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第2回 峯田和伸 × 若葉竜也インタビュー(後編)

音楽
PR 第2回 2026年3月5日
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3月27日(金)より公開される映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』。田口トモロヲ監督と脚本家・宮藤官九郎が、『アイデン&ティティ』(2003年公開)以来、23年ぶりにタッグを組んで手がけた作品だ。

1970年代後半、本質的な意味で「日本のロックシーン」を切り開いた「東京ロッカーズ」と呼ばれるバンドたちと、そのムーブメントを再現した映画で、原作はこれら名もなき若者たちと、行動を共にしてきた地引雄一による『ストリート・キングダム』だ。

キャストは主演の「響ユーイチ(地引雄一)」役の峯田和伸、「モモ(リザード・モモヨ)」役の若葉竜也を筆頭に、吉岡里帆、仲野太賀、間宮祥太朗、中島セナ、大森南朋、中村獅童ほか。異なる強い個性を持つ役者たち。それぞれの立場がつぶさに表現された群像劇で、エネルギッシュでリアルなそのストーリーが観る者の心を熱くさせる。

本特集の第2回は、先週に引き続き映画のあらすじを解説しながら主演の峯田和伸、若葉竜也のインタビューをおおくりする。

Text:松田義人(deco)Photo:小境勝巳

自分たちでできるところは、自分たちでやりたいんです(峯田)

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』のかいつまんだ概要は前回のインタビュー冒頭を参照いただきたいが、テーマとなる「東京ロッカーズ」と呼ばれたバンドやその周辺にいた名もなき若者たちの試みは、今にも影響を与え続けているものがある。

「東京ロッカーズ」以前の日本の音楽業界では、「なんらかの音楽作品を発表したい」と思った場合、大手レコード会社からのリリース以外は考えられなかった。そのため、バンドを志す者はまずレコード会社、芸能プロダクション、楽器メーカーといったところが主催するコンテストなどに応募し評価され、デビューを経た後にやっと音楽作品がリリースされるのが通例だった。

こういった流れと一線を画したのが「東京ロッカーズ」と呼ばれたバンドたちや、その周辺の名もなき若者たちだった。

まず、今日まで続く、彼らの偉大な取り組みとして挙げられるのが自主制作レコードだ。

「東京ロッカーズ」の良き理解者、s-ken(映画ではS-TORA)が作ったスタジオで、バンドたちは毎週のようにライブを行い、そしてレコーディングをし、自主制作でレコードを作った。これが日本における「インディーズ」の始まりだ。後にこの手法を取り入れたバンドが続出し80年代中半には、大手レコード会社も無視できなくなるほどのかつてないインディーズブーム、バンドブームが巻き起こることになる。

また、「東京ロッカーズ」以前のライブは、たとえライブハウスであっても「席に座って観る」のが通例だった。しかし、彼らの自由で先鋭的なサウンドを前に客は自然発生的に立ち上がり自由に踊りながら音楽を楽しむようになった。これが今では主流の「オールスタンディング」が生まれた瞬間だった。そして、ライブハウスシーンそのものも若者たちの発信地に飛躍した。「東京ロッカーズ」や周辺のフォロワーたちはライブハウスのイベントを自力で企画し、自力でミニコミなどを発行し、自力で集客をするようにもなった。今では夏場の恒例イベントでもある「ロックフェス」の原点もまた彼らの試みにあった。

「パンク」の良心のひとつが、「誰にでも可能性がある」「自分たちでもやろうと思えばやれる」というDIY精神だとするならば、それを日本の音楽シーンで一番最初に体現し切り開いたのが「東京ロッカーズ」とその周辺の名もなき若者たちだったのだ。

この点について峯田は、自らのバンド・銀杏BOYZにも強い影響を受けていると言う。

「今の若い人は「みんなと一緒で同じことをする」ことで安心感を得られるのかもしれないけど、同時に閉塞感も生まれる。ましてバンドとか表現の世界では、そういう考え方から面白いものなんて生まれるわけがないと思っていて。むしろ、今の常識・定石みたいなものとは違うことをしないと、バンドとか表現をやる意味がないだろうというのが僕の考えなんです。もちろん、これは「東京ロッカーズ」という大先輩の試みがあったからこそだけど、僕がGOING STEADYや銀杏BOYZといったバンドで売れても、大手のレコード会社と契約しなかったのはそういうところ。自分たちでできることは自分たちでやりたいんです」(峯田)

モモが持つ希望と葛藤は「役者」との共通項がいっぱいある(若葉)

ただし、前例のない取り組みがゆえに「東京ロッカーズ」やその周辺の人たちは、葛藤や虚しさを抱くなどし、最終的には失速していく。その様子もつぶさに描いているのがこの映画のリアルなところでもある。

「僕が演じたモモヨさん(映画ではTOKAGE・モモ)が持つ希望、フラストレーション、葛藤は「役者」との共通項がいっぱいあるんです。もしかしたら「何かを創る」「何かを表現する」という人にとっても同じかもしれない。でも、だからこそ「東京ロッカーズ」が切り開いた伝説を知る人はもちろん、それを知らない今の若い世代でもしっかり届く映画になっていると思います。全然懐古的な映画ではないですね」(若葉)

「映画の中で起きるバンドたちの葛藤や事件的なことは原作から再現しているんだけど、でも、若葉くんや僕みたいな当時を体験していない人が役者として演じることで、また違った見え方があるとは思う。ここは、伝説のバンドとかムーブメントのドキュメンタリーともまた違う面白さがあるんじゃないかと思います。最初に地引さん(映画ではユーイチ)役のオファーをいただいた際、登場人物のさまざまな視点からストーリーが展開する「群像劇」であることはわかったの。トモロヲさんの映画って、登場人物全員が主人公なんですよ。そこもまたパンクっぽいんですけど、結果的に観る人それぞれが映画の中に「自分」を見つけられるんですよね。そこがトモロヲさんの映画の素晴らしいところなんだけど、ただ、ドキュメント寄りになるのか、それともエンタメ的になるのか、試写を観るまでそれだけが正直わからなかったんです。でも、そこもやっぱりトモロヲさんと宮藤さんだからね。すごく繊細に「当時を知る人が納得できて、今の社会とか若い人にも刺さる」ように作り込んでくれていて。観ていて本当に面白い。僕、最初の試写で感動して、2回連続で観ましたよ」(峯田)

『ストリート・キングダム』が現時点での最高傑作です(若葉)

映画の企画が走り始めてから、途中でコロナ禍などがあった影響で、結果的には撮影開始まで8年間もの年月を要し、途中複数回の脚本変更もあったという。もしかすると「伝説の『東京ロッカーズ』を紹介する映画」としてだけでなく「今のこの時代」に刺さることも目的に、大きく移り変わっていったこの「8年間」でその都度脚本や演技などの細部を調整していったのかもしれない。

最後に若葉、峯田に最も記憶に残るシーンを挙げてもらったが、申し合わせることなくふたりとも同じ場面だった。

「僕は「撮影が終わるまであと2日」くらいの時期に撮った、若葉くんとふたりでカセットテープを聴くシーンですね」(峯田)

「僕もそうです。あのシーンは一番忘れられないですね。撮影時に、差し込み(当初の台本にはなかったものの、現場での撮影の追加)があったんです。その場で急に峯田さんと合わせることになったんですけど、自分としては当初もっとサラッとしたシーンになるのかと思っていたんです。でも、映画全体の中では重要な場面に仕上がっていて。映画って面白いですよね、ああいう奇跡的なシーンが撮れるんだから」(若葉)

「撮影が終わる寂しさとか感慨とか、そういう気持ちもあのシーンに重なってるのかな? 自分ではわからないけど、忘れられないシーンです。さっきも言ったけど、トモロヲさんの映画は「これは俺の映画だ」「これは私の映画だ」って思えるところ。同時に、「じゃあ僕は何をやってみようか」「私はどんなことに挑戦してみようか」とも思わせてくれる作品だと思う。特に今の若い子で「何かをやってみたいんだ」と思っている人には強く響くと思うんです。「東京ロッカーズ」という偉大な先人と、その人たちと真剣に向き合った地引さんの物語は「昔こうだった」ということだけじゃなく、普遍的な物語でもあると思うので」(峯田)

「一生の中で出られる映画の本数って決まっていると思うんです。あの吉永小百合さんが120本くらいだと聞いていますので。だから、僕がこれから先、どれだけの映画に出られるかはわからないですけど、僕にとっては『ストリート・キングダム』が現時点での最高傑作です。「自分がやりたいこと」「自分が表現したいこと」を全部この映画に詰め込みました。「そうなの? これ大したことないよ」と言われることがあったら、「わかりました。僕の作品は今後観ないほうが良いかもしれません」って言えるくらいです(笑)」(若葉)

※3月12日(木) 公開予定『第3回 田口トモロヲ監督 インタビュー』もお楽しみに!

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映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』

3月27日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
出演:峯田和伸 / 若葉竜也
吉岡里帆 / 仲野太賀 / 間宮祥太朗 / 中島セナ
神野三鈴 / 浜野謙太 / 森岡龍 / 山岸門人
マギー / 米村亮太朗 / 松浦祐也 / 渡辺大知
大森南朋 / 中村獅童
監督:田口トモロヲ
原作:地引雄一「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
音楽:大友良英
エンディング曲:「宣戦布告」(峯田和伸/若葉竜也)
企画製作・配給宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
©2026映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』製作委員会

『ストリート・キングダム 最終版 東京ロッカーズと80’sインディーズ・シーン』

地引雄一 写真・文
判型:A5判
ページ:約350ページ
発売日:2026年3月27日(金)
発売:SLOGAN / indies press

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