100年前の「加害の歴史」に腰を据えて向き合う劇団民藝『祈りの大地』
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すべて見る劇団民藝の『祈りの大地』が2025年11月27日(木)〜12月7日(日)、東京・東京芸術劇場シアターウエストにて上演される。
シライケイタを作・演出に迎えた今作は、今からおよそ100年前、1923年9月1日に首都圏で起きた関東大震災を題材にとった物語。死者、行方不明者10万人以上という想像を絶する規模の災害。混乱の中でさまざまな流言(デマ)によって起きた、多くの朝鮮人らが虐殺される事件。戒厳令下でいったい何が起きていたのか、その全貌がまだ明らかになっていないこの出来事について、シライが見つめ直す。主宰する劇団・温泉ドラゴンの日韓三部作など、日本と韓国にかかわる作品を手掛けてきたシライ。彼にとっては日本の加害の歴史に再び向き合う作品ともなる。
舞台は2023年、東京の西の町。社会部記者の川上良平とバレエ教師の恵美子は、大学生の娘と十代の息子とともにこの町で暮らして来た。ある時、恵美子の実家を建て替え、地下にバレエのレッスン室を作ることに。深く掘削する工事の最中、地中から人骨が発見される。それをきっかけに恵美子の父・源太郎は、祖母・千代から聞いて育ったという話を語り始める。それは100年前、この地である母娘に起きた町の暗い記憶だった――。
キャストは現代と過去、それぞれの時代で役を演じ、全員が一人二役となる。物語も登場人物も創作ではあるが、当時の日本の新聞記事や軍、警察の行ったこと、大量に残る証言をもとにして構成、さらには今も繰り返される虐殺否定論、歴史修正主義にも触れるという。
100年前に起きたことが決して点ではなく今に続く線の上にあること。そして歴史上の出来事などではなく、今なお顧みるべき問題であること。現代を起点とした、事実を織り交ぜた上で描かれるフィクションが、私たちがこの問題に対してどうあるべきか、現代も続くヘイトや差別に対してどう立ち向かうべきかを問いかける。
<公演情報>
劇団民藝『祈りの大地』
作・演出=シライケイタ
【キャスト】
(現代 / 過去)
川上良平 / 山田徳次:みやざこ夏穂
川上恵美子 / 崔昭英:中地美佐子
川上紗季 / 崔順伊:石川 桃
川上翔太 / 内田大助:小守航平
増田源太郎 / 畑山寅蔵:境 賢一
杉野順平、保守守 / 加茂鉄平:吉岡扶敏
杉野祐樹/加茂健二:塩田泰久
岩永あや、司会者 / 森千代:飯野遠
2025年11月27日(木)~12月7日(日)
会場:東京・東京芸術劇場シアターウエスト
関連リンク
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2564022
公式サイト:
https://www.gekidanmingei.co.jp/
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