夏帆×竹内涼真『じゃあ、あんたが作ってみろよ』を見て考える、“理想の結婚相手”って? 鮎美と勝男からわかること
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『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』から見る現実の恋と結婚に必要なこと
夏帆と竹内涼真の掛け合いも楽しいロマコメ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』。TVerとTBS FREEでの初回総再生回数がTBS火曜ドラマの歴代1位を記録し、365万回を突破するという[※10月14日時点/TVer DATA MARKETINGにて算出(配信期間2025年10月7日(火)~10月13日(月)]、日曜劇場『VIVANT』に並ぶ過去最高ペースの再生回数となった本作。
その人気を支える2人の主人公の恋愛模様と、時代を映し出すストーリーから、現実の恋と結婚に必要なことを読み取ってみた。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(すべての場面写真を見る)(ウレぴあ総研)
価値観のアップデートと思いやりが鍵になる
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
谷口菜津子による同名漫画を実写化したTBS10月期火曜ドラマ『じゃあ、あんたが作ってみろよ』が注目を集めている。主人公は、手料理が得意で“恋人ファースト”な彼女を演じて自分を見失ってしまった山岸鮎美(夏帆)と、令和の時代には珍しい「料理は女が作って当たり前」という思考の海老原勝男(竹内涼真)。大学時代から交際し、同棲にも慣れ、順調な関係だと確信した勝男が鮎美にプロポーズするも、「無理」と断言され、別れてしまう。
それもそのはず、父親による幼い頃からの刷り込みで、勝男は兄弟揃って“男らしさ”の価値観が昭和時代からアップデートされないまま大人になった。鮎美が真心込めて作った料理の表面だけを見て「全体的におかずが茶色すぎる」と小言を言い、会社では料理好きな男性の後輩に対して「お前の彼女って料理作ってくれないんだ?」と言い放ち、合コンに参加するも市販のルーを使いカレーを作ると言う女性に「野菜を切るだけだ、それって料理って言わないから」と豪快に地雷を踏む。
先日放送された第6話では、別れてから自身のいたらなさや料理に目覚めて会社の仲間や兄との絆が深まっていく勝男と、酒屋の店員である年下男子ミナト(青木柚)と同棲するも別れを切り出されて再び自分探しに奔走し、気づきを得た鮎美の姿が描かれた。
鮎美と勝男からわかること
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
そもそも鮎美は、ハイスペックな男性と結婚して安定した人生を送るために努力し、“モテ”に全ベットしてきたはず。なのに、大手勤務で広いマンションに住む勝男よりも、ワンルームの古いアパートに住むミナトと同棲した。勝男との長年の同棲で溜まったうっぷんは解放され、最初はよかったが、次第にミナトの自由奔放さに苛立つ鮎美。毎日、家で手料理を作って待つタイプの鮎美は、外食が気楽なミナトからすると、こってりと重すぎる女性だ。ミナトは「結婚願望がない」ときちんと理由を伝え、短くても「本気だった」という恋に終止符が打たれることとなった。
鮎美はすぐに家を飛び出て、ミナトと同棲する前に居候させてもらっていた友人の美容師・吉井渚(サーヤ)の家をあてにしていたが、外出中の様子を見かけて、独りでカラオケボックスでやけ酒をくらう。大学時代から勝男の家、別れたら渚の家、その後はミナトの家……と、常にパラサイトするのが当たり前だった鮎美は、物理的事情からとはいえ、やっとここでアパートを見つけて独り立ちする。しかし、同僚に誘われた婚活パーティーでは、自分のことも将来のこともぼんやりしているため、何を聞かれてもしっかりと意思表示できない。
多様な人々との出会いから“本心”が見えてくる
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
一方、勝男は鮎美のことが忘れられない。どんな気持ちでいたかを知りたくて料理を始め、いつか鮎美に食べてもらいたいと夢見るようになる。未練がましく、余計なひと言や、人によっては圧を感じる物言いで勝男は会社の後輩から疎まれていたが、実は純粋で素直な性格。周りのアドバイス通りに料理や写真投稿アプリなどにチャレンジし、どんどん腕を上げていく。きっと仕事でも何でも、一度取り組んだら、ポジティブに人生を切り拓いていくタイプだろう。
勝男は、マッチングアプリで知り合った初めての女友達で、今は相談相手でもある通販会社の社長・柏倉椿(中条あやみ)のホームパーティーに誘われる。何か作ってきてという椿のリクエストに応え、張り切って小籠包を持参するも、「塩から食べて」と食べ方のうんちくをゴリ押しして場内をシラケさせる。酒を片手に交流するのが目的の参加者たちとは波長が合うはずもなく、残った小籠包を手に早々に退出するのだった。
ドラマを見ていて思うのは、鮎美と勝男は、長年同棲していたのに本心を明らかにする努力が足りていなかったということ。どんな時だって、そこにいて当たり前のものなんて、ない。テレパシーが使えるわけでもないし、自分の気持ちを伝えないとわからない。言葉が多かったり、足りなかったりして、誤解を招くことだってある。亭主関白な考えが“化石”的だと揶揄され勝男に目が行きがちだが、相手を家に縛りたくなる鮎美も自由度は低く、それは令和的なのかどうかはわからない。
ハイスペで自分を愛する彼氏だが切り捨てた鮎美を見ると、やはり条件だけで結婚相手を探すのは、現実でも難しいと思わせる。筆者は独身時代、婚活で1000人の男性と出会った末13歳年下の彼氏と結婚して一児の母となったが(詳しくは拙著『どうしても、結婚したかった。1000人の男性と出会った私の婚活ラプソディー』をご覧ください)、やはり条件に適う相手なのにしっくりこないことはあった。逆に条件通りではなくとも直感的に運命を感じることがあるなど、多様な人々と出会い、話すうちにさまざまな人生があること、自身の本心について気づきを得た。
恋愛や結婚は、相手があること。いくらこちらが好きでも伝わらない時もあれば、相手から求められてもその手を取ることができない時もある。さらに、鮎美と勝男のように、もっと早く腹を割って話せる仲になっていればとんとん拍子なのに……というようにお互いの思惑通りに運ぶかどうかは、タイミングも重要だとわかる。
理想の結婚相手とは果たして…
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
夫が先を歩いて妻は三歩下がってついてくる、という図式を昭和的だとすると、お互いに手を取り合って進むのが令和的といえるのかもしれない。実際、昭和的な家庭で育った筆者は自身が台所に立つのが筋だと思っていたが、結婚するまで実家暮らしで家事なんてしたこともない夫が、結婚後に頼みもしないのに台所に立つようになってビックリした。
さらに夫はスーパーに行くと調味料を入念に選んだり、料理に凝ってちょっと料理のうんちくを言いたがったり。「まるで勝男やないか」とツッコミたくなる。当初は困惑したが、話し合ってからはこちらが多忙な時は家事を任せられて、思いのほか楽になった。
昭和でも平成でも令和でも、お互いの価値観をすり合わせることは大事だ。相手を想う気持ちがあれば、自分と違う考えも受け入れられたり、受け入れてもらったり。2人にとって心地いい塩梅が見つかれば、生涯一緒にいるのも悪くない。
令和という時代性はもちろんあるが、“自分にとって大切なこと”を分かち合える相手であれば、手を取って未来を歩いていけるのではないか。
ドラマでは、勝男が作った小籠包を鮎美が食べるシーンがあった。「もしかして出汁から?」と小籠包の深みを味わう鮎美に、食べてほしくて料理を始めたことを告白し、満面の笑顔の勝男。少食のふりをしていたことを話し、勝男の説明を嫌がらずにその通りの味付けで小籠包を食べる鮎美。これまでの自分を卑下する鮎美に、「鮎美はバカでもみじめでもない。俺と一緒にいる時からずっと」と目を見てまっすぐに勝男が気持ちを伝えたシーンは、多くの女性たちの心を鷲掴みにしたに違いない。
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 ©TBSスパークル/TBS
すれ違っていた2人だが、料理を通じて「やっぱり相性が良いのでは?」と感じた。“雨降って地固まる”となるのか? 当たり前だと思っていたものを見つめ直し、成長していく鮎美と勝男。何やら勝男の母親も、横暴な夫に思うところがあるようなシーンもあった。次週は、それぞれの両親に別れたことを言い出せずにいるなか、一緒に参列する予定だった地元・大分の友人の結婚式が刻々と近づく様子が描かれる。さらに、鮎美がふと目にした恋愛リアリティーショーに姉・さより(菊池亜希子)が出演していることに衝撃を受ける展開に。
母性あふれる健気な鮎美と、どこか少年のようなピュアさと可愛さのある勝男。これからますます盛り上がっていくストーリーから目が離せない(劇中トレンディドラマも面白い)!
作品情報
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系 毎週火曜22:00)
出演:夏帆、竹内涼真、中条あやみ、青木柚、前原瑞樹、サーヤ(ラランド)、楽駆、杏花、池津祥子/菅原大吉
原作:谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社『comicタント』連載)
脚本:安藤奎
演出:伊東祥宏、福田亮介、尾本克宏
プロデューサー:杉田彩佳、丸山いづみ
編成:関川友理
音楽:金子隆博
主題歌:This is LAST「シェイプシフター」(SDR)
制作:TBSスパークル、TBS
(mimot.(ミモット))
かわむら あみり
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