『緊急取調室 THE FINAL』天海祐希、佐々木蔵之介インタビュー。「今回は私たちの総決算です」
映画
ニュース
(左より)佐々木蔵之介、天海祐希 撮影:源賀津己
続きを読むフォトギャラリー(8件)
すべて見る天海祐希が主演を務める『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』が公開されている。本作は約12年にわたって続いた人気ドラマの劇場版にして最終作だが、シリーズを観てこなかった観客もじっくりと楽しめる内容で、緊迫感のある展開と観賞後にも考えを巡らせたくなるテーマ設定、そして心に響く人間ドラマが描かれる。
長年にわたって積み上げてきたチームワークと経験はいかにして映画に生かされたのか? そして本シリーズの特徴はどこにあるのか? 主演の天海と、本作で重要な役割を果たす謎の男・森下を演じた佐々木蔵之介に話を聞いた。
『緊急取調室』シリーズは、2014年に始まった人気シリーズ。天海演じる刑事、真壁有希子ら警視庁捜査一課 緊急事案対応取調班(通称・キントリ)のメンバーが毎回、容疑者と対峙するドラマが描かれる。先ごろまで放送されていたシーズン5に続いて公開になった劇場版はシリーズの完結編にして最大の事件が描かれる。
“キントリ”シリーズはファンから絶大な人気を誇っており、現在もファンを増やし続けているが、12年の長い歴史の中には出演者のご逝去や、劇場版の公開延期など、数々の出来事があった。しかし出演者、スタッフは劇中の登場人物たち同様、トラブルや危機に見舞われても引くことなく、立ち向かってきた。

天海 このような形で映画が公開できたのも、スタッフも含め、周囲の方が力を貸してくださったからだと思っています。これまでも「これはもうできないですね」と言われてしまったら、シリーズは終わっていたと思うんです。でも、何か起こるたびにみなさんが尽力してくださって、キャスト、スタッフ、関係者のみなさんで同じ方向を向くことができた。ですから、こうして映画が公開されて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。作品はファンのみなさん、スタッフのみなさんの想いや力があって成り立つものですから、私たちキャストもその想いにさらに心を動かされましたね。
佐々木 このような作品に参加させてもらうと改めてですけど「映画が1本できるというのは“奇跡”なんだな」と思います。こうして映画が完成して、普通にお話させてもらってますけど、映画1本つくるのってやっぱり“奇跡”なんですよね。このシリーズも最初から12年やろうと思っていたわけじゃないと思うんです。1年ずつ、1作ずつ積み重ねて、ここに至っている。すごく強い想いが積み重なってこの場ができている、と感じました。そんな現場に立ちあわせていただけたことが何よりも嬉しかったです。
おふたりが語る通り、本作は、これまでのシリーズで積みあげてきた想いと空気感、関係性が濃密に感じられる映画になっている。“キントリ”メンバーが同じテーブルに座って絶妙なトーンとテンポで会話を繰り広げる。その空気感とチームの一体感は、どれだけの予算を投じても、最新技術を駆使しても得られるものではない。12年の時間をかけてスタッフ、キャストが生み出したものだ。

佐々木 みなさんが揃って廊下を歩くだけのシーンでも「ああ、やっぱり積み重ねてきたことで出来上がってるんだな」と思ったんですよね。みなさんは別にただ歩いているだけで、特別に気合いを入れているわけでもないと思うんですけど(笑)、完成した画を観ると「ああ、時間を積み重ねてきたことで、この画になるんだ」と。その空気感は撮影中にも感じることができました。
天海 私が主役で自分で捜査をして証拠を集めて取調べをするなら『刑事・真壁有希子』になりますけど、この作品は『緊急取調室』ですから、最初のシーズンからチームで動いていきたいと思っていました。いろんな役割のメンバーがいて、凸凹とした人たちが集まって、最後に被疑者に立ち向かうのがこの作品の最も素敵なところですから、私は良い意味で“出過ぎない”ことを心がけていました。みなさんがそれぞれに得意分野を発揮して情報を集めて、最後に私がみなさんからのバトンを受け取ってチームで取調べをするんです。
最初はみんな本当に手探りでした。物語の多くの時間が取調室の中で進んでいきますから、撮るにしてもどうやってバリエーションのある画面にするのかスタッフの方は大変だったと思いますし、私たちも取調室にメインとサブの部屋がある中でどうやってメンバーが連携していくのか? アイコンタクトなのか、何かサインのようなものをつくるのか? 本当に少しずつ積み重ねていって現在の形になっていった。12年かけて「緊急事案対応取調班」をつくっていたと思っています。
「私は招かれて、もてなされている感じですよね(笑)」
天海が語る通り、本作のタイトルは“刑事”でも“捜査班”でもなく“取調室”だ。つまり、主人公たちは相手を“迎え入れる”ことになる。
天海 このチームはみなさんがいて、真壁有希子がいて、それぞれに役割がある。だからこそ、ゲストの方が演技しやすい状況をつくりたい、と思ってやってきました。私たちが受け止めますから存分にやってください、という気持ちでゲストの方をお迎えしていたところはあります。
佐々木 天海さんは「この作品はゲストの方々で成り立っているんです」とまで言ってくれるんです。もうみなさんご存知だと思いますけど、“キントリ”チームはとにかく芝居ができる方たちなんですよ。そういう方たちが揃っていて、天海さんが適材適所に人を配置してくれて、ゲストがいい芝居ができる状況をつくってくれる。だから私は招かれて、もてなされている感じですよね(笑)。取調室でみなさんにもてなしていただいて、みなさんから健康の話を聞き、しょうもない話をずっとして(笑)、楽しく笑いながら過ごして、本番になるとみんながしっかりとやる。そんな現場でしたね。
天海 これまでは若い俳優さんがゲストに来てくださることもありましたから、そういう方にいかに演じてもらえるか、その方の魅力を引き出せるにはどうすればいいのか? は色々と考えてきました。最初はお互いに緊張しますから、どうすればお互いに遠慮せずにぶつかれるかが大事になるんです。今回は私たちの総決算です。そんなタイミングで佐々木さん、石丸(幹二)さんという強力な出演者の方に出ていただけたことは本当にありがたいと思っています。

本作で真壁ら“キントリ”チームが立ち向かうのは、国家を揺るがすかもしれない事件だ。ある日、日本に大型台風が連続で上陸し、内閣総理大臣の長内(石丸幹二)は災害対策会議に10分遅れて到着する。その後、総理の“空白の10分”を糾弾し、彼を襲撃する謎の男、森下(佐々木蔵之介)が出現する。真壁らは取調室で森下と対峙するが、森下は動機を語らず「総理大臣を連れてこい」と繰り返し要求する。
森下と“キントリ”チームの対峙は単なる“自白を引き出すための駆け引き”ではなく、それぞれが信念を持ち、相手を動かそうと画策するスリリングな場面だ。
天海 森下はただ黙っている、喋らない被疑者ではなく、そこには何かある。真壁たちはこれまでにいろんな被疑者と向き合ってきていますから、ここには何かあると感じるんですよね。それをどのように解いていくのか? どうすればいいんだ? と思いながら少しずつ追い詰めていくんですけど、同時に私たちが森下に誘導されてもいるんです。
佐々木 どちらも演技していて、こちらも芝居をしかけて、向こうもわかった上でさらに芝居をしかけてくる。
天海 お互いにうまく誘導しているようで、実は誘導されていることもあるんです。
「この作品は、正義と正義がぶつかり合う深いドラマ」
相手から自白や真相を聞き出すだけでなく、取調べを通じて、“キントリ”チームも被疑者も心が動き、時に動揺し、自問自答し、当初は想像しなかった境地にたどり着く。“人間の心が動く瞬間”を描くのが本作の醍醐味だ。
天海 そうですね。シリーズの最初の頃は真壁もまだ未熟でしたから、とにかく相手にぶつかって動かしていくしかなかったと思うんですけど、経験を積んでいく中で相手の気持ちに寄り添いながら、「追い詰めるならここだ」というタイミングを見つけていく。(ドラマの)シーズン5は特にそういう側面が強かったと思いますし、この作品は”刑事もの”ではあるんですけど、本当の意味での人間ドラマ、人と人が向き合うドラマ、正義と正義がぶつかり合う深いドラマだと思っています。
佐々木 だから真壁と森下は取調室で対峙はしているんですけど、森下にはどこかで“真壁を信頼している”部分があると思うんです。信頼しているからこそ、この人に自分の話を聞いてもらいたい、自分の思いを託したい、ということです。

通常のドラマでは刑事と被疑者は言い方は乱暴だが“敵対関係”にある。しかし、本シリーズでは刑事と被疑者は激しく衝突し、それぞれが変化し、ある種の信頼関係を築いていく。シリーズの総決算となる本作で真壁たちは森下という謎の男との対峙を経て、内閣総理大臣と対峙することになる。
“空白の10分”から始まったこの事件に隠されたドラマとは? 総理は何を隠しているのか? いや、総理の心は取調室の中でどう動き、最後にどんな境地にたどり着くのか? 単なる”事件の真相”を超えた深い人間ドラマが劇場版でも待ち受けている。
天海 私たちは被疑者を追い詰めてはいるんですけど、最終的には被疑者の想いを知って、ケースによってはその想いを遂げたいと思っている。なぜ被疑者は黙秘しているんだろう? この人は何を隠しているんだろう? というところから始まって、被疑者の想いに少しずつ触れていくんです。
蔵ちゃんとは本当に長い付き合いですし、お仕事させていただいたことも多いですから、どういう芝居をしても受け止めてくださる、という信頼があるんです。「こういう役だから」なんて話さなくても、お互いが持ってきたものをぶつけ合えば上手くいくと思っていました。だから本当にありがたかったです。

<作品情報>
『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』
公開中
公式サイト:
https://kintori-movie.jp/
(C)2025劇場版「緊急取調室 THE FINAL」製作委員会
撮影:源賀津己
フォトギャラリー(8件)
すべて見る
