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新3部作はどこへ向かうのか? 『ジュラシック・ワールド』最重要人物が語る

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コリン・トレボロウ Photo:Kazuhiko Okuno

超大作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が日本でも大ヒットを記録している。本作は恐竜が現代に甦った世界を舞台に新たなドラマを描く3部作の2作目で、2021年に公開が予定されている最終作につながるエピソードがふんだんに盛り込まれている。本シリーズはなぜこのような設定になったのか? 2作目では何が新たに描かれるのか? そして最終作はどこへ向かうのか? 新シリーズのすべての脚本を手がけ、前作と最終作の監督を務めるキーマン、コリン・トレボロウが“現段階で話せるすべて”を語った。

まず最初に“ジュラシック”シリーズを簡単におさらいしておこう。マイケル・クライトンの小説を基に、スティーヴン・スピルバーグが伝説的な傑作『ジュラシック・パーク』を完成させたのは1990年。遺伝子操作によって現代に甦った恐竜たちが暮らすテーマ・パークを舞台にした作品は、人々に衝撃を与えた。その後、スピルバーグは続編も監督し、名匠ジョー・ジョンストンが2001年に3作目を手がけたが、その後は長らく新作が公開されることはなかった。

実は3作目の公開後も、スピルバーグをはじめとする製作陣は新作を模索していたが、納得のいく脚本を作れずにいたようだ。そこで、声をかけられたのが、コリン・トレボロウと相棒の脚本家デレク・コノリーだ。トレボロウによると、彼らはスピルバーグからいくつかの“お題”を出され、それに応えるかたちで脚本執筆を進めていたらしい。「ですから当初は、3部作どころか、新しい“ジュラシック”映画をつくるかどうかも不確かな状況だったわけです」とトレボロウは振り返る。

前作公開時、トレボロウはインタビューでスピルバーグから“パークはすでに開園していてある程度の時間が経っている”、“ヴェロキラプトルを調教している男が出てくる”、“遺伝子操作された恐ろしい恐竜が出てくる”の3つを盛り込むよう依頼されたと語っていたが、実はスピルバーグのリクエストはもうひとつあったという。

「あの頃、スティーヴンが最も興味を抱いていたのは“恐竜を兵器として使う”というアイデアでした。当時、私たちの前には軍人が恐竜軍団を率いて戦争の準備をしている物語が描かれたプロットもありました。しかし、私は『その話をしたいのであれば、最初から恐竜が軍用兵器として登場するのではなく、人間と恐竜が意思疎通できるようになる過程を描かないとダメではないですか? だって、人間の命令を理解できなければ、恐竜は兵器として役立たないでしょう?』と彼を説得したんです。そこで、私たちは物語を当初のプロットよりも前の段階、つまり人間と恐竜が関係を構築しようとするところまで戻したわけです」

前作『ジュラシック・ワールド』では、恐竜を現代に甦らせるテーマパークが新たな形で復活して人々から人気を集めているところから物語が始まる。そこでは恐竜と意思疎通をはかろうとする調教師のオーウェンと、人間と心を通わせる恐竜“ブルー”が暮らしていたが、遺伝子操作された新型恐竜が暴走してパークは大混乱に陥り、最終的に施設は崩壊してしまう。

「前作を監督した際、私が最も興味を持っていたのは、恐竜を“動物”として扱うことでした。人間は動物に対して共感を覚えますし、愛着をもちますよね? 私はその部分を描きたかったのです。確かに恐竜は危険な部分がありますし、人を殺すことも可能です。でもよく考えたら、トラだってライオンだって危険ですよね? ですから、前作では人間と恐竜の関係をしっかりと描き、2作目では新たな監督J・A・バヨナとタッグを組んで、このテーマをさらに追求していこうと考えました」

前作でパークが崩壊し、人間のいない島で恐竜たちは檻から出て自由に暮らしていたが、島の火山活動が活発になり、恐竜たちは窮地に立たされる。かつて施設の運営責任者だったクレアと調教師オーウェンは再び島に乗り込み、恐竜たちの救出作戦に挑むが、その背後には救出した恐竜ブルーの遺伝子を利用して、さらに恐ろしい“恐竜兵器”を生み出そうとする陰謀がうごめいていた。

本作では、前作以上にサスペンス的な要素やホラー映画的な演出が盛り込まれているが、先ほどトレボロウが話した“人間と恐竜の関係性”の観点からシーンを観ると、緊迫感や恐怖だけでなく、恐竜の感じている哀しみや怯えが感じとれるし、恐ろしさの背後に複雑なドラマが息づいているのを感じられる。

「その通りです! それこそが私たちが今回の映画で意図したことでした。前作は楽しくてカラフルでローラーコースターのような映画を目指しましたが、2作目ではどこか影のあるドラマを描こうとしました。むしろ、私たちはこの2作目を考えていたからこそ“1作目は明るく楽しく”を貫けたともいえます。ですから、本作で描かれる恐怖は、単に観客を怖がらせるものではなく、小さな子どもだからこそ感じる不安であったり、子を持つ親にのしかかる責任感や恐怖、そして謎めいた少女の過去だったり……複雑な要素をたくさん盛り込み、映画を最後まで観てもらえると観客に“なるほど。この映画のテーマは実はこういうことだったのか”とわかってもらえるようにしました」

ちなみに本作の結末はトレボロウ曰く「次は一体、何が起こるんだろう? と観客に思ってもらえるエンディング」になっている。最終作では再び監督を務めるトレボロウは「現段階ではたくさんは喋れないんですよ」と笑顔を見せながらも「実は現在、最終作の脚本に取り掛かっています」という。

「実は、今回の脚本をつくる段階で、3部作すべての物語をデレク・コノリーと話しながらつくってしまったんです。だからこそ2作目は、3部作全体のどの段階で終わればいいのか定めることができました。現在は共同脚本家のエミリー・カーマイケルと脚本を執筆しているところです。『…炎の王国』では“恐竜と人間の関係性”を主軸にして、前作からドラマを引継ぎましたが、最終作は『…炎の王国』のドラマを引き継ぎながら、登場人物たちが報われるような、希望のもてるエンディングを描きたいと思っています」

『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
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