西野亮廣が語る『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』
映画
インタビュー
『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』が、3月27日(金)から公開になる。本作は、2020年に公開された『映画 えんとつ町のプペル』に続くシリーズ最新作で、引き続き西野亮廣が製作総指揮、原作、脚本を手がけている。シリーズの生みの親である西野は6年をかけて、主人公ルビッチや世界観、作品の手ざわりを保ったまま、前作とはまったく異なる物語を作り上げた。
世の中には、芸人やタレントが小説や絵本を執筆するケースは多い。しかし、西野亮廣にとって『映画 えんとつ町のプペル』の誕生と成功は、それ以上の意味を持つのではないだろうか。
「確かにそうですね。映画を企画して完成して上映しました、以上の存在です。自分が芸人としキャリアをスタートさせて、何をやっても叩かれる時期があったんですよ。絵本を描いては叩かれ、クラウドファンディングをやっては叩かれ、とにかくやることすべて叩かれて、そんな中で自分の気持ちに決着をつけにいく、みたいな気持ちがあの映画にはあったのかもしれないです。
だから、あの映画には10何年分かの想いが乗っかっていたと思いますし、今になって振り返ると、“怒り”だったり“悔しさ”みたいなものも心の中にあったと思うんです」

興味深いのは、完成した『映画 えんとつ町のプペル』には西野の怒りや、相手を見返してやりたい、という気持ちが微塵も感じられないことだ。彼は悔しさや哀しみを胸にため込んで、“夢を信じ続ける”主人公の物語をまっすぐに描ききった。
「ああ、そうかもしれないですね。理由はシンプルなんです。僕は圧倒的にハッピーエンドが好きなんですよ(笑)。だから、自分で映画をつくる以上はそこはしっかりと観てくれる方に約束したい、というのはありました。
それから、やっぱり“観に来てくれる人がちゃんと想像できた”というのは大きかったと思います。例えばですけど、個展を開くとファンの方が家族で来てくれるんですね。僕はオンラインサロンもやってますから、そこの方も来てくれる。お客さんとの距離が近いんですよ。だから誰それさんの家に新しい子どもが生まれた、みたいなことも知ってますし、僕が映画をつくったら、あの家の子は4歳から5歳になったばっかりなんで、映画館に観に来てくれる、みたいなことがわかるんです。だから顔が思い浮かぶ状態で作品をつくってるんで、毒々しいものは描きたくないし、血が出たりするような場面は一切、やりたくないって思うんです。
もしかしたら、自分がひとりで小説を書く、みたいなことだったら、トゲの残ったものが世の中に出ていたかもしれないですよね」
「新作をやる以上は、前作を超えなきゃいけないと思いました」

新作『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』では、ルビッチは親友のプペルを失い、“同じ場所”に立ち止まったまま前に進むことができずにいる。ある日、ルビッチは異世界“千年砦”に迷い込み、そこで針が“11時59分”で静止している時計台に出会う。ルビッチが元の世界に戻る唯一の方法は、止まってしまった時計台を動かすこと。
ルビッチと相棒のモフは時計台の謎を探るために行動を開始し、時計師のガスと出会う。かつて、ガスは誰もが知る腕利きの時計師だった。しかし、ある日、彼は美しい歌声を持つ女性ナギに出会い、人生が大きく変化する。時計の針が止まった世界で、ルビッチ、モフ、ガスらそれぞれの想いと人生の時計が交錯していく。そして、そのすべてが再び動き出した時、誰も予想しなかった奇跡の展開が巻き起こる。

通常、ヒット作の続編は“守り”に入ることが多い。おなじみのキャラクター、定番の展開。しかし、西野は新作でも新たな取り組みを続けている。
「新作をやる以上は、前作を超えなきゃいけないと思いましたし、仮に大コケするようなことになったとしても、前作とはまったく違うことをしたい。前と同じ打ち方でバットを持っても、前作を超えることはできないと思っていました」

本作の脚本は時間をかけて執筆され、ルビッチだけでなく、新しい相棒のモフや、彼が出会う時計師のガスの物語が丁寧に描かれる。ルビッチとプペルは本シリーズの中心的な存在だが、どのキャラクターも“ひいき”なく描かれてるのが特徴だ。
「それはこれまでの自分たちの活動がそうさせている気がします。たとえば、僕たちはイベントを開催する時にはポスターにキャストさんの顔写真は掲載しないんです。理由は、僕たちが目指しているのは、出演者が誰であっても、開催場所がどこであっても人が集まる空間だから。誰が出るのかわからなくても人が集まる状況を作れたら、つまり京都やヴェネチアや金沢みたいな場所をつくれたら、という想いが根底にあります。つまり、そこに主役はいなくてもいいんです。主役を観に行くのではなく、自分が主役になるエンターテインメントを作りたい。だから、物語の中でルビッチが登場しない時間が出てくることにも恐れはないんです」
『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』は予想外の展開で観客を翻弄し、魅了することになるだろう。西野亮廣と仲間たちが時間をかけてつくりあげた“自分が主役になるエンターテインメント”がいよいよ公開になる。
『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』
3月27日(金)公開
(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

