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珠城りょうが『エリザベート ガラ・コンサート』でトートの曲を歌う

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1996年に小池修一郎による構成・演出で、宝塚歌劇団雪組にて日本初演。爆発的ヒットを記録して以来何度も再演を繰り返し、今や歌劇団を代表する人気演目となっているミュージカル『エリザベート』。これまで黄泉の帝王トート(ドイツ語で“死”)を演じてきたトップスターは10人いるが、現時点で最後にトートを演じたのは2018年の月組公演時にトップスターだった珠城りょうだ。2021年に宝塚歌劇団を退団してから多くの舞台作品や、日曜劇場『VIVANT』、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』など話題のドラマにも出演を重ねている珠城。さまざまな経験を経て、今回大阪・愛知公演の「アニヴァーサリーバージョン」(役のイメージに合った衣裳を着てコンサート形式で上演)にて再びトートの曲を歌う珠城に、当時の思い出や今の想いについて聞いた。

今年7月に催されたモーリー・イェストン生誕80周年記念コンサートでも、2017年月組版『グランドホテル』で演じたフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵として「Roses at the Station」を歌った珠城。男爵の心情がまざまざと浮かび上がって好評だった。
「コンサートは男役のメイクや扮装をしているわけではないので、芝居という意味では80%くらいではあるのですが、『でも濃度は100%です』という気持ちで挑んでいました。やっぱり過去にあれだけ長期の公演をしていると、自分の中に男爵が息づいているというか、ちゃんと残っているんだなというのは改めて感じました」と珠城は言う。

メイクや扮装は無しで、役に合った衣裳で歌うという意味では、今回の『エリザベート ガラ・コンサート』も同様。だが今回は通しで楽曲を歌うというから、より“濃度”は高まりそうだ。一方、当時の男役としての歌声と現在の歌声とでは、どんな違いがあるのだろうか。
「退団してから4年間ずっとボイストレーニングをしてきているので、声のポジションは男役の頃と変わってきています。私の声自体が変わるわけではないけれど、発声が変わったことで表現の幅も広がったように思うので、“楽器(声)”は変わらないけれど、鳴らし方と響き方が違うという感じ。だから今回も男役の声に戻して歌うのではなく、発見も楽しさも知ることができた、今の自分ならではの表現を大切に歌えたらいいですね」と話す珠城。

改めて7年前、トートを演じていた当時を思い出すと、「やっぱり楽曲の量がすごく多いですし、あれだけの内容を集中して演じ続けるというのは相当なプレッシャーでした」と振り返る。トートの役づくりについても苦労したという。
「歴代のトートを演じられた方を観ていて、もちろんかっこよくて力強くてというイメージはあったのですが、小池先生が『今回はトートとシシィ、そしてフランツの愛の物語として三角関係をちゃんと表現したい』とおっしゃったんです。そうなると、黄泉の帝王のトートとしてシシィを愛するって? とか、シシィへの執着は愛なのか何なのか? とか、本当に分からなくなってしまって」という。その答えは、稽古をしていく中で徐々に見つけていった。
「トートは強い“死”という存在で、だからシシィへのアプローチも普通の人間のような愛し方ができない。強めに出たりとか、おどしたりとか、シシィを愛しているのにそういうやり方しか知らないんですね。さらにトート自身はいつものアプローチでやっているはずなのに、彼女から返ってくる反応は思っていたものとは違っていて……だからトートは『何が違うんだろう』と思い続けて苦悩する。最終的には、自分が“死”という存在であることに、いわば“コンプレックス”のようなジレンマを抱くようになったのではないか、というところに行きつきました。小池先生からも『クールでいる必要はないよ』と言っていただいて、恋愛に対する苦悩の感情を出していいんだと腑に落ちたところで、稽古場でもすごくやりやすくなりましたね」と珠城トートならではの心情描写を明かす。

退団後の経験を経て、再び同じ役に挑むこと

宝塚を退団後に、在団中に演じた同じ役を歌い、演じる。こういったOG公演をファンが楽しみにしていることはもちろんだが、演者自身にとっての楽しみは? と問うと、「今の自分で、また新しい形で挑戦できること」という答えが返ってきた。
「当時は色々もがきながらも精一杯向き合って、本当に大切に作っていた作品。あの頃苦労した分改めて向き合うのが怖い気もするのですが、やっぱり思い入れの深い作品だからこそ、また挑みたいという気持ちがあります」という珠城。
「退団後の4年間で学んだことがたくさんあって、それは技術的なこともですけど、人としても本当に学ぶことが多かったんですね。ありがたいことにどの現場でも素敵な方々とのいい出会いがあって、すごく今、自分自身がとてもポジティブというか、心が柔らかく、豊かな日々を送れているなと実感しています。そんな中で再びこの作品に向き合った時に、また違う表現の幅や余白というものが出てくるんじゃないかと。今回初めてご一緒する方もたくさんいらっしゃるので、皆様からいろんな“ボール”をもらいながら、いい“キャッチボール”ができたらいいなとワクワクしています。ぜひたくさんのお客様にご覧いただいて、楽しんでいただけたら嬉しいです!」と、最後まで笑顔で語ってくれた。

取材・文/藤野さくら
撮影/荒川 潤

〈公演情報〉
阪急阪神不動産presents 『エリザベート TAKARAZUKA 30th スペシャル・ガラ・コンサート』

〈東京公演〉
日程:2026年2月6日(金)~20日(金)
会場:東京国際フォーラム ホールC

〈大阪公演〉
日程:2026年2月28日(土)~3月15日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール

〈愛知公演〉
日程:2026年3月23日(月)~3月25日(水)
会場:御園座

※珠城りょうの出演は大阪・愛知公演のみ

チケットURL
https://w.pia.jp/t/elisabeth-takarazuka/

公演オフィシャルサイト
https://www.umegei.com/elisabethgala30/

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