福岡から話題作を発信し続けるガラパが、20周年公演で福岡凱旋
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すべて見る福岡を拠点に活動する劇団「万能グローブ ガラパゴスダイナモス(通称・ガラパ)」が、20周年記念公演を前に福岡でプレビュー公演を実施。初回の公演直後、作・演出の川口大樹に本作への想いや公演への抱負を聞いた。
『西のメリーゴーランド』は、約10年前に初演された彼らの代表作のひとつ。祖父の通夜で集まった家族や近親者たちが、いきなり「生まれ変わりの斡旋」を謳う業者から契約を迫られる…という、奇想天外なSFワンシチュエーション・コメディだ。
当初、20周年記念公演は別の新作で進めていたそうだが、情報リリースのわずか1週間前に、川口の希望で急きょ変更。記念すべき節目の記念公演に本作の再演を選んだのは、2025年春に松居大悟(ゴジゲン)や小山田壮平とコラボした福岡発の演劇『見上げんな!』で初めてガラパを知った観客に“これぞガラパ”という作品を観てほしかったからだそう。本公演に込めた思いや作品の魅力について、川口は次のように語る。
「『西のメリーゴーランド』は、個人的にもお気に入りで、ずっと再演の機会を伺っていました。旗揚げ時から好きでやってきた家モノのワンシチュエーション・コメディ。そこに初めてSF的要素を加えてみたことで押し入れやクローゼットといった意外な場所から人が現れたりペットボトルが勝手に倒れたりと、ガラパならではの“訳のわからないおもしろさ”や“舞台装置のアトラクション性”が際立つ作品になりました。初演から10年経ちますが、家族の関係性や親子のすれ違いというテーマは普遍的。今回の公演にあたっては初演時の無駄な部分を削ってブラッシュアップし、その分、親子や家族の物語というドラマ部分を丁寧に描くことを意識しました。昔は『ひたすらドタバタが起きて、最後は伏線を回収し、笑いが取れればいい』と思っていましたが、この歳になってやっとドラマを楽しめるようになってきたのかも (笑)。今でも好きなものや、やりたいことは基本的に変わりませんが、これまでのガラパの笑いに、いろんな層を重ねられるようになったのが、20年を迎えた劇団と自分の成長かもしれません」。

大好きな作家・星新一の影響も大きいというSF的要素のおかげで、リビングはいきなり何が起こってもおかしくない異次元ボックスに変身! 一見、“あるある”な通夜の風景が、登場人物たちの人間模様と人生と魂がこんがらがり合うファンタジー・コメディへと転じていく。
主役のひとりである母子家庭の母親・西崎今宵役を演じるのは、こちらも福岡を拠点に活躍中の原岡梨絵子。「ドラマはもちろん、コメディも上手い!」と川口が絶大な信頼を寄せるのも納得の存在感で、芝居をぐいぐいひっぱっていく。そしておそらく観客の誰もがつい感情移入して応援したくなるのが、シングルマザーの彼女に思いを寄せる年下の青年(青野大輔が大好演!)。彼の身に起こる思いもよらない展開には爆笑必至だ。
前半、テンポのいい怒涛のドタバタコメディにお腹を抱えて笑っていたら、後半は登場人物たちのドラマに自分と自分の家族との関係を重ね、しっかり泣かされてしまう『西のメリーゴーランド』。これがガラパの代表作といわれる所以がよく分かる。

初演の時、「演劇を観たというより、遊園地のアトラクションを体験したようだった」という観客からの感想が嬉しかったという川口。いたるところから人が飛び出すびっくり箱のような舞台自体が、ストーリーを展開させていく重要な要素になっている。「遠近法を強調した斜めのラインや、アシンメトリーといったいびつな部屋で、時間や空間のゆがみを表現している」という舞台装置は、初演よりさらにパワーアップ。2025年12月に行われたプレビュー公演と東京公演を経て、よりブラッシュアップされていくそうだ。
この舞台の裏側や、公演を観たら絶対に知りたくなるペットボトルのシーンの種明かしは、ぜひアフターイベントの『生コメンタリー』や『舞台上おじゃましますツアー』(有料)で直接確かめていただきたい。20周年を迎え、ますます脂がのった“ガラパ・スタイル”の代表作を、この機会にぜひお見逃しなく!
万能グローブ ガラパゴスダイナモス 20周年記念公演
第34回公演 『西のメリーゴーランド』
■チケット情報
https://w.pia.jp/t/nishimeri/
2月10日(火)~15日(日)
福岡市美術館 ミュージアムホール
アフターイベント
◆ 舞台上おじゃましますツアー ※有料 ※要参加券
2月11日(水・祝)13:00、13日(金)13:00、14日(土)13:00
◆ 生コメンタリー
2月11日(水・祝)18:00、14日(土)18:00
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