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稲垣吾郎が挑む“愛されたい偏屈男”の魅力とは? 舞台『プレゼント・ラフター』でスター俳優役

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稲垣吾郎 (撮影:You Ishii)

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稲垣吾郎主演の舞台『プレゼント・ラフター』が2026年2月より、東京・PARCO劇場をはじめ、京都、広島、福岡、仙台にて上演される。ウィットにとんだ作風で数々のヒット作を生み出した英国の劇作家ノエル・カワード作で1942年の初演以来、80年以上にわたり愛されてきた本作。稲垣が演じるのは、魅力的だが偏屈で大人げないところのあるスター俳優・ギャリーで、彼の邸宅に次々と個性的な訪問客が訪れるというラブコメディ。2025年は舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』で父親になったハリー・ポッターを演じた稲垣が、年明け早々、大人のラブコメディをどのように見せてくれるのか?

「プライベートでも役を演じちゃうみたいなところ、わからなくもないです」

――最初に戯曲を読んだときの印象は?

本当によく80年前にこんな作品を書いて、上演していたなと思いました。すごいですよね。書かれたのは1939年で、戦争中ですよね。そういう時代だからこそ、こういうコメディが必要とされていたのかもしれないし、当時の人がどんな思いでこういう作品を見ていたのかな?と気になります。でも、昔もいまも変わっていないのかなとも思います。

辛辣かつコミカルで、こういうものをやりたいなという思いもありました。半年くらい、ずっと「ハリー・ポッター」をやっていたので、(異なるタイプの作品で)また気分も変わるかなと思います。舞台はすごく好きですし、久々のPARCO劇場というのもありますし、いまは楽しみでワクワクしています。

――具体的に作品の面白さを感じた部分は?

うまく言えないですけど、ひとつのシチュエーションで人が入れ替わり立ち替わり入ってきて……というシチュエーションコメディの部分ですかね。以前、やらせてもらった『ヴィーナス・イン・ファー』(2013)もそうで、あれはすごく面白かった。二人芝居ですけど、僕が演出家の役で、オーディション会場に女優が入ってきて……というやりとりが繰り広げられ、徐々にパワーバランスが変わっていく。展開がスピーディな会話劇でね。「ハリー・ポッター」は大エンタテインメントでしたけど、こういうシンプルな会話劇っていうのもやりたいなと思っていました。だからすごく楽しみです。(共演の)俳優さんも初めての方が多いですし、ウィットに飛んだラブコメで、合ってそうですよね、僕に(笑)。僕がプロデューサーだったら僕にやらせますよ(笑)。あと、俳優を演じるって面白いですよね。自意識の塊な気分屋で神経質で、プライベートでも役を演じちゃうみたいなところも、俳優としてわからなくもないです。

――ギャリーという役に自身と似た雰囲気を感じる?

なんだろうな……? 俳優っていうのはもちろんなんですけど、どこか偏屈なところもあって、孤独でいたいんだけど、寂しがり屋みたいなところもあったりして、人にいい顔しちゃう人たらしなところとか(笑)。ラブコメディということでラブの部分もあるけども、これは色恋ものというよりも、この人は自分がモテていたいみたいな感じですもんね。それはわからなくはないなと思ったり……(笑)。

有名人ならではの孤独みたいな部分は、僕自身はそんなに感じたりはしないですけど、見る人がそれを僕に投影しやすい、見やすい設定ではありますよね。自分のことを語るのは難しいんですけども、パブリックイメージ的に合いそうじゃないですか? 稲垣吾郎と(笑)。

自分を客観的に見るのは面白い

――ギャリーは歳を重ねることへの恐れに振り回されるような部分もありますが、稲垣さん自身は年齢を重ねることや孤独に対して、どのような考え方をもって向き合っていますか?

誰でもね、やっぱり昨日の自分とは違うし、去年の自分とは違いますからね。歳を重ねたということに気づかされる瞬間ってあるじゃないですか。それを認めたくなかったり、認めざるをえなかったり……わからなくはないなと思いますよ。彼が言っていることは、俳優として。でも、逆らえないものは逆らえないし、ただ、そこで努力して、なるべく自分の理想を追い求めていく――「抗う」というよりも、常にそのときの自分のベストを追い求めて、理想的な自分に仕立て上げていくという努力はしなきゃいけないと思うし、自然体っていうのかな? つまらない言葉で言うと。それでいいのかなと思うんですけどね。

でも、孤独を抱えたりするからこそ、にじみ出る俳優の魅力もありますしね。幸せな人とか、何もかも満ち足りている人の演技なんて見たくないじゃないですか(笑)? 言い方が難しいですけど、そうやってちょっと渇いていないといけないなと思う自分もいたりします。彼の孤独みたいなものはわからないですけど……「アフリカ行くのイヤだ!」って駄々こねるのは面白いですよね。あれは僕っぽいですよね(笑)。わかります、言いそうですもんね。「言える人には言う」みたいな(笑)。人前ではポーカーフェイスだけど。わからなくはないし、人間味があふれていていいですよね。

――先ほど、ご自身でもギャリーという役が、稲垣吾郎のパブリックイメージと「合っている」とおっしゃっていましたが、舞台では偏屈で気難しい、ひねくれたところのある役柄をオファーされることが多いように思えます。こうした傾向について、ご自身はどう受け止めていますか?

多いですよね(笑)。でも、そうやって見えるんだろうなと思いつつ、こんなにシンプルな人間だから、嘘ついているみたいで申し訳ないなとか思ったりもします。そこまで思慮深くもないし、普通に眉毛が2センチぐらい上がっている感じで(楽しく)生きているようなところもあるのに、眉間にしわを寄せているような役が多いのでね。でも、口ではそう言っていても、そういうところもあるのかなと思ったり……(笑)。面白いですよね、自分を客観的に見るというのが。

まあ、演劇ってだいたい、主人公が苦悩するから面白いわけですからね、コメディだって悲劇だって。苦悩がちゃんと似合う人間でいないといけないのかなと思っていますけど。逆に、本当に考え過ぎてしまうようなナイーブで繊細な人間だったら、(こういう役は)できないかもしれないですよね。

――自分を客観視して楽しむような気持ちで?

そうそう。そういうところはありますね。どこか冷めた自分がいないといけないのかなと思ったりもするけど、でも熱くなって、無我夢中な人間に人は感動するもので、そういう俳優が評価されたりするので、だから自分はダメなんだなと思ったりもしますけど……(苦笑)。でも面白いですよね。そういう役が来る傾向があるとか、そういう役を「演じさせてみたい」と思われるって。いい子ぶるわけじゃないけど、そう思っていただけることが本当にありがたいし、それがないと始まらない仕事なので、「この役は稲垣さんをイメージしてたんです」とか、そういう言葉って本当に嬉しいです。

『ハリー・ポッターと呪いの子』を経て、2026年もお芝居中心の1年に

――そろそろ年の瀬ですが、振り返ってどんな1年でしたか?

今年は7月から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を4か月やったんですけど、準備も含めて半年以上かかりっきりだったので、やはりそれが今年の一番大きなトピックですね。本国のイギリスに行って、現地で舞台を見たり、原作を翻訳された松岡(佑子)先生にお会いしたり、本当に良い思い出になりましたし、終わってもまだ気になりますね。それくらい、やっぱり自分の中で大きな出来事でした。

あとはドラマ(カンテレ・フジテレビ系「僕達はまだその星の校則を知らない」)もあったし、レギュラーの番組やラジオもあり、新しい地図の3人でのファンミーティングもできて、本当に充実したあっという間の1年でしたね。

――ここ数年、年に1本くらいのペースで舞台があり、ドラマや映画にも出演されて、じっくりと役をつくり上げて、演技することを楽しんでいるように見えます。

そうですね。理想的な自分になれているというか、良いペースで仕事をさせてもらえているなと思います。舞台もそうですし、映像作品もバランスよくやらせていただいていますし、本当に充実した理想的な時間を過ごせています。来年は、まず年明けにこの『プレゼント・ラフター』があるので、しばらくは頭の中がこれ一色になると思いますし、それ以降はまだイメージがわかないですが、舞台ももちろん、映像作品もやりたいし、またお芝居中心の1年になっていくのかなと思います。

取材・文:黒豆直樹 撮影:You Ishii
スタイリスト:黒澤彰乃
ヘアメイク:金田順子


<公演情報>
PARCO PRODUCE 2026『プレゼント・ラフター』

作:ノエル・カワード
翻訳:徐賀世子
演出:小山ゆうな

出演:稲垣吾郎/倉科カナ 黒谷友香 桑原裕子 望月歩 金子岳憲 中谷優心 白河れい/浜田信也 広岡由里子

【東京公演】
2026年2月7日(土)〜28日(土)
会場:PARCO劇場

【京都公演】
2026年3月4日(水)〜8日(日)
会場:京都劇場

【広島公演】
2026年3月14日(土)・15日(日)
会場:JMSアステールプラザ 大ホール

【福岡公演】
2026年3月20日(金・祝)~22日(日)
会場:福岡市民ホール 中ホール

【仙台(宮城)公演】
2026年3月28日(土)・29日(日)
会場:電力ホール

関連リンク

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/presentlaughter/

公式サイト:
https://stage.parco.jp/program/presentlaughter/

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