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アナログスイッチ「寝不足の高杉晋作」再演へ 奥谷知弘×畑中智行×忠津勇樹インタビュー

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左から)忠津勇樹、奥谷知弘、畑中智行

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「笑い損ねた日には、ちゃんとコメディを。」をコンセプトに、作・演出を務める佐藤慎哉の下、良質なコメディ作品を送り出してきた劇団「アナログスイッチ」。第23回公演となる今回は、2024年秋に初演され、好評を博した『寝不足の高杉晋作』を再演する。前回に引き続き高杉を演じる奥谷知弘、山本蔵六役・忠津勇樹、そして、本作で新たに坂本龍馬を演じる畑中智行(演劇集団キャラメルボックス)の3名が稽古場にて本作への思いを語ってくれた。

――前作に引き続いての出演となる奥谷さんと忠津さんは、この『高杉晋作』を再演すると聞いてどう受け止めましたか?

奥谷 「再演する」と聞いたのが初演のバラシの最中だったんですけど、打ち上げの時点でプロデューサーさんや(佐藤)慎哉さんに声をかけていただいて、僕自身もすごく手応えを感じた公演でしたから素直に嬉しかったです。初演の公演前から慎哉さんが久々に新作を書くということで、期待に胸を膨らませていましたが、いざ始まると連日お客さまの笑いで劇場がどよめくのを感じて、「あぁ、慎哉さん、すごい作品を出したな」と感じていました。

忠津 僕はアナログスイッチに入って、もう6~7作は出させていただいていますけど、一番疲れて、もう二度とやりたくないなと思ったのがこの作品でした(苦笑)。(奥谷)知弘をはじめ、みんな打ち上げの時点で再演することを知らされていたみたいですけど、僕は全然覚えていなくて……。おそらく、無意識にその情報を遮断するくらい、つらかったんだと思います(笑)。また小さな穴から出たり、隙間から出たりってしないといけないのかと……。

――畑中さんは、アナログスイッチから今回のオファーを受けたときはどのように?

畑中 そもそも自分の劇団(演劇集団キャラメルボックス)以外の作品への出演はプロデュース公演が多く、実は外部の劇団に客演するという経験があまりなかったんです。率直に劇団に呼んでもらえたのが嬉しかったですね。脚本を読ませていただいて、これまでの公演の映像なども見せていただくと、自分たちがやってきた演劇の方向性、雰囲気というか、お客さまに見せたいものがすごく近いと感じて。キャラメルボックスも「お客さまと一緒に楽しむ」みたいな部分を大事にしている劇団なので、そういった意味ではアナログスイッチさんはすごく親和性が高いなと楽しみになりました。

百戦錬磨の客演陣が新たな化学反応を生む再演

――ここまで稽古をしてみていかがですか?

忠津 今回、非常に特殊で、稽古期間がかなり短くて(苦笑)。新たに3名の客演の俳優さんが入っているんですけど、それ以外は前回と同じということで、これは完全に“驕り”ですよね(笑)。「まあいけんだろ、これ」という。客演の方たちからしたら「何なんだ? この短い稽古期間は」という感じでしょうね。

畑中 ほぼ息ができてないですね(笑)。

忠津 とはいえ畑中さんをはじめ、客演のみなさんは百戦錬磨で「あれ!? 初演も出てました?」という感じで素晴らしいですけど。

畑中 いやいや、みなさん、仕上がっているので厳しいですよ。再演ってやはり、前回からどこまで積み上げていけるか? というところがあるじゃないですか。みなさん、約1年ぶりですから、前回のイメージを持ちつつ、そこから底上げを図っていこうという感じで、僕ら新参者よりもスタートラインが50メートルくらい手前なので、必死について 行こうという感じです。

奥谷 むしろ引っ張っていただいています(笑)。僕も再演だから「なるべく台本を持たないように」と思っていましたけど、実際、ちらっと読み返してみたら、全然セリフが入ってなくてビックリしました(苦笑)。いまだに僕の台本に書き込みがなく、すごくキレイなんですけど、畑中さんや太田奈緒ちゃん、土本燈子ちゃんが台本を外してやっているのを見て「もうちょっと台本を汚さなきゃ」と思って、いま必死です(笑)。

――3名が入れ替わった以外に、前作と比べて佐藤さんの演出面での変化などは感じますか?

忠津 大きく変わった部分は舞台美術です。

奥谷 舞台の構造が若干変わっていて、それによって人の動きやタイミングなどが変わった部分はいくつかあって、僕らにとっても手探りの中で、初めてやる作品のようになっています。

忠津 あと、ちょこちょこ佐藤慎哉がセリフも変えているんです。ちょっと愚痴を言わせてもらうと、本当に細かいところをちょこちょこ変えているので、以前の記憶とノッキングを起こしちゃうんです(苦笑)。ただ、お客さまからしたら、よりコンパクトで楽しめる内容になっているんじゃないかと思います。

――畑中さんは、実際に稽古に入ってみてアナログスイッチの雰囲気をどのように感じていますか?

畑中 大学のサークルのような雰囲気で、僕は大好きです。同世代が集まってできている独特の雰囲気があって、お客さまに対する親和性や距離感という部分でも、そういう“サークル”感みたいなものを良い意味で感じています。お客さまも間違いなく「アナログスイッチのこういうところが好き」と感じているんだろうなと。その味みたいなものをしっかりと感じさせてくれるのがすごいですね。
劇団って何年もやっていると、方向性の違いとかギスギスした部分が出てくるものだけど、アナログスイッチさんは雰囲気の良さがそのまま作品に乗っている感じがして楽しいです。大の大人がきちんとふざけている感じがします。

忠津 そう見せているだけかもしれません(笑)。

高杉晋作って? という人も安心しておこしください!

――今回、初めて見るという方も多いかと思いますので、改めてご自身の役柄の見どころについてもぜひお願いします。

奥谷 高杉晋作は、名前は知ってはいるけど、具体的に何をしたのか知らないという方も多いではないかと思います。「奇兵隊」を創設した人物ですが、ものすごくワガママで頑固で自分勝手。荒れ狂った人ではあるけど、多くのものを背負っていて、あの時代の“漢(おとこ)”というものを代表しているような人物だと思います。「おもしろき こともなき世を おもしろく」というのは晋作の辞世の句ですが、まさにその通りで、人生を面白くするのは自分自身だと思いますし、この言葉を糧にしてこの1年間、僕もやってきた気がしています。

忠津 僕が演じる山本蔵六というのは歴史上には存在しない架空の男なので、自分では“エンタメ枠”、“ネタ枠”と捉えています。アナログスイッチの笑いを体現するような、お客さまに対して「笑っていいんですよ、この舞台」という説明役を担っている気がしているので、そこを真摯に粛々とやっていきたいと思います。またいろいろ穴から出ないといけないし、早替えもあるし、本当にイヤなんですけど(苦笑)、みなさんを引き立てる役として頑張っていきます。

畑中 僕はみなさんご存じの坂本龍馬役ということで、結構なプレッシャーを感じております。僕自身も大好きな男で、この歳になってその役をやる機会をいただけたのは嬉しいですが、この作品、面白いなと思ったのは、日常があって、問題が起きて、解決していくという流れではなく、問題が起きたところから始まるんです。みんな「どうする?」と追いつめられた状況で物語が進んでいくので、龍馬に関しても、他の作品ではあまり見られない、追いつめられた感じ、必死になっている姿が見られるのかなと思います。あとは、“語り部”のような役割が与えられている部分もあって、わかりやすくお客さまに状況を伝えることができたらと思います。

――キャラメルボックスの俳優さんにとって、やはり龍馬という役には特別な思いがあるんでしょうか?

畑中 やりづらいですね(苦笑)。歴代の先輩が龍馬を演じていますから。キャラメルボックスのファンの方からも「畑中さん、龍馬やるんですか?」という声をいただいていますけど……。

奥谷 坂本龍馬ですからね。選ばれし俳優が演じる役ですよね。

忠津 たしかに。

奥谷 歴史上の人物としては織田信長、坂本龍馬あたりはもう1、2を争うような……。

畑中 すごい追いつめてくるやん(笑)! 何なんのよ!

――最後に代表して奥谷さんから公演を楽しみにされている方に向けてメッセージをお願いします。

奥谷 この作品に限らず、慎哉さんのつくる作品は、悪い人間が出てくるわけじゃなくて、誰もがそれぞれの正義を持っていて、でもみんなちょっとずつ抜けていて、上手くカギが合わなくて、それが笑いやドラマになっていくところが面白い。たくさんの登場人物が出てきますが、みんな愛おしく思えます。初めての方ももちろん、前回、見てくださった方も楽しんでいただけるようになっていますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけると嬉しいです。

取材・文/黒豆直樹
撮影/藤田亜弓

〈公演情報〉

アナログスイッチ 23rd situation 『寝不足の高杉晋作』

日程:2026年2月25日(水)~3月8日(日)
会場:新宿シアタートップス

[作・演出]佐藤慎哉(アナログスイッチ)
[配役と出演]
高杉晋作:奥谷知弘
坂本龍馬:畑中智行(演劇集団キャラメルボックス)
おうの:太田奈緒
お雅:橘花梨
お千代:土本燈子

辰吉:秋本雄基(アナログスイッチ)
虎之介:渡辺伸一朗(アナログスイッチ)
田中顕助:藤木陽一(アナログスイッチ)
山本蔵六:忠津勇樹(アナログスイッチ)

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/analog-switch23/

公演オフィシャルサイト:
https://www.analog-switch.com/nebutaka/

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