小林一茶の俳句がミュージカルに! 海宝直人、岡宮来夢らが圧巻の歌声を響かせるミュージカル『ISSA in Paris』が開幕!!
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(左から)藤田俊太郎、潤花、海宝直人、豊原江理佳、岡宮来夢
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すべて見る『ナイン、タイタニック』でトニー賞(最優秀作詞作曲賞)を2度にわたり受賞した、ミュージカル界の巨匠モーリー・イェストンが原案・作詞・作曲を務める完全オリジナルミュージカルの世界初演、『ISSA in Paris』。開幕を前日に控えた1月9日(金)、関係者向けのゲネプロが行われ、海宝直人、岡宮来夢、潤花、豊原江理佳、演出の藤田俊太郎が会見に臨んだ。
日本文学に造詣の深いイェストンが俳人・小林一茶に感銘を受け、創作された本作。脚本・訳詞をディズニー映画『アナと雪の女王』、『塔の上のラプンツェル』の訳詞を担当した高橋知伽江が務め、『ナイン』で第28回読売演劇大賞最優秀演出家賞と第42回松尾芸能賞優秀賞演劇部門を受賞し、イェストンの信頼も厚い藤田が演出を担当する。
江戸時代の俳人・小林一茶が鎖国中の日本を飛び出し革命前夜のパリを訪れていたという“仮説”をベースに、現代に生きる悩めるミュージシャンの青年(海宝)とパリの一茶(岡宮)の物語が、時空を超えて交錯していく。
「露の世は 露の世ながら さりながら」――。一茶が愛する我が子を失った哀しみを詠んだ句であり、イェストンが最も感銘を受けたというこの句が最初に読まれ、海宝が演じる主人公でシンガーソングライターの海人(かいと)が、英訳した一茶の句を歌詞に取り入れたモダンジャズ調のポップな楽曲「TALK TALK TOKYO」をスタイリッシュに歌い上げ、物語は幕を開ける。レーザービームを駆使した演出を含め、オープニングから、ミュージカルというよりは、人気アーティストのライブといった様相を呈する。

この「TALK TALK TOKYO」という曲は、海人にとって、これまでで唯一バズった楽曲なのだが、海人の母親・絹子(彩吹真央と藤咲みどりのWキャスト)が著名な一茶の研究者であるがゆえ、周囲からは「親の七光り」、「話題先行」などと心ない言葉を投げかけられ、海人は曲が書けなくなってしまったのだった。
海人が子どもの頃から、絹子は一茶の研究に熱中しており、海人は母に対して複雑な感情を抱いていた。ここ数年、母と息子の関係は良いとは言えなかったが、そんな中、絹子が研究のために訪れていたパリで亡くなったという知らせを受け、海人はパリに向かう。
一方、一茶が生きた時代(18世紀)のパートは、絹子が海人に書き遺した一茶に関する研究レポート中の“仮説”として、海人がその原稿を読み進める形で進行していく。幼少期から才能の片鱗を見せていた一茶(本名は弥太郎)。奉公先の江戸でも俳句を志すが、貧しさゆえに高名な俳人の弟子になることはかなわず、新たな刺激を得られる環境として異国に憧れを抱くようになる。当時、日本は鎖国中だったが、一茶は長崎に出入りするオランダ商船に潜り込み、革命前夜のパリへとたどり着く。そこで女優のテレーズと運命的な出会いを果たすが、彼女は実は陰で革命運動に身を投じており、一茶もこの動乱と変革に巻き込まれていく……。
海人はパリで、フランス人の父と日本人の母を持つ現地ガイドにして振付師の女性で、生前の母を知るルイーズ(潤花)に出会う。彼女からパリでの母の様子を聞き、母が海人に託したという原稿を通してパリの時代に生きる一茶の姿に触れ、大切な人を失った哀しみや自分自身と向き合っていくことになる。
まず、特筆されるのは冒頭の「TALK TALK TOKYO」をはじめ、一茶の俳句にインスピレーションを受け、その概念を巧みに取り込んだイェストンによる、ジャンルを横断した多彩な楽曲の素晴らしさ。日本語オリジナルのミュージカルの強み、そして一茶の情緒あふれる俳句の魅力を最大限に活かして、あますところなく歌詞にメッセージを乗せて海宝、岡宮らキャスト陣が圧巻の歌声を披露し、観る者の心を揺さぶる。
加えて、現代の東京とパリ、どこか人情喜劇のムードを漂わせる江戸の町並に長崎の遊郭、さらに悲愴感さえ感じさせる革命前夜の不穏な空気のパリとシーンごとに同じ作品とは思えないほどガラリとセットも雰囲気も変わる構成で楽しませてくれる。
テーマ性の入れ込み方にも、演出の藤田の手腕が光る。“インビジブルマイノリティ(見えない少数派)”としてフランス社会で生きてきたアジア系フランス人のルイーズが、日本のルーツを活かしたオリジナリティあふれるダンスパフォーマンスを追求し、差別に沈黙するのではなく“声”をあげようとする姿や、現代の若者たちが年金制度の改革や差別への反対のために連帯し、デモを行なう様子など、18世紀の革命の描写とリンクさせながら現代の社会を巧みに描き出す。
喪失からの再生、“言葉“の持つ可能性、自分の居場所はどこなのか?
そんな普遍性を持ったテーマをいくつも散りばめつつ、日本とフランス、18世紀と現代――時代も場所も超えて、歌とダンスと物語で心を震わせる壮大なエンターテイメントに仕上がっている。
初演を前に演出の藤田は、ゼロからオリジナルミュージカルをつくり上げてきた2か月の制作期間をふり返り「一日一日、一瞬一瞬が、驚きと発見と成長にあふれている日々を過ごしてきました。愛おしいこのカンパニーで一丸となってつくり上げました」と充実した表情を見せる。
物語については「いろんな時代のいろんな場所の人たちがおりますが、共通しているのは抗ったり、戦ったり、格差の中で生きようと必死になっている民衆の姿です。抗いながら懸命に生きようとする人々の姿を、海人、そして一茶が見たときに、どんな価値観に出会えるのか?
ということが大きな主題です。お客様にはおひとり、おひとりにとってのひとつの言葉、大事な言葉を思い出していただき、素晴らしい音楽、思わず口ずさみたくなるような楽しい歌をこの劇場から持ち帰っていただけたらと思っております」と呼びかけた
海宝も「新作をつくっていくというのは大変な作業でもありますが、カンパニーの団結力がすごく強まったというのは感じます。藤田さんの導きの下で、その世界をどうやって具現化して、魅力的につくっていくのか?
本当にみんなでいろんなことを考え、ディスカッションをして、できる限りアイディアを出し合いながら、藤田さんのビジョンを実現していくという作業をしてきました。得難い時間だったと思います」と感慨深げに語る。
潤も「一生忘れられない時間になりました。オリジナルということで自由でありながら、自由の難しさを痛感しました。人と人が直にぶつかり、向き合うことが減ってきている中、このカンパニーのみなさんと稽古してきた今日までの時間は、心で会話して、作品のためにひとつの方向に向けているのを肌で感じていますし、明日からの時間も忘れらえない日々になると思っています」とうなずき、岡宮は音楽面の素晴らしさについて「M1で『来てよかった!』と思える作品になっています」と自信と手応えをのぞかせる。
豊原は「すべてのキャラクターに、その俳優さんらしさが詰まっていて、それが魅力だと思いますし、何回もやりたいですね!」と今後も繰り返し上演される作品に成長していくことへの期待を口にした。
日本代表する文化として世界中で多くの人を魅了する俳句から導かれた、ミュージカルファンはもちろん、俳句を愛好する人たちの心を揺さぶる日本オリジナルミュージカル『ISSA in Paris』は1月30日(金)まで東京・日生劇場、2月7日(土)〜15日(日)に大阪・梅田芸術劇場メインホール、2月21日(土)~25日(水)に愛知・御園座で上演。

<公演情報>
ミュージカル『ISSA in Paris』
〈東京公演〉
日程:2026年1月10日(土)~1月30日(金)
会場:日生劇場
〈大阪公演〉
日程:2026年2月7日(土)~2月15日(日)
会場:梅田芸術劇場メインホール
〈愛知公演〉
日程:2026年2月21日(土)~25日(水)
会場:御園座
[原案・作詞・作曲] モーリー・イェストン
[脚本・訳詞] 高橋知伽江
[演出] 藤田俊太郎
[振付] ジュリア・チェン
[出演] 海宝直人 岡宮来夢
潤 花 豊原江理佳
中河内雅貴・染谷洸太(Wキャスト)
彩吹真央・藤咲みどり(Wキャスト)
内田未来 阿部 裕 他
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/issa-in-paris/
公演オフィシャルサイト:
https://www.umegei.com/issa2026/
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