舞台『シッダールタ』草彅剛が自我の旅路に進む主人公を圧倒的な存在感で熱演!
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舞台『シッダールタ』ゲネプロより
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草彅剛主演の舞台『シッダールタ』が11月15日に世田谷パブリックシアターにて開幕。初回公演を前に前日のゲネプロの模様が報道陣・関係者に公開され、草彅、共演の杉野遥亮、瀧内公美、脚本の長田育恵、演出の白井晃のコメントが発表された。
「車輪の下」などで知られるノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセによる小説「シッダールタ」と「デーミアン」を原作に、NHKの連続テレビ小説「らんまん」の長田の脚本、白井の演出で舞台化。自我を探求し求道者として思索を深め、やがて悟りへと達する主人公の姿を描き出す。
舞台は巨大なボウルのような形状となっており、天井からは雷のような細長い照明が吊り下がり、点滅している。
物語の冒頭の舞台は現代。ひとりの男(草彅)が現れ、喧騒の中で地面に耳をつけて音を聴くところから始まる。友人のデーミアン(鈴木仁)は彼に行動することを促し、同僚の女性(瀧内)は彼を支え、寄り添おうとする。詳しい説明は一切なされないが、男はどうやらカメラマンのようで、舞台上になだれ込んできた人々の間をすり抜けながら、カメラを構え、シャッターを切る。
やがて周囲は森となり、物語の舞台は古代のインドへと移り変わる。支配階級のバラモンの息子として生まれたシッダールタ(草彅)だが、バラモンの賢者の説く教えに疑問を抱き、貴族の身分を捨てて、苦行者となることを決意する。ちなみにシッダールタという名前は、仏教の開祖であるブッダと同じ名前だが、草彅が演じるシッダールタはブッダとは別人である。
シッダールタは苦行の道へと旅立ち、彼に心酔するゴーヴィンダ(杉野)と共に断食の修行を始め、それに耐え抜くが、それは無駄な修行だったと気づく。やがてシッダールタとゴーヴィンダはブッダと出会う。ゴーヴィンダはブッダの教えに感銘を受け、帰依することを決意するが、シッダールタはブッダに付いて行くことを拒否し、シッダールタとゴーヴィンダは袂を分かつことになる。ひとりである街へとたどり着いたシッダールタは、美しき娼婦・カマラ―(瀧内)に出会い、心を奪われ性愛の喜びを求めるが……
現代と古代インドを往き来する本作だが、草彅は自我の旅に身を委ね、迷い、時に俗世におぼれ、愛にうち震える主人公を静かに熱演。圧倒的な存在感で、観る者を引き込み、壮大な旅路へと誘う。
杉野はシッダールタに心酔しながらもブッダの教えに真理を見出し、別々の道を進むことになるゴーヴィンダを凛とした佇まいで演じ、瀧内は美貌のみならず知性と教養を備え、シッダールタを魅了する娼婦・カマラ―で輝きを放ち、観る者の心を奪う。他にも、どこか別の次元から現れ、主人公に行動を促す友人のデーミアン、シッダールタに商いを教える豪商のカーマスワーミ(有川マコト)、シッダールタの父(松澤一之)、大河の渡し守でシッダールタに大切な理を教えるヴァスデーヴァ(ノゾエ征爾)など、シッダールタが旅路の中で出会う人々も魅力的。また、全編を通じてダンサーたちが己の肉体を駆使して市井の人々や動物たちなどさまざまな登場人物たちを表現しており、三宅純による音楽とあわせて、観客を思索の旅の物語へと引き込んでいく上での大きな役割を担っている。
壮大かつ幻想的な自我の旅の果てにシッダールタが辿り着く真理とは――?
「草彅さん演じるシッダールタの旅――その果てを、共に見つめていただきたい」キャスト&スタッフ開幕コメント
草彅剛コメント
未知なる世界の扉が今まさに僕の心で開こうとしています。
皆さまが劇場に来てくれた瞬間にコンプリートされると思います。
この何にも変えられない感覚だけど、もともと私たちが持っていて知っている感覚。
是非皆さんと一緒に深く感じ合いましょう。
あとは楽しむだけです!
杉野遥亮コメント
遂に初日を迎えるのだな。と、感慨深い気持ちです。
ほんとうに素敵な芸術になっていると思うので、期待してほしいですし、僕自身も期待しています。
舞台シッダールタ!よろしくお願いします!
瀧内公美コメント
無事、初日を迎えられることを嬉しく思っております。
“自我の旅”という壮大なテーマを掲げたこの作品が手元に届いたとき、未知の旅路を歩み始めようとしていた私にとって、希望の光のように感じたことを覚えています。
白井さんにとって、創作の原点となるこの作品に携わり、共に重ねてきた創作の時間は、何にも代えがたい経験でした。
素晴らしいスタッフ・キャストの皆さま、そして愛に満ちた日々を与えてくださった白井さんとともに、今日から新たな一歩を踏み出します。
皆さまの心に残るひとときをお届けできるよう、心を込めて演じてまいります。
長田育恵(脚本)コメント
ヘルマン・ヘッセの原作と向き合い、白井晃さんから炎を受け取り、作劇に挑みました。舞台『シッダールタ』、いよいよ開幕いたします。100年前に書かれたこの物語は、人間の普遍的な悩みに満ち、現代の苦悩をも内包しています。だからこそ今、シッダールタが語るひとつひとつの言葉が、私たちの心を照らすのです。
演劇が果たすべき究極の役目は、人が生きていく上で核心となるような、シンプルで、強く、美しいものを手渡すこと。
本作は、最高の座組で、その至高に挑みます。
草彅さん演じるシッダールタの旅――その果てを、共に見つめていただきたいです。
白井晃(演出)コメント
100年前のヘルマン・ヘッセの小説「シッダールタ」を現代社会を投影した作品にしたいと言う思いでここまで創作してきました。主人公・シッダールタは、今を生きる私たちの姿そのものだと思います。草彅さんの驚異的な集中力から生まれる表現は、私たちの心を捉えて離さない力強さに満ちています。この作品に関わったすべての俳優、ダンサーの献身的な努力により、想像力をかき立てる舞台芸術ならではの作品になったと確信しています。この混沌とした世界の中で私たちはどう生きていけば良いのか。草彅さん演じるシッダールタの静かなる叫びに耳を澄ませていただけると幸いです。
取材・文・撮影:黒豆直樹
<公演情報>
舞台『シッダールタ』
原作:ヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」「デーミアン」(光文社 酒寄進一訳)
劇作:長田育恵
演出:白井晃
音楽:三宅純
出演:
草彅剛、杉野遥亮、瀧内公美
鈴木仁、中沢元紀、池岡亮介、山本直寛、斉藤悠、ワタナベケイスケ、中山義紘
柴一平、東海林靖志、鈴木明倫、渡辺はるか、仁田晶凱、林田海里、タマラ、河村アズリ
松澤一之、有川マコト、ノゾエ征爾
【東京公演】
2025年11月15日(土)~12月27日(土)
会場:世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】
2026年1月10日(土)~18日(日)
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
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