「藤井玲南 ソプラノ・リサイタル2026」“新時代の歌姫”がここに
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様々なオペラへの出演や、バッハ・コレギウム・ジャパンとの共演のほか、歌曲にも力を注ぐ話題のソプラノ、藤井玲南(ふじい れな)が、出身地である横浜でのリサイタルを開催する。フィリアホールは、20年前の2005年に初リサイタルを行った記念碑的な会場だけに、今回のリサイタルは、藤井にとっての“ホームカミング”といった、思い入れの強いステージが期待できそうだ。
リサイタルのテーマ「I Love You」は、英国の作家サマセット・モーム(1874-1965)の短編小説『サナトリウム』の最後の一文を引用したという。その内容は、死に直面した登場人物たちが、これまでの生き方では見出せなかったであろう、とてつもなく大きな愛に至る物語だという。弱く痛ましい者たちが逞しくなれた愛とはいかに。それを音楽にしたいという思いが込められた「I Love You」が楽しみだ。
その思いに即した選曲は、山田耕筰の「からたちの花」を筆頭に、シューベルトの「セレナーデ」、ブラームスの「恋人のもとへ続く道」など、愛にまつわる美しい作品がずらりと並ぶ。さらには、モームの『サナトリウム』の朗読や、作曲家 根本卓也に委嘱した歌曲集『サナトリウム』の世界初演など盛り沢山な内容だ。中でも、世界初演となる根本卓也の『サナトリウム』においては、モームの小説『サナトリウム』の登場人物たちの台詞の中から彼らの性格や物語の展開に関わる部分を抜選して歌詞にした連作歌曲というだけに興味津々。藤井の歌唱による素敵なコラボレーションに期待したい。
「初リサイタル開催から早20年。今日も舞台で歌い続けていられるのは、たくさんの方々や音楽との出逢いに恵まれたからこそです。ホールの名前にもなっている“フィリア”とは、ギリシャ語で“愛”の意味。たくさんの方々に愛と感謝を込めた歌を聴いて頂けますと幸いです」
と語る藤井玲南の言葉が心に響く。
藤井玲南 ソプラノ・リサイタル2026 ~I Love You~
2026年2月28日(土)
青葉区民文化センター フィリアホール
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2564013
●藤井玲南(ソプラノ)/Rena Fujii, Soprano
東京藝術大学卒業。同大学院在学中、ドイツのエアフルト歌劇 場でオペラデビューする。ライプツィヒ歌劇場で研修後、ウィーン国立音楽大学リート・オラトリオ科を卒業。ドヴォル ジャーク国際声楽コンクール第1位、日本音楽コンクール第2位および岩谷賞など、入賞・受賞も多い。スロヴァキアやポーランドの歌劇場で歌い、帰国後はPMF、小澤征爾音楽塾、セイジ・オザワ松本フェスティバル、東京・春・音楽祭などに出演。 東京芸術劇場にて井上道義指揮《ドン・ジョヴァンニ》にツェルリーナで出演し、フェニーチェSACAYでは佐渡裕指揮のもと ホセ・カレーラスと共演した。《フィガロの結婚》スザンナ、《カルメン》ミカエラ、《こうもり》アデーレ、《ジャンニ・ スキッキ》ラウレッタなどのオペラ出演の他、歌曲の演奏にも力を注ぎ、東京オペラシティ「B→C」では自身が作詞した委嘱作品である、山中千佳子の「巫~KANNAGI~」を含む、多彩なプログラムと歌唱が高く評価された。近年はバッハ・コレギウム・ジャパンと共演するなど、バロックから現代曲まで幅広く活動中。2015年から、国立音楽大学非常勤講師として後進の指導にもあたっている。

