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東京初期衝動が爆散ーー解散と結婚報告に揺れた超満員のリキッドルーム! 「また4人で」笑顔と祝福とカオスの中で幕を閉じた最後のステージをレポート

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『東京初期衝動 解散公演』 Photo:横山マサト

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Text:西澤裕郎 Photo:横山マサト

東京初期衝動が2026年2月13日、東京・恵比寿リキッドルームにて、『東京初期衝動 解散公演』を行い、約8年にわたる活動に幕を下ろした。
しーなちゃん(vo/g)、希(まれ)(g)、あさか(b)、なお(ds)からなる4人組ガールズバンド、東京初期衝動。自主レーベル「チェリーヴァージン・レコード」からデビューし、2025年9月にはキングレコードよりメジャーデビューを果たした。そんな彼女たちが、突如解散を発表。解散ライブのチケットは即完売。満員の観客たちが詰めかけた同ライブをレポートする。

開場前のリキッドルーム。彼女たちの解散ライブのチケットを手にいれることのできた観客たちで長蛇の列が形成されていた。場内では銀杏BOYZから坂本慎太郎、ホワイトストライプスなど、バンドのルーツを感じさせる楽曲が流れている。ステージには「爆散」のバックドロップ、東京初期衝動の提灯。超満員となったフロア。しかし、客席は思いのほか静かだ。開演前の意外な静寂が、この夜の重みを物語っていた。

19時34分、「チェリーヴァージン・レコード」オーナーの青木勉が前節を行った。上裸禁止、看護師の待機など、何が起こるかわからないライブへのアナウンスに会場が湧く。「何時に終わるかわからない。決まってないことが多い」。その言葉通り、この夜は予測不能の展開を見せることになる。

19時45分。Tommy february6の「je t'aime ☆ je t'aime」がSEで流れ、観客たちの手拍子が起こる。希、あさか、なおが登場し、少し遅れてしーなちゃんが姿を現すと、大きな歓声が上がった。逆光に照らされたシルエット。なおのドラムカウントから1曲目に選ばれたのは「Becauseあいらぶゆー」だった。「でかい声で歌うぞ!」というしーなちゃんの声にフロアからの合唱がさらに大きくなる。サビではダイブが起こり、しーなちゃん自身もダイブ。「東京初期衝動、本日で爆散!」。その叫びとともに、8年間を締めくくる物語が動き始めた。

前半のセットリストから、バンドの代表曲が次々と繰り出される。「高円寺ブス集合」では、<バニラバニラ>の合唱がフロア全体から起こり、しーなちゃんは客の上でダイブしながらそれに応える。「メンチカツ」では、希のギターソロにフロアの拳が上がり、しーなちゃんが水を含んで客席に吹きかけると歓声が響く。しかし楽曲の合間に見せるしーなちゃんの表情はどこかいつもと違う。「緊張してるわ」と口にした通り、バンド自体の雰囲気が硬い。「私が前代未聞のトラブルを起こすチャンピオン。トラブルメイカーガールでした」と「トラブルメイカーガール」へ。希のエモーショナルなギターのイントロから「流星」、「ボーイフレンド」と続けると、「今日でお別れです。みんな幸せになってください」というしーなちゃんの言葉からギターの弾き語りではじまる「中央線」を感情たっぷりに歌い上げた。

「希ちゃんのおかげでこの曲ができました」。しーなちゃんは、すすり泣くように、希を見ながら「BABY DON’T CRY」を歌う。しーなちゃんが希のために作った楽曲だ。希はなかなか目を合わせない。しーなちゃんは涙を流しながら歌う。それとは対照的に客席からの声が大きく響く。希を見つめながらギターを弾き歌うしーなちゃん。ひたむきにギターを弾く希。ふたりにしかわかり合えない関係、思い出が、音に乗って会場を満たしていく。

「6年前にコロナ禍になってリキッドに立って、あさかが入ってだいぶ経ちましたね。後半戦、悔いのないよう楽しんでください」。しーなちゃんが語り、4人が向かい合って「世界の終わりと夜明け前」のイントロを演奏。目は合わないが、息は合っている。すると、希のギターソロで笑顔が見え、しーなちゃんも「最後だよ、もっともっと」と客に笑顔で投げかける。なおにも笑顔が浮かんでいた。「残り3曲です」というしーなちゃんの言葉に、「やだー。最初からやって」という声が上がる。ここでメンバーがそれぞれ想いを伝えた。

しーなちゃんは、なおに対して「誰かにいじめられたらすぐに特攻隊として突っ込んでくれました。内向的ななおちゃんだけど、ずっと静かに支えてくれた」と感謝を伝える。コロナ禍で加入したあさかへは、「大阪から上京してくれて、最高のベーシストに出会えて本当にうれしかった」と伝えた。そして希へ「誰がなんか言っても、希ちゃんは東京初期衝動のためだけのギタリストだと思っています。一緒にいた時間が多すぎて、離れるのがすごく寂しい。希ちゃんの優しさは、ずっとずっと忘れない」と心情をストレートに告白した。そしてレーベルオーナーの青木勉や、PA、カメラマンなど、関わってきたスタッフへの感謝を述べ、最後にファンに向けて「あなたたちが見捨てなかったおかげで、ずっとここまで来れました。ステージに立ってみんなの顔を見るのがとても幸せでした」と感謝を伝えた。

あさかは「何日もかけてみんなに感謝状を書きました」と前置きし、メンバーとの思い出を丁寧に語った。「初めてのスタジオの日に、しーなちゃんに憧れだった歌舞伎町のつるとんたんへ連れて行ってもらったことが懐かしいです。スタジオやライブ中に目が合う瞬間が好きでした。憧れの人に会えたり、たくさんの経験をさせていただきました。悔いがないかって聞かれたら、もう少し頑張っていたらなっていう気持ちはありますが、その時々で自分なりに精一杯の判断でした」と正直な思いを口にし、「こうして目の前にお客さんがいることは当たり前じゃないです。バンドが停滞していた時も変わらない笑顔で私たちを見守ってくれたからこそ、続けることができました」と感謝を伝えた。最後には「今後もし音楽活動ができるなら、めちゃんこ売れっこバンドのご依頼お待ちしております」と明るく語ると、しーなちゃんが「絶対音楽続けなさい」と声をかけた。

なおは「8年間バンドをやってきて、ライブで話すのが初めてなので緊張してるんですけど、最後にこんなに集まっていただけてほんとにうれしいです」と語り始めた。「今日の解散ライブのことはあまり考えないようにしてここまで来たので、今やっと終わるんだなっていう実感をしてきています。みんなの顔を見てるとほんとに寂しいんですけど、辛いことも楽しいこともひっくるめて4人でバンドやれてよかったなってほんとに思っています。しーなちゃん、誘ってくれてありがとう。こうやってみんなが来てくれることを一瞬たりとも当たり前だと思ったことはないですし、私もみんなの顔をライブで見て活力をもらっていたので本当に感謝しかないです」と語り、「解散コメントでも言ったように、メンバー含めみんな戦友だと思ってるので、また会えたら一緒に色々話しましょう。8年間一緒に歩んでくれてありがとうございました」と締めくくった。

続けて、希は「私は上京して、(初期メンバーでベーシストの)かほちゃんとこじらせていたところをしーちゃんと知り合いました。しーちゃんと出会った頃はこんなにも深く互いを理解して仲良くなるとは思ってなかったけど、一緒にいる中でたくさんの愛をくれた人です。それは自分に向けてだけじゃなくて、周りに対してもバンドに対してもすごく強くて尊敬していました」と、しーなちゃんとの出会いから語り始める希。「バンドを始めて、しーちゃんがなおちゃんを見つけてきてくれて、女の子だけのバンドになったらありえないくらい楽しくなりました。なおちゃんは、いつも誰も傷つかない言葉選びが上手なところが大好きです。なおちゃんが入ってくれて、本当に東京初期衝動が始まりました」。「かほちゃんが辞めて悲しみに暮れていた私たちを光で照らしてくれたのはあさかでした。オーディションをやって、たくさんの女の子とスタジオに入ったけど、絶対あの子だよねと即決でした。あさかのコミュ力の高さとニコニコの笑顔ですぐに安心して心を開きました。あさかのおかげで東京初期衝動はここまで続けることができました」とメンバーへの想いを口にした。

そして希は、「バンドメンバーってすごく不思議な存在でした。4人で同じ方向を向け続けるって本当に大変だし、すごいことだと思います。距離が近いのに、家族でもなくて、でもこんなにも長く一緒にいて、倦怠期みたいな時もあれば、キャピキャピしてる時も、頭を抱えたこともあったけど、全部がかけがえのない時間だったなと思います。大好きなみんなと最後まで一緒にできてよかったです」。「バンドは本当に奇跡だし、ここにいるみんなとも活動している期間に出会えたことは奇跡だと思っています。どんな時も温かく応援してくれるみんなや、支えてくれたスタッフさんたちのおかげでいろんな経験ができました。本当にありがとうございました」と深く頭を下げた。

しーなちゃんが最後に語る。「本当に東京初期衝動はいいバンドでした。また同じ人生が歩めるのなら、私はこの4人とまた東京初期衝動を組みたいって思うくらい、本当にメンバーに恵まれたと思っています。かほちゃんもありがとね。みなさんありがとうございました。ラスト3曲、皆さんご自由にお楽しみください」。そして、「この曲で東京初期衝動は始まりました」という言葉から、東京初期衝動を一躍世の中に知らしめた「再生ボタン」へ。そして「LSD」と続けると、しーなちゃんが「東京初期衝動は、この日をもって解散します。最後まで最後までありがとうございます」と叫ぶ。楽器を掻き鳴らすメンバーたち。本編最後の「ロックン・ロール」では、この日1番のダイバーの数。最後の一音の前、「爆音でいくよ! 皆さんありがとうございました!」のしーなの声の後、4人で全力で音を重ね合う。あさかもダイブしながらベースを弾く。そして、4人で肩を組み、深々とお辞儀をしてステージを去った。

拍手とともに沸き起こるアンコール。しばらくしてステージに現れたのは「爆散」のふんどしをガムテープで付けた3ピースバンド、ザ ニンクスだった。2025年の東名阪ツアーで対バンとして一緒に回った、東京初期衝動が最後にかわいがっていたバンドだ。毒坊ふじお(vo/g)は、「この後しーなちゃんが出てくるまで、ちょっと時間かかるから。俺らが退屈させない」と、演奏を始めると会場の空気が一変。ほぼ裸のギター、ベース、そしてドラムという3ピースが奏でるガーリックパンクは、解散というワードを吹き飛ばすくらい場違いで、初期衝動に溢れていて爽快だ。ザ ニンクスも、東京初期衝動の最後を華々しく飾るため、いつも以上に自分たちを貫いた演奏とパフォーマンスで会場の雰囲気をいろいろな意味で掻き回した。

数曲披露し、それでもまだ東京初期衝動のメンバーが登場しないため、新しい「恋ダンス」を披露するといって、ふじおとセパ卓瀧(b)が踊りはじめると、PK Shampooのヤマトパンクスも登場し、ドラムでバスドラを鳴らす。カオスさが増していく中、しれっと希とあさか、なおが再登場。そして、少し間を置いて、ウェディングドレスを着たしーなちゃんが現れた。大きな歓声が起こる中、「しーなは2025年の去年の4月に結婚いたしました!」とサプライズの告白をすると、トップシークレットマンのしのだ(vo)がステージに登場。ふたりはステージ上でキスをし、会場は祝福のムードに包まれた。

しーなちゃんは、「結婚したからバンドを辞めちゃうのかなって言われたんですけど、そうじゃなくて。実はメジャー契約前からちょっと音楽活動にトラウマみたいなものができてしまって、東京初期衝動を通して表現するということがすごく怖くなってしまいました」と語った。音楽が作れなくなってしまったこと、この感情を一度まっさらに戻すために距離を置きたいことを観客に伝えると、「音楽が好きだから、多分この先もゲストボーカルとか制作のお手伝いとかもすると思うんですけど、その時は「しーなちゃん音楽のリハビリをしてるんだな」って暖かい目で見てください」と涙をこらえながら語った。そして、メンバー3人が「しーなちゃんが音楽をできそうになったらまたこの4人でバンドをやろう」と言ってくれていることを明らかにし、「何年先になるか、できるかもわからないんですけど、ちょっとだけ休息させてください」と観客たちに伝えた。

「人生の中心が、自分の感情から、夫婦の未来に変わりました。0から1を作る人はいつも孤独で、私はいつも評価やプレッシャー、不安がすごくすごくありました。だからこそ、ボーカリストで作曲をする旦那さんを1番近くで今は支えていきたい」と、しーなちゃんが胸の内を語り尽くすと、「女の子たち。美しくたくましく、強く生きてください! 私は大事故のような失恋をして、今の旦那さんに出会えました。だからみんな大丈夫だからね!」と伝える。その言葉とともに、ウェディングドレスを着ながらギターを弾き倒し、「BAKAちんぽ」へ。その姿は、それまでの緊張感や解散への感傷に引きずられていた彼女たちではなく、まぎれもなく、いつも通りの東京初期衝動だった。

アンコールは続く。「大事なメンバーのかほちゃんが作ってくれた曲です」と、しーなちゃんが、初期メンバーのベーシスト・かほの名前を語った。そして、「かほちゃんが昔この曲のコーラスをやってくれてたけど、今は最高のプレイシストがコーラスをやってくれます」と、あさかへのリスペクトを語り、初期楽曲「商店街」へ。これまでの歩みすべてを肯定する感動的なシーンだった。「黒ギャルのケツは煮卵に似てる」では、ザ ニンクスのメンバーが再び登場し、しのだも客席にダイブ。「SWEET MELODY」では、ステージの背景に過去のライブ映像やグループのドキュメントが映し出される中、演奏が行われた。

「ぶっぱなしていこう。残り3曲」。しーなちゃんはセトリを変更しながら、ドレスのまま客席にダイブ。「傍の演者さん全員来てよ」と、この日のために駆けつけた、後藤まりこや超☆社会的サンダルのオニザワマシロ、トップシークレットマンの正義、ヤマトパンクスをはじめ10人以上の音楽仲間たちをステージに呼び、ダイブの嵐へ。再びの始まりの曲「再生ボタン」では、レーベルオーナーの青木勉もダイブをし、初期衝動に満ちた彼女たちのライブはひとつの完成を見せた。最後はメンバー4人で肩を抱き、「また帰ってくるね!」としーなちゃんが笑顔で語り、観客、この日駆けつけたアーティストたち、スタッフもともに全員で写真撮影を行い、約3時間にわたるライブは大団円へ。いつもとは雰囲気の違う涙と緊張で始まったライブだったが、最後は笑顔と祝福とカオスの中で幕を閉じた。

東京初期衝動の8年間は、この日ひとつの終わりを迎えた。しーなちゃんが口にした「また帰ってくるね!」という言葉を、この日会場にいた観客たち、音楽仲間たち、スタッフたち、そしてメンバーは、心の中にしまったまま2月13日以降を過ごしていくだろう。彼女たちがバンドを始めた時の初期衝動は終わってしまったかもしれない。それでも、また違った初期衝動とともに彼女たちに会える日が来るかもしれない。そんな希望を感じさせてくれる、東京初期衝動らしい、衝動を衝動のまま吐き出した最後のステージだった。

<公演概要>
『東京初期衝動 解散公演』
2026年2月13日 東京・恵比寿リキッドルーム

【Set list】

1. Becauseあいらぶゆー
2. 兆楽
3. 高円寺ブス集合
4. メンチカツ
5. マァルイツキ
6. トラブルメイカーガール
7. 恋セヨ乙女
8. 流星
9. ボーイフレンド
10. 中央線
11. BABY DON'T CRY
12. 失恋回転寿司
13. STAND BY ME
14. おたくの犬が騒がしい
15. 世界の終わりと夜明け前
16. 春
17. 次に生まれてくるときは
18. 再生ボタン
19. LSD
20. ロックン・ロール

ENCORE
21. BAKAちんぽ
22. 商店街
23. 東京初期衝動
24. エンドロール
25. 黒ギャルのケツは煮卵に似てる
26. 高円寺ブス集合 爆速ver.
27. SWEET MELODY
28. ロックン・ロール
29. Becauseあいらぶゆー
30. 再生ボタン

東京初期衝動 オフィシャルサイト

https://tokyosyokisyodo.jp/

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