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加藤敬二と横山清崇、ミュージカル『夢から醒めた夢』の魅力を語る!

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(左から)横山清崇、加藤敬二

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浅利演出事務所によるミュージカル『夢から醒めた夢』が2026年4月24日(金)から5月17日(日)まで東京・自由劇場で上演される。
1987年に劇団四季で初演された本作は、赤川次郎の同名小説を原作に、浅利慶太が企画・構成・オリジナル演出を手がけた作品。今回の2026年再演版では野村玲子が演出を担い、ヤクザ役を加藤敬二、部長役を横山清崇が務める。今回、加藤と横山に本作にかける想いや、2018年に亡くなった浅利の思い出などを聞いた。

「てめえのことばっかし考えやがって」が胸に刺さる

――本作に出演することへの意気込みを教えてください。

横山清崇(以下、横山) 『夢から醒めた夢』は、僕が劇団四季に入団する前から観てきた作品ですし、観る前からCDを買って「どんな作品なんだろうな」と思いながら、曲ばかり聴いていた時期もあるほど思い入れがある作品です。 観客として拝見したときの感動が強く残っています。浅利(慶太)先生の理念といいますか、心に真っ直ぐ訴えかける作品に込められたメッセージに本当に感銘を受けました。
ずっと憧れていた作品ですが、在団中は直接関わることがなかったので、まさかこのタイミングで、しかも部長役というお役をいただけて、これこそ夢みたいなお話だなと感じています。浅利先生はじめ、先輩方がずっと大事にされてきた作品ですから精一杯やらせていただきます。

加藤敬二(以下、加藤) 僕はこの作品に振付として関わっていたこともありますが、浅利演出事務所の2021年公演からヤクザ役として舞台に立たせていただいています。
『夢から醒めた夢』は、友情や愛情という人間の心の一番温かいところを全面にお届けするからこそ、お客様も感動で胸がいっぱいのまま劇場を後にされるのだと思います。浅利先生も「ブロードウェイに持っていきたい」と思われていたほど大切にされていましたし、キヨ(※横山さんの愛称)もお話ししたように、劇団四季時代、俳優にとっても憧れの作品だったので、出演が叶ったときは嬉しかったですね。
本番が終わると本当に夢から醒めたような感覚になるんです。また夢の日々が始まると思うとワクワクします。(暴走族役の)近藤(真行)くんとは3回目ですが、キヨとは2006年の『コーラスライン』以来の共演。キヨが部長役と聞いただけで、どんな感じになるんだろうと楽しみでたまりません。

横山 ハードルが上がっています(笑)

加藤 いや、キヨの部長は絶対面白いですよ!

――おふたりとも「憧れ」というキーワードを仰いました。なぜこの作品に憧れるのでしょう? なぜ39年にわたり愛され続けている作品なのでしょう?

横山 やっぱり、「愛」の尊さが作品全体に満ち溢れているからではないでしょうか? デビルが事あるごとに言う「てめえのことばっかし考えやがって」というセリフですが、すごくいいところを突いていると思うんです。
どんな人でもどうしても嫌な感情を抱いてしまうものですし、世の中はそんな綺麗ごとだけでは済まされない。それが、あのセリフにぎゅっと集約されている気がします。でも一方で、誰しも「愛」というものを純粋に信じたい気持ちも心の中に持っているものだと思います。
生きていれば反省したり、自己嫌悪に陥ることもあるけど、『夢から醒めた夢』のような作品をご覧になれば、「まだまだ人生捨てたもんじゃないな」とか「明日からも頑張らなきゃ」という気持ちになれます。これは浅利先生が演劇の効果としていつも考えていらしたことだと思います。だからこれほど愛されているのかなと感じています。

加藤 キヨの言うとおりです。昔も今も、ついつい自分のことばかり先行してしまいますが、自分よりも、自分の目の前の相手を大切にすること。浅利先生がよく「人生は素晴らしい、生きるに値する」と仰っていましたが、この作品を観ると、今まで忘れていたものや気づかなかったことが蘇るんです。それは子どもでも年齢を重ねた方でも同じ。だからいろいろな方に長く愛されるのだと思います。

浅利慶太さんに想いを寄せて

――加藤さんは主人公ピコが霊界空港で出会うヤクザ役、横山さんは同じく部長役を演じられます。役に対して共感するところなどはありますか。

加藤 僕の中で、ヤクザ役と言えば、初演からこの役をずっと演じてきた同期の俳優で、彼のイメージが強いんです。だから、いざ自分がヤクザ役をやるとなった時、どういう風に進められるだろうと悩みましたが、そこでよく浅利先生に言われたことを思い出したんです。「役を作るのではなく、自分が生きるんだ」と。
僕の演じるヤクザは、凄みもなく、軽いチンピラ風だけど、情に厚い。それは僕が田舎育ちで、実際にヤンチャな人もいろいろ見てきて、彼らも普通の人間だということを分かっていたからなんです。そんな僕の体験が役作りに生きていると思いますし、大切にしていきたい“らしさ”ですね。

横山 僕も色々な先輩方の部長役を拝見してきたので、それぞれの方の印象が強く残っています。皆さんのお芝居を敬意をこめて心に思いつつも、今、あらためて部長という人物について一から考えているところです。
まず部長の名前を考えてあげるところから始めて(部長には名前がない)、どういう人生を歩んだのかなと想像しています。台本に書かれているヒントから亡くなったのはおそらく50代半ばだろうということは推測できるのですが、具体的にいつ生まれたのかということは明言されていません。僕の父がちょうど団塊の世代で、僕自身はいわゆる就職氷河期世代なんです。どの世代も、生きていた「時代」の影響を受けていると思っています。きっと部長もある「時代」の中に巻き込まれて生きてきた人なんだろうな、だとしたら、どんな時代だったんだろうな? とか想像したりしています。自分の生きていた時代と共通するものがあれば、まったく想像がつかない部分もあるはずで、それを考えるのは面白いです。

――浅利先生との思い出は尽きないと思いますが、霊界空港で会うとしたら、どんな会話をしたいですか?

横山 今、振り返ってみても本当にありがたい経験をさせていただいていたなと思うのですが、僕は俳優というポジションで劇団に入団しましたが、3年目ぐらいから先生のアシスタントをさせていただく機会が多くなりました。
とあるお芝居の稽古のときに、「君たちはどうして自分のセリフの部分しか見ないんだ。自分のセリフしか考えていないから、芝居がでこぼこしてしまうんだ」という趣旨のお話をなさっているのを横で聞いていました。「演じる者も、常に脚本全体をフラットに見なければならない」という教訓だと感じ、今でも心に刻んでいます。
また、「今、演出の勉強をしておくことは、将来お前が役者をやるときに役に立つから」と直接お話くださったこともあります。先生が仰られたことの本当の意味合いを、まだ理解しきれていないとは思うのですが、ずっとその言葉を胸にこれまで過ごしてきました。ですから、もし先生に霊界空港でお会いしたら、今回部長役を演じさせていただくことを話して、「少しは成長しましたでしょうか?」とお聞きしたいです。「全然ダメだ」と言われてしまうかもしれませんけど(笑)。

加藤 僕も先生との思い出はたくさんあり過ぎて、いくらでも話したいことがあるのですが……。
『解ってたまるか!』の稽古のときに、みんなにダメ出しをしているのに、僕はひとつもダメをもらえなかったことがありました。僕ができているという意味ではないのです。それはわかっていたので、あまりに怖くて、気になって先生に「僕、ダメをいただいていないんですけど」と申し上げたらニコッと笑って「ダメ出しがないというダメ出しを考えてみろ」と仰られたんです。今まで何千何万とダメ出しされてきたのに、こんな怖いことがあるのか、と当時は思いました。今は、自分も若い人たちに教えたりする立場になり、当時ダメをいただけなかった理由を自分なりに理解しているつもりですが、先生と答え合わせをしたいですね。
今、我々がやらなくてはいけないのは、先生が遺してくださったものをどう受け継いでいくか。どう解釈し、どう体現していくか。そこが問われているんだろうなと思います。ですから霊界空港でお会いしたら、「これで合っていますか?」とお聞きしたいです。

劇場で夢を見てほしい

――最後に、観劇を楽しみにされているみなさんにメッセージをお願いします。

横山 今は、個人の時間が増えている世の中だと思うんです。確かにひとりでいろいろな物事を完結させることができます。便利なものも増えましたし、ひとりでいても、特に支障なく生活することができます。でも、そんな中にあっても、人と人が触れ合うことの大切さは変わらない気がするんです。
今の時代、劇場に足を運んでお芝居を観るという行為は、もしかしたら少し面倒と感じたり、腰が重かったりするものに感じられるかもしれません。でもぜひ一度気軽な気持ちで劇場に来ていただけたらと思います。日常の生活ではまったく見ることのできない世界や、いつのまにか忘れていたもの、心の奥にしまい込んだ自分の夢のようなものに出逢えるかもしれません。人と人の想いが交わることで、生まれる特殊な空気感に包まれると思います。
劇場がそういう場所であってほしいと願っていますし、そういう場所にするために僕たちも一生懸命稽古をしたいと思います。ぜひお越しください。

加藤 皆さんそれぞれに憧れとか願いとか祈りとか希望とかあると思いますが、ぜひこの『夢から醒めた夢』をご覧いただいて、ご自分の人生における夢を描いてみたり、生きていることの素晴らしさを改めて噛みしめたり……、とにかく、思いっきり楽しんで幸せな気持ちなっていただければと思います。ぜひ劇場でお待ちしております。

取材・文/五月女菜穂

<公演情報>
ミュージカル『夢から醒めた夢』

日程:2026年4月24日(金)~5月17日(日)
会場:自由劇場

[原作] 赤川次郎(『夢から醒めた夢』角川文庫)
[企画・構成・オリジナル演出] 浅利慶太
[2026年再演版演出] 野村玲子
[配役と出演]
ピコ:三代川柚姫
マコ:鹿ノ子ひより
マコの母:坂本里咲
メソ:中村 翼
デビル:坂本岳大
エンジェル:政田洋平
ヤクザ:加藤敬二
暴走族:近藤真行
部長:横山清崇
老人:山口嘉三
老婦人:服部幸子
夢の配達人:飯田洋輔
ほか

【ミュージカル『夢から醒めた夢』あらすじ】
好奇心旺盛で冒険を夢見る少女ピコは、夢の配達人に導かれて夜の遊園地で幽霊の少女マコと出会います。
突然の交通事故で命を落としてしまったマコは、一人残され涙に暮れる母親をなぐさめ、お別れを言うために、一日だけ入れ代わってくれる人を探してさまよっていたのです。不思議なことにあこがれるピコはマコの願いを聞き入れて、一日だけという約束で霊界へ…。
ピコの大冒険が始まります。

チケットURL
https://w.pia.jp/t/yumesame/

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