呉美保「愛がきこえる」のチャン・イーシンを称賛「才能がふんだんに生かされた演技」
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「愛がきこえる」公開記念トークショーに登壇した呉美保(左)、奥浜レイラ(右)
耳の聞こえない父と、7歳の娘の絆を描く中国映画「愛がきこえる」の公開記念トークショーが本日1月10日に東京・新宿ピカデリーで開催。耳の聞こえない母と息子の関係を描いた映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」で知られる映画監督・呉美保と、日本手話を学び、ろう者の文化や手話について発信しているMC・ライターの奥浜レイラが登壇した。
シャー・モー(沙漠)が監督、EXOのメンバーであるレイことチャン・イーシン(張芸興)が主演を務める同作の物語は、父シャオマー(小馬)と娘ムームー(木木)の日々が、5年前に出ていったムームーの母の来訪によって軋み始めることから展開していく。チャン・イーシンがシャオマーを演じ、リー・ルオアン(李珞桉)がムームー役で映画デビューを果たした。
呉は「よかったですよね、映画……」と観客に語りかけるように挨拶。現代から過去に戻るシーンでワルツがかかることに触れ、「私は三拍子が大好きで……(笑)。『ああ、これ絶対いい物語だろう』と一気に引き込まれました」と振り返る。奥浜はオープニングに言及し、「20代のムームーが登場し『誰なんだろう?』と思うんだけど、話が進むにつれて『だからムームーはこの職業に就いたんだ』と明かされていく展開に感動しました。この映画の一番好きなところ」と紹介した。
呉はチャン・イーシンのEXOとしての活動についての知識がなかったそうで、「レイのインスタをものすごく見ましたよ。すごくかっこよくて!」と笑顔に。奥浜が「麻雀屋にいる実際のろうの方たちがエンドロールに出てきますよね。チャン・イーシンさんはあのコミュニティにいることにとてもなじんでいて、手話にもしっかり表れていると思いました」と切り出し、「口話や表情の使い方において、顔の表情や口の動き1つとっても手話の文法の中に組み込まれているんです。ただ勉強をしたというだけではなく、コミュニティの方たちとしっかりとコミュニケーションを取れていたからこそあの表現ができたと思う」と感嘆の声を上げると、呉はチャン・イーシンが聴力に優れていると話し、「発声として出るちょっとした喃語とか、形態模写の究極な部分で才能がふんだんに生かされた演技だと思いました」と語った。
劇中では、聴者とろう者の仲介をする人物が話を曲げてしまうシーンも。呉は「ぼくが生きてる、ふたつの世界」での経験を挙げ、「手話と口話のように言語が違うと、コミュニケーションの中で思うように伝わらないこともあって……。もちろん誰にも悪意なんてないんです。だから誠心誠意伝えるための時間をたくさんほしいと助監督チームにお願いしたり」と回想。奥浜も「手話というのは独立した1つの言語」と伝え、「ろう者の方と話をすると『自分は日本手話が第1言語で日本語が第2言語』だという方もいます。つまり手話とは日本語を置き換えたものではない。私たちが思う英語やタイ語、ベトナム語といった言語と同じと捉えると、そういうことは必ず発生するものなのかなと思います」と指摘した。
リー・ルオアンに話題が移ると、2025年公開作「ふつうの子ども」で子役を演出した呉は「子役の中で一番大事なことは、現場でのタフさ、集中力」だと明かし、「でも完璧な子供はなかなかいないし、いても面白くない。それが私がいつもチャレンジする部分なんです。シャー・モー監督は彼女のみずみずしくて最高に素敵な表情をたくさん切り取ってこの映画に詰め込んだと思います」と称賛する。加えてシャオマーとムームーの空港での別れのシーンに関して「窓越しであえて2人を並走させる。あのシーンはのどが痛くなるほどの嗚咽をしながら観ていた」と言葉を紡ぐと、奥浜も「“障害”という言葉を作っているのは社会のほう。“手話を使って会話をしているろう者”に過ぎないのに、壁は誰が作ってるんだろう?と感じた」とコメント。呉は「あのガラスが、社会における“人の目”というフィルターのようにも見えました」と付け加えた。
「愛がきこえる」は、全国で上映中。
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