改名した時もサポートしていただいて。

椎木 インスタライブで改名を発表したいということでコラボ配信などを提案しました。

東 すごく盛り上げてくださいました。『見上げんな!』の公演の時も感じましたが、椎木さんは行動力がすごい。周りを引っ張って座組の空気を作ってくれたおかげでチームがまとまりました。めちゃ熱いお兄ちゃんって感じです。

椎木 一緒に過ごしたおかげで、おせっかいをやける関係になりましたね。

――10周年で上演した『西のメリーゴーランド』を上演するということですが、この作品を選んだ理由は。

椎木 再演希望がすごく多い作品でしたが、中々機会がなくて上演していませんでした。20周年を迎え、僕が夢見てきたことを実現できたという思いがあるんです。川口も、中ホールクラスの脚本をしっかり書ききる、福岡をテーマにした劇を作るといったことをやり遂げ、じゃあ次に何をやろうかと。

『見上げんな!』は色々な俳優さんに来ていただき、福岡で制作しました。今回は“劇団として、劇団員でガラパの作品を作る”がテーマ。原点に立ち返るならやっぱりガラパが元々やっていた部屋もので一番純度が高い『西のメリーゴーランド』だと思いました。

当時の集大成として作った作品を今の感覚でブラッシュアップし、改めて完成度の高い作品を見せたいというのが選んだ理由です。昔の作品をリバイバルするというよりは、強い骨格を持つ作品を生まれ変わらせて、今の感覚でちゃんと面白く見せたいですね。

――ネタバレにならない範囲で、作品について詳しくお聞きしたいです。

椎木 今見ると無駄も多いので、ブラッシュアップすることですごくシャープになると思います。内容としては本当に面白くて、お葬式がテーマの作品。お葬式の後に家族や親戚、友人などが集まって食事しながら「おじいちゃん大往生だったね」とか思い出話をしていると、誰だかわからない人がいる。「あの人誰だっけ?」「友達でしょ?」「いや、知らないけど」みたいになって、アルバムなどを見返したら10年前に死んだ近所の床屋の兄ちゃんだったことがわかり、「死んだ人が紛れ込んでる?」という感じで話が進んでいきます。ドタバタした笑いにホラーやサスペンス要素が入ったバランスのいい作品になっていると思います。

東 面白そうですね。ビジュアルもオシャレ。

椎木 家族の話なんですよね。死んだお父さんの娘二人と、2人目の奥さんという、血の繋がっていない親子の話が真ん中にあって、死と絆、生まれ変わりなどが描かれています。タイトルも、「西」は仏教の「西(西方極楽浄土)」でメリーゴーランドは生まれ変わりをかけていて。

――「生コメンタリー」と「舞台上おじゃましますツアー」についても教えていただけますか?

椎木 生コメンタリーは15年ぐらいやってるのかな。公演終了後、ワンシーンを抜き出してもう一度舞台上で上演し、作・演出の川口とゲストで解説していくというものです。当時はコメンタリーが珍しかったので、生でやっちゃおうということで始まりました。お客さんにもすごく愛していただける企画に成長して、生コメンタリーがある日からチケットが売れていきます。演劇の幅広さを改めて感じていただけるアフターイベントです。東京公演では松居くんがゲストに来てくれるのが恒例になっています。

舞台上おじゃましますツアーは、東京で行うのは初。終演後、お客様に舞台に上がってもらいます。公演が終わったばかりで散らかった状態の舞台で、小道具に触ってもいいし、俳優やスタッフに質問してもいいイベントで、福岡ではすごく好評でした。演劇は「総合芸術」と言われるだけあって、スタッフワークがないとあそこまで面白くならないんです。だから、間近で見て触ってスタッフワークの価値を感じてほしいなと思って企画しました。おまけというよりは、小道具の造形や作り込み、さまざまな仕掛けといったクリエイティブを味わい、舞台をより深く楽しめるイベントです。お客様が実際に舞台に上がる機会はなかなかないと思いますし、作中のシーンを再現して写真を撮る楽しみ方もできます。

東 キャストやスタッフさんが案内してくれるんですか?

椎木 そう、一緒に話して写真を撮りながら。作り手の秘密なども、聞いてもらったら全部答えるようなツアーです。演劇をやっている側にとっては当たり前なことがお客さんにとっては新鮮なんだとか、発見があって僕らも楽しい。演劇の魅力をさらに味わっていただけると思います。

――共演したうぇるとんさんから見たガラパの魅力についても教えてください。

東 みなさん俳優をしながら制作や小道具、映像、広報など、得意なことを活かしているイメージがあります。自分たちがやるべき役割をまっとうしている団結力のある団体だと思います。

あと、いいところがそれぞれ違うなというのも感じていて。川口さんの脚本は初見でスッと入ってくる。本読みの段階から無理なくセリフを言うことができて新感覚でした。松居さんの本は、稽古を重ねて自分の言葉にしていったりエチュードに重きを置いていたりするので、稽古を進めるうちにだんだんわかってくるんです。

椎木 僕としては、ゴジゲンにもガラパにもグルーヴがある気がする。

東 そこは共通していますよね。さっきもお話にでたヨーロッパ企画さんなど、好きなものが同じだからかも(笑)。

椎木 そうだね。あと、聞きたいんだけど、ガラパに福岡っぽさは感じたりする?

東 すごく感じますよ。方言がどうこうじゃなく、人との距離の近さとかで。でも厚かましい感じを受けない。ちゃんと受け入れようとしてくれる、ウェルカムな雰囲気がありますよね。

椎木 なるほど。東京公演をやると、「福岡ノリだよね」と言われることが多いんだけど、自分たちでは意識していないから驚きがある。僕としてはゴジゲンが羨ましいなあって思ってて。ガラパは同世代の友達なのか劇団員なのかみたいな関係だったのが、続けていくうちに現実や壁にぶつかって、前に進むために新しい力や才能を仲間に加えて進化してきた劇団。ゴジゲンが最初の関係のまま進化してきたのは羨ましいし、仲間に入りたいと思う時があるよ。

東 嬉しいです。ゴジゲンは一度休止していて、復活するときに今の6人で再び集まりました。椎木さんが言ってくれるように、友達という感覚が近いのかもしれません。劇団として「みんなで頑張っていこうぜ!」と集結していないというか、僕ら後から入ったメンバーは、いつの間にか集まって、楽しかったからまたやりたいねという思いが続いています。

椎木 面白いよね。最近の演劇界は劇団に入らなくても演劇ができるようになったのはいいことだけど、劇団には劇団ならではの魅力やミッションがあると思っています。そもそも、効率を重視する時代に、すごく非効率で仕事か友達かわからないコミュニティで一緒に何か作るってこと自体に価値がある気もする。成り立ちも色も違って、拠点も東京と福岡で離れているのにお互いリスペクトしてるガラパとゴジゲンの関係も、やっぱり劇団だからだと思うし。

東 そうですね。僕もガラパさんに対してそう感じるし、同じように感じていただけていたら嬉しいです。

椎木 多分、松居くん個人の仕事だったらそこまで意識しないと思う。単純に友達だから、「今はこんなことやってるんだ、すげえなあ」みたいな。でも、劇団ゴジゲンの公演と聞くと「え、どんな面白いものを作ってくれるんですか?」とか「お互い楽しみだね」みたいな意識が生まれる。それで切磋琢磨し合えている気がします。

――ガラパは20周年記念公演、ゴジゲンも11月に第20回公演『きみがすきな日と』を控えているということで、それぞれ意気込みやファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

東 僕らは第20回、ガラパさんは20周年と節目の公演です。ゴジゲンの前回、前々回公演は、台本が初期から作り込まれた状態で、それを軸に作っていきました。今回はエチュードしながら作っていく形になりそうです。内容としては、ある廃れた商店街の近くに大きなショッピングモールができそうで、地元のお祭りもこれが最後になるんじゃないかという状況。お祭りで人形劇をしている団体が終わりに向かいつつ、それでも頑張っている感じをみんなで作っていきます。松居さんは「人間の生の感情を出していきたい」と言っていて、キャスト6人のパペット6体、出演者12人のつもりでやっています。あと、多田香織さんと大関れいかさんが参加してくれるんですが、女性キャストが2人いるのも久しぶり。多田さんは『見上げんな!』でもご一緒しましたが、演技の引き出しがすごく多い。本読みでもそれを感じてワクワクしています。大関さんは松居さんの映画常連の俳優さん。舞台は初めてらしいのですが、フレッシュなパワーがすごくて圧倒されました。ゴジゲンらしさが強く出る作品になると思うので、ぜひ見に来てほしいですね。

椎木 20周年が集大成という感じもなく、改めてフレッシュな気持ちになっている感覚です。劇団がずっと進化しながらここまで来たからでもありますし、『見上げんな!』のような大きな企画も手がけられて、劇団でやることに対するモチベーションが新たになったおかげもあると思います。だから、現在進行形の万能グローブ ガラパゴスダイナモスをお客様に見てほしいと思います。僕らのスタイルが一番出る作品を、進化した状態でお届けします。福岡でいいと思った俳優は全員ガラパに入れるくらいの気持ちでスカウトしているので、これから福岡を代表する俳優になるだろう子たちが作品を持って東京にやってきます。ぜひ見ていただいて、これから先も楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

万能グローブ ガラパゴスダイナモス 20周年記念公演
第34回公演 『西のメリーゴーランド』

<プレビュー公演>
12月13日(土)
福岡市民ホール 小ホール

<東京公演>
12月25日(木)~28日(日)
駅前劇場

アフターイベント
◆ 舞台上おじゃましますツアー ※有料 ※要参加券
12月26日(金)13:00、12月27日(土)13:00
◆ 生コメンタリー
12月27日(土)18:00

<福岡公演>
2026年2月10日(火)~15日(日)
福岡市美術館 ミュージアムホール

アフターイベント
◆ 舞台上おじゃましますツアー ※有料 ※要参加券
2026年2月11日(水・祝)13:00、2月13日(金)13:00、2月14日(土)13:00
◆ 生コメンタリー
2026年2月11日(水・祝)18:00、2月14日(土)18:00

チケット情報
https://w.pia.jp/t/nishimeri/

ゴジゲン第20回公演『きみがすきな日と』

<東京公演>
11月26日(水)~12月7日(日)
ザ・スズナリ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/gojigen/

フォトギャラリー(5件)

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