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ヘルベルト・マイヤー インタビュー「私たちにもお客様にも、大きな喜びになるに違いないコンサートです」

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ウィーン・フィルとベルリン・フィルの名手たちが、あらゆるジャンルの名曲を独自のアレンジで届ける「フィルハーモニクス」。「『自由な時間に好きな音楽を楽しむ』のがコンセプト」(ヴィオラのティロ・フェヒナー)というナイスなグループだ。12月の来日では、肩を痛めたエーデン・ラーツに代わってウィーン・フィルの首席コントラバス奏者であるヘルベルト・マイヤーがコントラバスを担当する。才能と好奇心に溢れ、ウィーン室内合奏団、コントラバス奏者だけのアンサンブル「bass instinct」などでアンサンブルにも積極的に関わってきた逸材だ。来日中のマイヤーに話を聞いた。

― コントラバスとの出会いについて教えてください。

マイヤー(以下M):コントラバスを選んだのは偶然なんです。音楽とは関係がなく、レコードもない家庭で育ちました。中学校の時、学校のオーケストラにコントラバス奏者がいないと言われて担当することになり、その後音楽学校(リンツの音楽ギムナジウム)に入って新しい世界が開けたんです。ベートーヴェンやモーツァルトのヴァイオリン協奏曲を演奏した時、人生にこんな美しいものがあるのかと思った。今思い出しても鳥肌が立ちます。それでこの道を行くと決めたんです。コントラバスを通して音楽の世界に連れて行かれたので、この楽器でできるだけ最高のものを届けたいと思っています。

― フィルハーモニクスは初参加ですよね。あなたに声がかかった時、どう思いましたか?

M:ラーツが手術をしなければならないかもしれない、その場合はあなたに頼みたい、という話は以前から聞いていました。最初はもっと若い人がいいのではないかと思ったのですが、メンバーのみんなが私に入ってほしいと言っていると聞いてとても嬉しく、それならやってみようという気持ちになりました。彼らの音楽に対する取り組み方が好きですし、人間的にも音楽家としても素晴らしい人たちだからです。私にとっても新しいチャレンジで、とても楽しみです。

― フィルハーモニクスという団体について、どんな印象をお持ちでしたか?

M:リズムのエネルギーがあるアンサンブルで、まずそこが大好きです。コントラバスはリズムの基礎ですから、他のメンバーの音楽の土台になって支えたい。

フィルハーモニクスが演奏するレパートリーは、「エンタテインメントとしての音楽の最高峰」だと言っていいと思います。大半の曲が編曲なのですが、そのアレンジが素晴らしい。オリジナルと違うものになっているのに、聴くと元の曲がわかるというのはすごいことです。

現地での公演の様子

― オーケストラで演奏する時と「フィルハーモニクス」のような団体で演奏する時とで、演奏法に違いはありますか?

M:「フィルハーモニクス」の場合、フレージングや演奏法はジャズに近い部分があると思います。ピッツィカートが多いのもジャズと共通している。「Bass Instinct」ではジャズのグループとも演奏しましたので、その時の経験は役に立つと思います。

普通のクラシック音楽ではあまり使わない高い音域も出てくるので、それをフレージングでうまく繋げる必要があります。

― ウィーン・フィルから「フィルハーモニクス」のような団体に至るまで、マイヤーさんが音楽を演奏する上で共通して大切に考えていることは何でしょう。

M:まず申し上げておきたいのは、どんなコンテクストであっても真剣に取り組むということです。そして音楽においては「コミュニケーション」がとても大事です。全てと言ってもいいでしょう。そのあり方は確かに演奏団体によって違いますが、このコミュニケーションをお客様に感じ取っていただけるのがパフォーマンスの素晴らしさなのです。

ウィーン・フィルのようなオーケストラだと、大勢のメンバーがいて、指揮者のようにそれをコーディネイトする人がいる。それでもメンバーは互いによく聴き合って、コミュニケーションしています。

このコミュニケーションは、小さいアンサンブルだとよりダイレクトなものになります。お互いにインスパイアしあい、素早くリアクションして、常に新しいものを出していくことが必要です。「フィルハーモニクス」のような団体だと、音楽家たちがうまくコミュニケーションできると、それがすぐにお客様に伝わるのです。

ヘルベルト・マイヤー

― 今回のプログラムの魅力を教えてください。

M:いろいろなものがとてもうまく組み合わさっているプログラムです。「ダンス&ラブ」というモットーには、この団体の持つリズムのエネルギーやスウィングの要素も表れています。一見聴きにくい曲であっても、聴いているうちに大きな喜びをもらえるように組まれているのです。

私たちにとって、このようなプログラムを演奏するのは大きな喜びです、お客様にもこの喜びを感じていただければ、これ以上嬉しいことはありません。

取材・文:加藤浩子(音楽物書き)

フィルハーモニクス ウィーン=ベルリン

■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2561884

12月9日(火) 14:00開演/19:00開演
東京オペラシティ コンサートホール

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